未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第19章 試練を乗り越えて ④

2021-03-23 16:35:31 | 未来記

2012-09-23

4.どうなるンだ…?

 

宇宙船の乗組員達と話しているアニキの後ろに、タケルと少年達が現れた。

 

タケルは気が付かなかったが、アニキはそのまま宇宙船に残っていたようだ。

 

アニキは乗組員と話していたが、先ほどの少年達の態度が好ましいものでなかったせいか、乗組員の方は疑い深い顔をして聞き流している風だった。

 

そのせいか、再び現れた少年達に気がつくと、ひとりが大声で叫んだ。

 

「こいつら、また戻ってきたぞ!

 

また何か、たくらんでるんじゃないのか?

 

おい、鎖を持ってこい!

 

手分けして、全員鎖につなぐんだ!! 」

 

その声とともに、何人かの乗組員が集まってきて、少年達の有無を言わさず、周りを取り囲み、ひとりひとり鎖につなげていった。

 

少年達のほとんどは、元の宇宙ステーションに戻りたいという一心だったので、抵抗する気持ちもなく、素直に鎖に縛られていった。

 

それでも、男達の乱暴な縛り方に、少年達は口々に文句を言った。

 

「オレ、まだアンタを殴ってないんだけど、これ以上痛い目に遭ったら、アンタを蹴るかもね!」

 

「オレ達、なんで縛らなきゃなンないのさ!」

 

「宇宙船を乗っ取って、なにするっていうンだ。  

 

それより、オレ達を元の所に返してくれよ!」

 

「オレ達は被害者なンだ。

 

家族の所に返してくれよ!」

 

「頼むから誰か、オレ達の話、聞いてくれないかなぁ!」

 

少年達の叫び声を、うるさそうに聞き流し、男達は部屋を出て行き、鍵をかけた。

 

そこへ、キララの声が聞こえてきた。

 

「こんなことになるって、わかってたよ。

 

自分らの都合ばっかり考えたって、周りはハイそうですかって聞いちゃくれないよ!

 

アタシが言っても、たぶん聞いちゃくれないと思ったから、黙ってたけどね…」

 

この言葉に、少年達の怒りが爆発した。

 

「わかってるなら、なんで戻ったンだ!」

 

「そうだよ、戻らない方が自由に動けたし、こんな痛い思いして縛られなくても…」

 

「早く、オレ達を自由にしてくれよ!」

 

しかし、キララは少年達を怒鳴りつけた。

 

「アンタ達のいけないとこは、人の話を聞かないとこなンだ。

 

そんなことじゃ、人もアンタ達の言うこと聞いてくれないよ!

 

いいかい!

 

今まで、ひとりひとり、アンタ達の未来を見せてやったことがあるだろ?

 

覚えてるかい?

 

ニックだって、今のままじゃ、将来は監獄行きなンだ。

 

ここにいるみんなも、そう違いやしないンだ。

 

そりゃ、自分の将来を聞いて、自分でそうならないようにすりゃ、アタシの言ったことなンて忘れていいさ。

 

でも、今ンとこ、アンタ達の未来は、変わってないよ!

 

特に、タケル!

 

まだアンタの未来を見せてなかったけど、ホントはここの誰より悲惨な運命?

 

ってのが、待ってるンだ。

 

しかも、もうすぐそれが始まるンだよ… 」

 

タケルは、今までキララが言ったことが、本当に起こることを思い出した。

 

「アンタの大切な子がいるだろ?

 

アノ子がこれからどうなるか

 

知りたいかい…?」

 

タケルは、キララをにらみつけながら、…キラシャに何が起きるのだろうと、不安な気持ちを押しこらえた。

 


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