眠れる小鳥

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『のくたーんたたんたんたんたたん』 感想

2023年12月31日 07時34分46秒 | ライトノベル

ムラサキアマリ『のくたーんたたんたんたんたたん』 感想です!


表紙の可愛い女の子・山田ハナコのぶっとんだキャラがとにかく楽しい作品でした! 主人公の男の子・ユズリハの生活をかき乱す強引で包み隠さない攻めの愛情表現、大好きです。彼女の過去にまつわる事情を知ると、さもありなんなところもあって。その底抜けの快活なアピールでもって、ユズリハの復讐が綴られる暗い物語を見事なまでにコミカルに彩ってくれました。


この物語は、父を亡き者にした仇討ちを誓うユズリハが、殺しの腕のたつ《死神》と称されながら、敵である《亡霊》を探す復讐譚。
背景がとてもダークです。後ろ暗い組織のボスの指示で面倒ごとを片づけるべく参じたユズリハが相対した、ひと際目を引く美少女・山田ハナコ、彼女は何度殺しても生き返るというおかしな奴だった……。なぜか思い切り好かれたユズリハは、流れでバディを組むことになり、二人で怪しき輩を滅しに出ます。

舞台となるのは架空の日本、その都市の一つであるナノハ、そのさらにいくつにも分割された街。ユズリハの所属する組織は、舞い込む依頼を受け、街をまたいで問題行為を起こす輩を闇に葬るシゴトをしています。

入ってきた情報、ユズリハとハナコが対峙する敵はサーカスのような動きで翻弄してきます。そやつの犯す行いが実にヤバい……。あまりにも人道にもとります。激高するユズリハ。そんな恐ろしい敵に、口先でフェイクを挟み攻防する彼の姿、かっこいいです……!
父を討ったという敵の情報に近づいていくドキドキ感も、先の見えない不安感も背筋の冷えるスリルがありました。徐々に明かされるユズリハの心のうち。相手の手管に惑わされる彼の煩悶が息をのみました。

おそらくこの物語で主題となっているのは、ユズリハは世界をどう見ているか、生をどう捉えるのか。父を亡くされた絶望と暗い復讐心。それはつらいものであり……ただ自分の生きた道のりはそれだけだったのか、ということです。暗闇を歩くような人生、それでも誰かと話していてちょっと笑ったりとか、シゴトの合間を縫うような学校生活で小さくも大切な幸せの瞬間はあったはずで。心の錯綜するユズリハへの問いかけは、誰にとっても普遍であるように思いました。


ダークな生き様のユズリハと、突然現れたと思ったらぐいぐいくる明るい美少女ハナコ、ちぐはぐでありながらもお似合いな二人の最終的に導き出した答えが深く心を打ちました。
以上、『のくたーんたたんたんたんたたん』の感想でした!


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