「浅間山明鏡止水」あさまやま めいきょうしすい

「NHKワイルドライフ」 「カナダ・ノースウッズ①」~写真と短歌で綴る世界文化紀行

「NHKワイルドライフ」
「カナダ・ノースウッズ①」~写真と短歌で綴る世界文化紀行

 
私はBSNHKのワイルドライフが大好きです。このシリーズを見ていますと「かけがいのない地球、動植物たちの営み」が良く分かります。今回は「カナダ・ノースウッズに棲む動物たち」を紹介します。

カナダ内陸部、北緯50度から60度に広がる原生林、ノースウッズはどこまでも続く森と湖の世界です。ここには体重1トンにもなるバイソンが群れで暮らし、出会うことさえ難しいカナダオオヤマネコやアメリカシロヅルなど、希少な生きものたちが躍動しています。現地をフィールドに活躍する写真家、大竹英洋さんと、夏、秋、そして冬と長期取材し、その魅力を紹介します。なお写真下の説明文は大竹英洋さんが書かれたものを要約しています。 


「シンリンバイソン」
「絶滅の危機に瀕したバイソンは カナダの森の野生で暮らす」



バイソンと聞けば、草原を群れで移動している姿を思い浮かべる人が多いだろう。ノースウッズを旅するうち、それとは別の、森にすむシンリンバイソンという亜種が存在することを知った。草原のバイソンよりも一回り大きく、オスの盛り上がった肩までの体高は2メートル。体重は1トンを超え、北アメリカ最大の陸上哺乳生物だ。かつて北米大陸には、約6000万頭以上のバイソンが生息していた。しかし乱獲と家畜を介した疫病により激減。1889年にはわずか1000頭に満たないほどで、絶滅の危機に瀕していた。シンリンバイソンに限って言えばウッド・バッファロー国立公園に生息する約5000頭が、この地球上で野生の状態で暮らす、もっとも大きな群れとなっている。

「ホッキョクグマ」
「ホッキョクグマ狩りの出来ない期間こそ 耐えてアザラシ待ち伏せにする」



ハドソン湾に面した港町チャーチル。この人口千人に満たない辺境の町周辺に、10月から11月半ばにかけて、ホッキョクグマが集まってくる。理由は夏の間溶けていたハドソン湾が再び凍るのを待つためだ。じつはホッキョクグマの主な獲物は、脂肪分の豊富なアザラシ。しかし、泳ぎの得意なアザラシを狩るためには海氷が必要で、呼吸しに上がってくるのを待ち伏せするか、氷上で休んでいるところを捕まえるしかない。この写真の親子も海岸沿いで、冬の到来を待っているところだった。子グマはもう少しで一歳。母グマは海氷が溶けた7月から4ヶ月もの間、何も食べていない。しかも、授乳によって1日に1キロずつ体重が減ってゆく。この地のホッキョクグマたちは、夏の断食期間中には、まるで冬眠のように新陳代謝が落ち、冬の間に蓄えた脂肪のみで生きるよう適応してきたのだ。狩りの出来ない期間が長くなれば、十分な脂肪を蓄えられず、出産、子育てへの影響も避けられない。

「ビーバー」
「良く働き冬眠しないビーバーは 暗くて寒い冬を生き抜く」



彼らは冬眠をせず、自分たちで蓄えた木の枝を食べて、約半年にも及ぶ、暗く寒い冬を生き抜く。家族全員の越冬には大量の枝が必要で、水深を保つダムの補修や、ロッジと呼ばれる巣の手入れにも忙しい。彼らの勤勉な性質はよく知られ、英語で「work like a beaver」といえば「せっせと働く」という慣用句だ。ヨーロッパでは16世紀までにほぼ絶滅したビーバーだが、需要の高まりに押され、北アメリカ大陸にもフランスとイギリスから毛皮商人が押し寄せるようになった。湖水をカヌーでつなぐ交易網が発達。多くの交易所が設置され、先住民が持ち込んだ大量の毛皮が、ヨーロッパからの鉄器、毛布、ビーズ、タバコ等と交換された。交易所はその後、現在のカナダに存在する町や都市へと発展していったのである。

「アメリカクロクマ」
「食欲は冬眠前で旺盛な クロクマ現れ度胆抜かれる」



カナダ・マニトバ州のとある国立公園に近い友人宅に間借りして、夕方からの撮影の準備をしていると、裏庭に続くドアの方から、かすかな物音が聞こえた。トトン、コツ…。なんと目の前にあったのは、大きな毛むくじゃらの背中…やって来たのは一頭のアメリカクロクマだったのだ。幸いクマは部屋に入ってこようとしているのではなく、ドアの近くにおかれたクーラーボックスの匂いを嗅いでいた。当然食料を外に置きっぱなしにはしていないが、どうやら残った匂いにつられてドアまで近づいて来たらしい。いまは冬眠前で食欲旺盛な時なのだろう。クマは再び歩き出すと、裏庭の先にある野生のチェリーの茂みに気がついて、枝を折りながらムシャムシャと食べ始めた。

作家紹介

写真家 大竹英洋 (神戸市在住)土門拳賞を受賞した写真家 
北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに、人と自然とのつながりを撮影。主な写真絵本に「ノースウッズの森で」(福音館書店)。「そして、ぼくは旅に出た」(あすなろ書房)で梅棹忠夫山と探検文学賞受賞。2020年2月、これまでの撮影20年の集大成となる写真集『ノースウッズ 生命を与える大地』(クレヴィス)を刊行。

参照
https://kobecco.hpg.co.jp/50607/50595/50595/50603/45583/
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