失恋論

 忘れようと努力しても、出来なかった人に向けて書くブログ。同時に、恋をまだ一度もしたことがないという人に向けて。

「恋愛は、下手な方がいい」

2006-04-06 10:07:41 | Weblog
  一ヶ月ほど前、お仕事でご一緒した岡部まりさんに『失恋論』を渡したら、次にお会いしたときに素敵な感想をいっぱい聴かせてくださいました。

  僕は『失恋論』の中で、自分が好きになった女性についてあまり詳しく書いていません。それが目的ではないからです。自分のエピソードから始まるという構成上、最低限の経緯を記したのみでした。

  岡部さんは少ない情報の中から、僕がその女性に感じた魅力のすべてを読み取ってくださっているのがわかってビックリしました。岡部さんはそこに自分を重ね合わせているように見えました。

  社会的に早く自立していた立場から、他人に妥協したりなびいたりしたくない。その上で年長の人から汲み取るものは汲み取りたいから、男性には演技でも大人っぽくふるまってもらいたい気持ちもある。
  でも年上の男性がある程度の仕事の経験を経た上で、女性と対等な関係を求めはじめる気持ちに気づいてときめく気持ちが伝わってきた、と。
  
  そして、以前出されたという『片想いにさようなら』という本をお返しに下さいました。
  岡部さんが十年前に失恋したときの本です。

  本を開いただけで、恋しているときの気持ちが甦ってきました。
  
  恋は「エネルギー」だと岡部さんは書きます。
  「ああっ」と思いました。
  自分の中にあったものを言い当てられた気がしました。

  僕は最初、あの気持ちが恋であることは自覚していませんでした。
  とにかく、内側からエネルギーが湧き上がってきて、普通それはポジティヴでいいことなはずなのに、あまりにもその力が強いので自分でもどうしていいかわからなくなってしまったのです。

  「それは恋だよ」
  そう友だちに言われて、初めて自覚したのでした。

  所謂「恋愛至上主義」の真っ只中だった十年前。恋愛ブームと言われた当時既に、岡部さんは「恋愛が『ブーム』だなんておかしい」と言い切って、マニュアルを否定しています。

  「恋愛は、下手な方がいい」

  岡部さんの十年前の言葉が、いまの僕を照らし出してくれました。