美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

紙で彫刻する2

2014-12-29 18:27:49 | 日記

以前紹介した紙だけで作る彫刻の作品が全員完成しました。 

 写真はまだ未完成のものがある時のものですが…。

  

今回取り組んだこの題材は、

 「おそらくそんなに時間をかけすぎることもなく、作品として成立させやすいと思う。

 美術が得意な子はいろいろ工夫して凝った作品も作ることができそうだし、そうではない子もそれなりの作品を完成させることができそうです。」

 

…と、以前の記事で述べていましたが実際どうだったのか振り返ってみたいと思います。

  

1 題材について

  余った切れっぱしの画用紙と白ボール紙を偶然業者さんからいただけましたので、それらをメインの材料に。それと元々美術室に眠っていた和紙(種類はわかりませんがあまり質が良いものではない)、コピー用紙のみを使うことを条件に制作させました。

  紙の良さを生かしつつ、あまり複雑にこだわりすぎないようにすることで短時間の完成をねらってのこと。

  また、彩色もなし。白のみの美しさで表現してみよう。それも紙の良さを生かすことになるだろうし、「紙だけでこんな形が作れるんだ」と制作者はもちろん鑑賞者にも味わってもらいやすくしたかったからです。

  

2 制作手順

  ①試しにコピー用で「きれいだな」「おもしろいな」って思う形を色々作ってみよう。

  ②主のテーマ『心が動いた瞬間』とし、そこから自分のテーマを決めよう。

  ③テーマのイメージをどんな形で表せるか、絵で表現してみよう。

  ④制作してみよう。


切って折ってつなげる者もいれば、

切って丸める者。

切って巻いてつないでいる者も。

出来上がった形を白段ボールの板に配置していきます。

  

…しかし、この手順が丁寧すぎたのか、考え自体が甘かったのか。時間がかなりかかってしまい予定オーバー。

 やっぱり抽象表現って難しいって再認識。

 どうしても具体的な「手」の形が出てきちゃったりして、「そうじゃないんだよ…。」となる始末。

 こういうことをやりたいのであれば、事前にもっとやっておくべきことがあったと思います。

 『喜怒哀楽をそれぞれ絵で表してみよう』みたいなことを、以前他の学校でやったことがありましたが、そういうのやっておけばよかったな…と反省しました。

  それと抽象彫刻を数多く見せるとか、彫刻じゃなくても絵画でも何でもいいから、抽象ってものをもう少し勉強させなきゃダメだったなと。…反省だらけです。

 反省ついでにもうひとつ。

 紙の種類によって色が違ってなんだか美しくない…。特に掘り出した和紙の色が黄色っぽくて。

 

 結局出来上がった作品を白スプレーで仕上げることにしました。

 これにより紙の風合いは少し薄れてしまいましたが、接着部分が汚くなってしまった作品が多くあったので、その部分を隠すことができるメリットはありました。

 結局たくさんの反省点が見つかったわけですが、それでも出来上がった作品たちはなかなかのもの。

  制作した2年生の生徒たちは、それぞれ工夫しながら平面の紙を立体として立ち上げ、絵が苦手な生徒や粘土だと思ったように立体造形できないような生徒も、テーマに沿ってきれいな形、おもしろい形を作ることができていたと思います。

 

 あとは今度の美術展で何作品かまとめて展示し、鑑賞者に「紙だけで作ったんだー?」と少しでも驚いてもらえれば成功かなと思います。

 ここでも展示の仕方にいくらか工夫が必要ですね。ただ作品だけ置くような展示では、いったい何を表わした作品なのか?何をねらって取り組んだ題材なのか?がわかりませんから。

 

 美術の先生はどんなことを育てようと思っているのか。

 中学校の美術の授業ではどんなことを学んでいるのか。

 美術の授業の有用性は。

 

 せっかく展示してたくさんの方に見てもらうんですから、できる限りそういったものが伝わるような展示をしてみたいと思います。…他の学校の作品の邪魔にならない程度に。

 

 

 

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グルーガンの使用を考える

2014-12-15 00:24:13 | 日記

グルーガン。

美術の先生なら誰もが知っているだろうし、いくらかは作品制作に生かしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一時期流行った『スイーツデコ』っていうのかな?あれに使いやすいというので出回るようになり、スティックの色も増えました。

近年は100均にも売られていますし、使いやすい便利な接着剤の一種ですね。

 

私もかなり以前から私的に使用し、授業でも部分的に使用させてさせていましたが、今年はもうちょっと思い切って作品制作に積極的に活用させてみました。

色の種類を増やして、それに伴いガンも増やし。そうなると電源確保及び専用の作業スペースも必要となるため工夫して確保し。

 

で、3年生の彫刻作品に使用することを許可しました。

『許可』『解禁』というのが自分の授業の場合しっくりくるかなと。これまでもケースバイケースで使用はさせてきましたがほぼ透明のみでしたし、ここまで大々的に使わせるのは今年が初めてなので。

 

これまではグルーガンって…

『楽しいだろうけど、そればっかりになるのでは?』

『楽しいからって、使わなくていい部分にまで使う子が増えるのでは?』

という思いから、使用を制限していました。

そして一番危惧していたのが

『作品がおもちゃっぽくなるんじゃないか?』という心配。

 

でも…これって勝手に僕自身が決めつけてるだけだよな…。

やらせてみなきゃわからない。

美術ってそういうもので、挑戦して、工夫して、失敗したなら失敗してそこから考えて…美術じゃなくてもそうだ。

そういう姿勢は生きる上で大切にしたい、させたい姿勢です。

うん、美術の勉強してるのにそこのクリエイティブな興味を、こちらのはっきりとした根拠がない心配で削いでしまっては違うなと思うようになったんですね。

 

生徒たちは以前から興味を持って使いたがっている様子…

そこで解禁となったわけです。

実際にグルーガンで作品を制作している作家は存在します。美術大学の学生さんが使っているのも何かで見たことがある。 

そういう方々にはかなわないだろうけど、なかなか面白い表現方法が日々生み出されています。”楽しみながら”。

仕上がりはオモチャっぽくなるかもしれないし、やりすぎちゃうかもしれないし、他校の美術教師の皆さんからどう思われるかわからないです。

でもいいんです。

「やりたいことをどんどん、とことん、表現しまくってくれ!」

今はそう話し、グルーガンに凝っている生徒にもどんどん凝らせています。

3年生の最後の作品制作です。これまで身に着けた技能や感覚をフル動員し、美術表現の楽しさを存分に味わってほしいと思う。

 

 さて、

作品展の審査会が近づき「放課後美術」をしてから帰路につく生徒が増えました。

最近はテストの直前を除いては、放課後毎日欠かさず数名~10数名の生徒たちが熱心に制作しています。

「無理してこんなに毎日頑張らなくていいんだよ。」などと声をかければ、「楽しいので大丈夫です!」と答えてくれたりする生徒もいます。

よって、”やらされている感”は全然ないです。私の都合で美術室前に『本日定休日』の看板を出す日があれば、「明日はやっていいですか?」と聞いてくるし。…ここ3週は土曜日も数名来て制作しているし。

ほんと感心してしまいます。

楽しみながら、趣味のように毎日制作に向かい、美術を愛好する。

そんな生徒がいる場所で美術教師として働くことができるのは、とっても幸せなことだなと実感する毎日です。

 

よし明日は月曜日。今週も頑張ろう!

自分にできる支援や助言、協力はどんどんしてあげようと思う。

 

 

 

 

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