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IN THE LIFE

~されど愛しき日々~

生きてる

2016-06-06 22:44:16 | 読書感想
 「生きてる」・・・非常にシンプルで深い言葉ですね。

前回書いた日本の画家、若冲さんの動植綵絵の中に「池辺郡中図」という

生き物を描いた作品があります。

蛙やトカゲや蛇や蝶や虫達が細かく、かつ何だか愛らしく描かれている作品です。




この絵は下半部の一部です。お借りしました。(本当はもっと描かれています。)

この絵に文と構成を施した小泉吉宏さん(しったかブッダシリーズの著者ですね)の本がありまして

その本のタイトルが「生きている」です。



これを読んで胸に熱いものがこみ上げ、気がついたら私は涙を流していました。

泣かずにはいられなかったんですね。

でも内容は悲しい内容なんかではありません。



シンプルに言葉が綴られていますが
この世の仕組みをこの絵と一緒に語っています。


以下、「生きている 小学館 文・構成/小泉吉宏 解説/大田 彩」より 抜粋

ほんの僅かな一部をご紹介します。

______________________________________

生きている


今この瞬間に生きている
今この瞬間を生きている

瞬間―さっきと今の境目はあるか?
瞬間―今とこれからの境目はあるか?



昨日と今日の境目はなく
今日と明日の境目はなく

上と下つくられ
右と左つくられ
前と後ろつくられ
内と外つくられ

善と悪つくられ

悩みつくられ
悲しみつくられ



人が作った境目に
人の心つくられる




生きていれば喜び生まれ
生きていれば悲しみ生まれる

喜びと悲しみに
いい悪いはない



あるのは今のみ

今この瞬間を気づく
今この瞬間に生きる


人は今に生きている
人は今を生きている

______________


本一冊長いので全部は紹介しません。出来ません。

実際はもっと長く深いです。でもシンプルです。

そしてこの一冊で気づくこと、教えられること、そして感動が詰まっていました。
読んだ後、落ちてくる涙を止めることが出来ませんでした。

この世の真理を突いた小泉さんの文章と若冲さんの大自然の中の生き物が私の心の何かに
触れたのでしょうね。

若冲さんは細かな生物や植物を目にして、そして絵にして、感じたことがあったんだと
命の尊さを思ったのだと
そんな風にも思いました。

まさか
小説でもなくノンフィクション作品でもなく

絵と詩のけして厚くない本で泣いてしまうとは思ってもいませんでした。

感動をありがとう。

若冲さんとの出会いはこれを知るための必然だった気がします。

生きてるって素敵だ。

やっぱり日々愛しいね。(自分のブログのタイトルにたどり着きましたよ~笑)

勝手に読書感想文8 シドニィ・シェルダン 「空が落ちる」 上下巻

2016-05-30 21:58:07 | 読書感想
 シェルダンの作品今回はこちらです。これを書くひとつき前に読み終わってた作品です。



上下巻同じデザインの表紙でした。

では、あらすじ・ネタバレと感想です。

女性ニュースレポーターでありキャスターのダナは名門一家が不慮の事故で一年に5人も亡くなり
血が途絶えてしまったことをこれは事故ではなく事件ではないか・・・?と疑問を持ち
ひとりで単独捜査に乗り込むことに。

こういうの怖いなーって思いつつ読んでいました。
今なんて女性一人でこんな行動に出たら間違えなく命を狙われると思いますね。^^;

そのくらいダナは正義感溢れる女性なのでしょうね。
片腕が亡くなった少年を自分の養子にしたりもしているし。

ちなみにタイトルの空が落ちるという意味は「常識では到底起こりえない出来事が起こった」ということの揶揄です。

チキンリトルという名の子供の鳥が頭にやしの実が落ちてぶつかった時に言ったセリフ
「大変だ!空が落ちてくるよ!」から取ったものでした。

私それが分からず、何かお天気関連の小説なのかしら?と思ってました(笑)全然違った。

そしてこれ、
恐ろしいことに犯人はダナ自身が一番信頼を置いている身近な夫妻とダナが彼らに紹介されて雇った
家政婦だったというなんとも腹立たしい真相・・・。

途中ダナの恋人ジェフとその元奥さんのことも書かれていて話はドラマチックでしたが、

この作品、今までのシェルダンの作品と比べるとやけに話が急に変わって飛ぶんです。(笑)

きちんと調べては無いけどもしかしてシェルダン氏の初期の作品なのかなー?何て思ったりしましたが
トータル的に内容はハラハラしながら楽しんで読めました。


勝手に読書感想文7シドニィ・シェルダン 「億万ドルの舞台」

2016-04-25 22:19:30 | 読書感想
今回は一冊で完結型の小説「億万ドルの舞台」のレビューです。



電車の中で一日で読めました。

色んなサイトの評価ではつまらないと評判が悪いですが、普通に面白くて主人公のエディという役者のおっちゃん(?)が
なんだか可愛くて面白かったです。

以下感想とネタバレ。

売れない役者のエディは家賃のつけはたまっており生活はままならないが奥さんがいて
その奥さんの妊娠が判明した為、どうにか養うためにエージェントに役をもらい生計を立てようと必死。

ようやくもらえた役は他国を公演する舞台のちょい役だが
そこで行った独裁国のトップと顔がそっくりなことからエディは彼になりますよう依頼され
命まで狙われる羽目になるという・・・。

これでほぼ話の見通しがつきますが、これがまた面白くて痛快。
思わず私は「アハハ」と声を上げて笑ってしまいました。

独裁者になりすましたエディ。彼が
「ちょっと紙とペンを持ってきてくれ。」というとエディマジックが繰り広げられてしまう。(笑)

勘違いで行ったことがすばらしい結果につながり大変なことになるという
細部がなかなか面白かったです。

そしてエディの奥さんへの一途なことがすばらしかった。

どんな美女に近寄られ、触られても
「やめてくれ!」と言ったり邪な心がなかったエディはすばらしいと思いました(笑)

そしてもちろんエンディングもハッピーエンド。
なんとエディは最終的にはアメリカ大統領です!

これ、中高生くらいからの学生にも読んでもらいたいと思いました。
きっと笑ってしまうでしょう。

辛口評価のこの小説、私は面白かったです。☆4つは着けてしまうと思います。




勝手に読書感想文6シドニィ・シェルダン 「ゲームの達人」上・下巻

2016-04-10 21:01:41 | 読書感想
昨日と今日の二日間で読み終えた、今回はシェルダンが日本で有名になるきっかけとなったこの作品です。



微妙な後味の悪さとでも言いましょうか、
amazonのレビューでどなたかがこんな人にはなりたくないという登場人物ばかり、見たいなことをおっしゃってましたが
全くその通りでした。

以下感想交えてネタバレです。

一番最初にダイヤモンド鉱山で苦労して会社を成り上がらせた男から
曾孫くらいの代までの話なのですが、メインの主人公は最初の登場人物から2代目の娘のケイトが90歳の
曾孫が出来るまでの、一族のストーリーですが何とこれがもう・・・

ろくな人間が出てこないというか・・・・
ケイトが自分の会社を守るためなら息子まで駒にする汚さ、
この莫大な富のある会社のため、息子のためよ、孫のあなたのためを思ってるのよ・・・という
気持ちがもう家族の気持ちを尊重してないんですね・・・。

はっきり言って、このケイトという女は自分のことしか考えていません。
「あなたのためを思ってるのよ。」って言葉って
結局は自分のためなんですよね。

その人の考えを尊重してないんだから。(あるていど子供や相手が良い年齢にいなってさえもそういう人って)

この本に限らず
人の気持ちを尊重するって凄く大事なことで
それが出来てないからおかしくなるんだよなぁと思いました。

事実私の父親もそういう人でした。

私の将来を私の話など聞く耳を持ってくれず学歴だけを押し付けて来る人でした。

私が言うことを聞かないと母に八つ当たり(殴るなど)する人だったので
私は母が八つ当たりされるのを防ぐために自分の意見や話を聞いて貰えず言うことを聞くしかありませんでした。
ですから私は正直今でも父親のことが多少なりとも丸くなったのかもわかりませんが好きではありません。
実家にもここ3年帰っていません。帰る気がしないのです。

話がそれました。

このケイトという主人公、まぁ最後にはおばあさんですが
恐ろしいことに曾孫の男の子にまで自分の会社を托そうとするのがみえてて怖かったですね。
口では「私は人の人生を邪魔する権利は無いですからね。」とは言いながら
やってること、考えてること腹黒いったら・・・。

まぁ読んでみればわかります。

ちなみにこの曾孫の男の子とは彼女の女の子の孫の医者との間に生まれた子で
この夫婦は大きなビジネスには何も興味が無いんです。皮肉なことに。

でも先代の性格や血からこういう風になってしまうのは
仕方が無いのかもとも思わせました。

いずれにせよ、面白かったですがこのキャラクターがいいなと思わせる登場人物が確かに(私的には)いない
と言うのが正直なとこです。

男性キャラクターもこの人かっこいいというのもありませんでした。

男の人がこれを読んだら女って怖いって思うかも(笑)

勝手に読書感想文5 シドニィ・シェルダン 「天使の自立」上・下巻

2016-03-30 17:52:46 | 読書感想
 この作品も相当古い作品だと記憶していて、私が大学生の時にはもう世に出回っていた作品を
ようやく読み終えることが出来ました。



この表紙の天使の絵のポストカードがミュージアムショップに売っていたのを思い出しました。
メロッツオ・ダ・フォルリという画家の絵だそうです。

さておき、以下ネタバレと感想です。

新米女性弁護士のジェニファーがはめられたことがきっかけで
裁判にかけられるはずだったマフィアのボス、マイケル・モレッティを逃がしてしまうことで
弁護士としての新たなスタートを上げられず検事長の怒りを買い
どん底から這い上がっていくというストーリですが・・・

ジェニファー頑張りました。彼女はマフィア、マイケル・モレッティの手先にはめれらてしまったのですが
それからもう惨めな思いと生活をし、所持金が底をついても諦めなかった。

彼女を受け入れてくれた探偵事務所のケン・ベイリー(かっこいいけど同性愛者)と共に
立ち上がっていくんですね。

その中で弁護士で彼女の弁護士資格の剥奪を防いでくれた人、(後に大統領にまで成り上がった男)
アダムに恋をし、彼の子供まで身ごもってしまう。

しかし彼には奥さんがいて奥さんも同時に妊娠してしまい
彼女はシングルマザーとしての道を選ぶも
その子供が誘拐され、彼女のとった行動(とらざるを得なかった行動と言ったほうが良いかな)は
彼女を陥れながらも、彼女を本当に心から愛してやまないマイケル・モレッティーに助けを求めることだった。

ついには自分の思いとは裏腹に
大事な息子を見事連れ戻してくれたマフィアのマイケルの愛人にまでなってしまうという・・・。

でも、ジェニファーはマイケルを好きだったのだと思うし
何より読んでて伝わったのは、このマイケル・モレッティがジェニファーに惚れててどうしようもない
っていうのが伝わってきて・・・せつなかったですね。
マイケルは女なんて自分にとって何でも言うこと聞くだけの軟弱な存在でしか無いと思っていたのを
覆した存在がジェニファーで、もう彼女を本気で愛しているマイケルの気持ちがよくわかりました(笑)



下巻の表紙の絵はラファエロ筆、バチカン宮殿内のフレスコ壁画でした。

またこのマフィアのマイケル・モレッティという男が凄くかっこよく描かれてて、
ジェニファーも頭がよく芯がある女性だからマイケルが惹かれるのもよくわかるって感じでした。

これ
最終的にどうなったかとかは書けませんが(書く気がしないだけなんだけど)

読んでて色々せつなかったですね。

後味は悪くありませんでした。

確かにタイトル通りジェニファーという女性の天使の自立というタイトルにふさわしい本なのでは
無いでしょうか?

ちなみに夜中に読み終わって、私はその後眠れなくなってしまいました。(笑)

面白くて今でも何回も読んでしまいます。

こんな作品に出会えたことに感謝です。