さて、かまぼこシリーズ第二弾です。初回が、富山県西部のお店だったので、今回は東部の代表的なかまぼこ店を紹介しましょう。
日本海に面した魚の街・魚津市です。ここは蜃気楼で有名ですね。それと、大正7年に起きて全国に飛び火したコメ騒動の舞台としても知られています。たまたま今年(2021年)1月に、映画『大コメ騒動』(監督:本木克英、主演:井上真央)が封切られ、地元ではちょっと話題です。
それよりも筆者は、剣客「眠狂四郎」を生んだ作家、柴田錬三郎の『わが青春無頼帖』(“柴錬”の自伝風エッセイ)を思い出します。直木賞受賞作家の柴錬が講演で訪れた魚津市で、ふと、たまたま立ち寄った画廊の二階で「思いがけず、他人の女房を抱いてしまう」というものです。「女が、からめて来た脚の感触が、まだこちらの脚にのこっている」などのくだりが。
さて、かまぼこに話を戻しましょう。
[河内屋]
旧JR北陸本線の第三セクター「あいの風とやま鉄道」の魚津駅近くに、かまぼこ店「河内屋」本店があります。
玄関周りや店内は、こざっぱりとしていて、このあたりのお店としては垢抜けしています。本店の店構えは、店(会社)の顔だけに、イメージ戦略上も大事です。筆者は、ここのこかまぼこもよく買います。
同駅前に、観光案内所があり、そこで年配の職員と雑談しながら、それとなくかまぼこ店のことを聞いてみましたら「魚津には何軒かあるが、手土産や贈り物にするなら、河内屋のが一番」と言っていました。もっとも、これは公的性格を持つ観光案内所の公式見解ではなくて、詰めていた一年配職員の個人的感想ですので、誤解なきよう願います。
もっとも、河内屋はスーパー向けなどよりも、手土産用に力を入れて商品展開をしているのは事実です。
(河内屋の正面ウインドー飾り。2021年2月撮影)
(赤巻きと昆布巻き)
このブログを書くために改めて食べてみましたが、味の水準は高い方だと改めて感じました。味覚、食感に違和感がありません。ただ、赤巻きの場合、包丁で切っていた時、表面の赤い皮部分が剥がれることが過去ありました。それ自体、品質とかに影響はないのですが、気になるといえば気になります。赤巻きの着色料は「赤ピーマン」、天然着色料です。
かまぼこにグラム表示がしてなかったので、店員に聞いたら「同じ商品でもグラム数が多少違うので表示はしていない。ただ、小型サイズで大体135㌘程度」とのこと。赤巻きは388円、昆布巻きは432円(いずれも税抜き)でした。
昆布巻きを食べてみましたら、なるほど口当たりは悪くなく、下の上で昆布とすり身がマッチします。歯ごたえはそこそこソフトでした。
お店の入口に、塩が売られていました。『蒲鉾屋さんがつくったお塩』と書かれており、裏には「天日塩(メキシコ)」、製造者は長崎県のメーカー。その横には説明書きがあって「当社の蒲鉾はこの塩を使っている」と。下の写真。
メキシコの天日塩とは懐かしい。筆者は学生時代、メキシコを旅したことがありますが、バスの窓からあちらこちらで塩田を目にしたことを思い出しました。
◇
★<一口コメント>かまぼこの味の善し悪しは、一般的に言って、すり身とその上に巻いてある皮部分とのマッチングだと思います。すり身の味が良く、巻いてある皮部分とうまく調和できていれば歯ごたえ、口当たりは良いです。逆に、いろんなお店の製品を食べ比べしていて、たまにあるのですが、すり身と昆布の味が分離していたり、歯ごたえがありすぎたりすると、違和感を覚えます。
さて、次は同じ魚津市にある大衆的なかまぼこ店、尾崎商会を紹介します。
[尾崎商会]
尾崎商会は昭和28年に設立、魚津駅前から市内循環バスで15分行ったところに「尾崎かまぼこ館」という立派なPR館(下の写真)を構えています。かまぼこの製造現場もみられます。
館内には、富山のかまぼこの歴史などを紹介するコーナーの他に、自社製品を販売するエリアがあります。
庶民的な雰囲気が漂うお店で、河内屋が着飾った若い女性ならば、尾崎は、元気のいい地元のおばさんという感じです。
自社製品コーナーに、セロハンで包んだ蒲鉾がありました。筆者は真空パックものしか知らなかったので、ベテラン風の店員に聞くと、「こちらのスーパーにはよくある」とのことでした。真空パックに比べ賞味期限は短いそうです。
(セロハン包装のかまぼこ)
北陸地方の食品スーパー「アルビス」は尾崎商会と提携して、アルビスブランドのかまぼこを販売しています。比較的小ぶりなかまぼこで、グラム表示はありませんが、大体百㌘程度の感じで、100円未満(税抜き)。筆者はうどんのトッピング用などとしてよく買いますが、まずまずです。
館内を約1時間ほど見学(一般の客は20~30分以内みたいです)、帰りにかまぼこを3個買って帰宅、何気なくレシートを見たら、2個分しか払っていないことに気付きました。3個かごに入れたのですが、もう1個は賞味期限接近のため半額シールが貼ってあったもので、それはサービスしてくれたようです。
なんとも粋なはからい。筆者が魚津市以外からわざわざ来たことがわかったからでしょうか。こういう気遣いをしてもらえれば、尾崎のイメージがぐっと上がるというものですね。 (以上)
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