“なくて七癖”などと申しますが、人間みな何かしらかたよった性質や習慣を持っています。
一寸(ちょっと)みただけでは、あまりくせのないような人でも、心の中には色々なくせを持っています。
私自身の心の中を覗いてみても、人の持っているものを何でも欲しがる心、
自分を棚に上げて、人のことをとやかくいう言いたくなる心、考えても仕方のないことを、くよくよと考える心、といったような、ごく悪質なくせが、たちまち目に付きます。
おそらく、数え始めたら切りがないほど、たくさんの悪いくせを持っているように思えます。
持っていてはいけないと分かっていながら、永い間、後生大事に持っているのです。
この悪いくせを、何とか一つでも減らしたいと思うのですが、なかなかどうして、長年大事にしてきたくせ共は、私の心の中がよほど居心地が良いとみえて、居住権を主張して出て行こうとはしません。
軒を貸して母屋を取られるようなありさまで、くせがなくなったら、自分がどこかへ行ってしまうような気もします。
しかし、悪いくせが、回りの人に迷惑をかけ、それ以上にその人自身を苦しめていることは確かで、なんとかしなければなりません。
永年居座っている悪いくせという居候に出て行ってもらうには、どうしたら良いのでしょうか。
色々な方策が考えられますが、一番良い方法は、心という家の中を少しかたづけて、掃除をしてみることです。
そして、その上で、家の中に大事なお客様を招待することが肝心です。
そして、できれば、そのお客様に当分家に泊まってもらえば、居候もあきらめて出て行くはずです。
大事なお客様とは、仏さまの教えです。大事なお客様を自分の心の中に招待する努力が、仏教の信仰生活です。
ひとつ、居候の追い出し作戦を始めてみようではありませんか。