美術の先生は考える

中学美術の授業の実践を中心に、美術について考えたイロイロを紹介できればと思います。

題材まとめ:見つけてみよう 自分だけの小世界  2021

2022-01-08 21:57:14 | 日記
2学期の1年生の題材です。
シンプルに題材のまとめとして記しておきます。

【この題材でのねらい】
・絵画制作を体験させたい。
・見方、視点を変えて景色を見せたい。
・水彩絵の具を中心に様々な表現画材、技法、方法を体験させたい。
・Chrome bookの様々な活用をさせたい。

【用意したもの】
・八切り画用紙(ヴィファアール紙)
・水彩絵の具セット(安いもの)
・水彩筆3種 他
・鉛筆4種ほど
・色鉛筆
・パステル(100均)
・スパッタリングセット

【その他使用したもの】
・パレット(生徒のポスターカラーセット付属品)
・Chrome book
・クロッキー帳、ワークシート

◼️完成作品1

撮影後の画像の加工が効果的でした。無彩色っぽくコントラストを強めたことで、この作品が生まれたと思います。また、仕上げで地面に使った白のスパッタリングや、靴に使った色鉛筆の表現も秀逸だと思います。

◼️完成作品2

葉の表現の工夫がすごいなと思います。ここにも色鉛筆での描画が見えます。水彩絵の具だけではしづらい表現方法も、色鉛筆を使うことによりこのように表現することがてきています。

◼️完成作品3

色々な表現方法を試してみるよう仕向けてみたら、この子は途中からひたすら指で表現し続けていました。撮影→加工の際で、思い切ってクローズアップしたことで、本当に描きたかったところを描きたかったように仕上げることに繋がったと思います。

◼️完成作品4


作品展に出す際にはこのように台紙にレイアウト。
この子は元々絵が上手な子ですね。技術的なことは何も指導してません。「レンズゴーストを色鉛筆で描いてみてもいいかもね?」、「太陽の光をもっと広げた方がいいかな」と途中言った程度。
美術展の支部審査会で1年生の最高評価を得たのはこの作品。
やっぱり皆さん上手な絵が好きなんだなーと実感です。
このように展示を考えた台紙へのレイアウトをスタンダードにしていきたいと取り組んできて数年になりますが、増えていけばいいなーと考えます。

【題材の成果】
まだ鑑賞会をやっていないので、生徒が感じたことや学びなどは全て見えてはいませんが、毎時間の振り返りを見ている限り、ただ「絵を描いた」のではなく、工夫して表現した活動になったと思います。「絵を描く授業」にしたくなかったので、色々見せたり、考えさせたり、提案したりしてきたので、その点が今後に繋がる大きな成果になったと思う。

【課題】
・設定時間内に完成させる生徒が少ないこと。
→導入、撮影、画像加工・主題設定に時間をかけ過ぎたのかも。また、制作時間短縮をねらい、撮影・加工の際に、クローズアップさせて、描く対象を単純化させようと勧めたのだが、それがあまり捗らなかったことも原因か。

・「絵が苦手、嫌い」という生徒を大幅に減らすことはできなかったであろうこと。
→「上手く描きたい」という願望が優先してしまうのか。もっと「上手くないけど良い絵」を見せたり、こまめに授業内で個人内評価を進めるべきだったのかもしれない。

・主題にこだわりすぎたか?主題に合った有彩色を考え、その色で画用紙に下地塗りをさせてみたが、その下地塗りが邪魔になる程濃く塗ってしまい、後々まで強過ぎる影響が出てしまった作品があったこと。
→ただその反面で、選んだその有彩色一色と無彩色だけで表現することを選ぶ子たちが複数名おり、表現方法の幅が広がったということもあった。全員に強制させなくても良かったのかもしれない。

★まとめ
久しぶりの実践となった題材。
以前より上手く指導したり、上手く制作させたりできた部分はあったし、表現方法の幅を広げる提案をするタイミングも考えながら上手くできたと思う。
反面課題も多くなってしまったし、特に「絵を描くのが好きじゃない」生徒が目に見えて減っていく実感を得られなかったのが大きな反省点。今後絵で表現する題材で、そういった生徒を減らすことができる工夫を、題材設定の部分からしたいと思った。





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