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冬のソナタに恋をして

チュンサンの誕生日


チュンサンの誕生会には、結局5名の友人が来てくれた。一番初めに来てくれたのは、ヨングクとチンスクだった。ヨングクは恥ずかしそうに、チンスクに腕をつかまれて、半ば強制的のような感じで現れた。それを見て、ミニョンはにっこりと微笑み、ユジンはうれしさのあまり涙ぐむのであった。とくにミニョンは嬉しそうにヨングクと握手をして、ほっとした表情を浮かべた。ヨングクとチュンサンが和解した瞬間だった。その次に、大きなプレゼントを持ったキム次長が、花束を手にしたチョンアとスンリョンと一緒に、訪れたのだった。

「誕生日おめでとう」ミニョンがケーキの火を吹き消して、誕生会はスタートした。ミニョンは本当にうれしそうで、一人一人の顔を見つめてはにっこりと笑っていた。皆はおいしい食事とワインですっかり饒舌になり、今までのわだかまりが嘘のように話が弾むのだった。しかし、ここにチェリンとサンヒョクがいない寂しさもあったし、ここまでミニョンとユジンが越えてきた道のりは相当のものだったので、楽しい席にセンシティブな話題はあえて避けて、楽しい話題を中心に話に花を咲かせていた。キム次長とスンリョンとチョンアさんは、ヨングクとチンスクを連れて、二次会に行くと言ってすっかり酔っぱらっていた。「あとは10年ぶりに再会したラブラブのお二人で楽しんでくださいね~。」キム次長はひらひらと手を振ると、鼻歌を歌いながら去っていった。

ミニョンとユジンはみなを見送った後、嬉しそうに微笑みあった。

「ユジン、今日はみんなをよんでくれてありがとう。」

「私が呼んだんじゃないの。みんなが来てくれたのよ。」

「そうか」

それを聞いて、ミニョンは何でもないことのように言うユジンに感謝した。裏ではいろいろと手を回してくれたのだろうにと。

「チュンサン、あと一人ね。来られなかった友達。行ってみてよ。あなたの誕生日の様子や、体調を気にしてるわ。」そういうと、ユジンは「じゃあ行くね!」と歩き出した。そして振り返るともう一度にっこり笑って手を振って去って行くのだった。


すると、ミニョンの顔から笑みが消えて、一つため息をついた。そしてどこかに車を走らせるのであった。ミニョンの向かった先はチェリンの経営するブティックであった。ミニョンがチェリンの事務所に入ると、チェリンはびっくりして立ち上がり、ミニョンのそばまでやってきた。

「ミニョンさん!誕生日でしょ?ユジンと二人きりで祝えばいいのに、どうしたの?」

チェリンの声はとげとげしくて攻撃的だった。

「君には悪いことをしたと思ってる。チュンサンとしても、ミニョンとしても」

「それで?謝りに来たわけ?」

「そうだよ。ごめん、、、」

「そう思うなら戻ってきてよ。チュンサンは忘れられても、ミニョンさんは無理。だってミニョンさんは私のことを好きだったのよ。ミニョンさん、もう一度考え直して。前は私のこと好きだったでしょう?」


チェリンはたまらずにミニョンに抱き着いて涙を流した。すると、ミニョンはその手をそっと振りほどいていった。

「それは無理だよ。わかるだろう?やめてくれよ」

すると、チェリンは怒り始めた。

「だったらなぜ私に会いに来るわけ?どうせユジンに慰めるように言われたんでしょう?」

涙を流してソファに座り込むチェリンに、悲痛な面持ちでミニョンは言った。

「チェリンという友達を取り戻しに来たんだ。」

「友達?チュンサンに友達なんかいらないわ。私に必要なのはミニョンさんだけよ。」

チェリンは挑むような眼でミニョンを見つめていた。

「僕が急ぎすぎたようだね。」

ミニョンは後悔を声色ににじませてそっと背を向けた。歩き出すミニョンの背中に

「絶対にミニョンさんを取り戻して見せるわ」というチェリンの声が追いかけてくるのだった。


家に帰って一人になったミニョンは、ほっと一息ついた。今日はいろいろなことがいっぺんに起きたのだった。うれしいことも、悲しいことも、すべてが押し寄せてきた。その中でも、ユジンを中心として、かけがえのない人間関係が築かれていることが、とてもうれしかった。そして、チェリンのことはただただ申し訳ないとしか思えなかった。その時だった。ふいに激しいめまいが押し寄せてきた。最近疲れると時々頭痛やめまいを感じていた。ミニョンは疲れのあまり、着替えずにベッドで寝てしまうのだった。

その頃、バーでは二次会の5人がしこたま酒を飲んでいた。特にキム次長とチョンア、チンスクはベロベロに酔っていた。


「ほんと、あの二人には爺やとばあやがどれだけ気をもんだと思ってるのかなぁ。ミニョンは婚約者がいるユジンさんをずっと追っかけてるし、チェリンさんていう美人の恋人はほったらかしで、どうなるのかと思ったよ。あの吹雪の夜に二人きりで山頂に閉じ込められたときぐらいから、二人が変わっていったよな。でも、二人が高校時代に恋人だったなんて、言われてみれば何もかもがしっくりくるよ。まるでミニョンの好きなパズルみたいにピタリとはまるっていうのかな。」

キム次長が酔っぱらって大声で言えば、チョンアも大きなため息をついて言った。


「誰が、ばあやよ?!でも、ほんと理事と初めて会った頃のユジンは、挙動不審で思い詰めてるような、心ここにあらずで変だったのよ。でも死んだ初恋の人とおんなじ顔の人に会ったら動揺するわよね。あの子が理事を庇って怪我をしたときは、びっくりしたんだから。近くで見ている身としてはハラハラして身が持たなかったわよ。ねっスンリョン。」

「俺はよくわかんないけどさ、でもいつか理事とチョンアさんとキム次長とユジンで飲んだ時に、ユジンに初恋のことを聞いたら、理事の顔をじっと見つめて、飲めない酒をあおったことがあっただろ?あのとき、ユジンは理事の中にチュンサンて男を見てたんだな。最初から理事はユジンのものだったんだな。チョンアさんが言ってたミスターパーフェクトがさ。ユジンも初恋を実らせるなんてラッキーだな。」

すると、一番酔っぱらっているチンスクが話し始めた。


「あなたたちね、ユジンとチュンサンがどんな大恋愛だったか、チュンサンが死んだときのユジンの様子をよ~く知ってるあたしが話してあげるから。」

そういうと、チンスクとヨングクは高校時代の話と、ユジンがチュンサンの死後、チュンサンを忘れられずにどんな10年間を過ごしてきたかを話した。

話が終わると、5人はしんみりして黙ってしまった。そしてキム次長がみんなの気持ちを代弁して言った。

「もう一度、チュンサンの復活の誕生日に乾杯しよう。そしてミニョンことチュンサンとユジンさんの未来にも乾杯しよう。乾杯‼️」

するとチョンアが盃を飲み干して言った。

「順番から行くと、わたしにも白馬の王子さまが来てくれるはずなんだけどなぁ」

スンリョンがニヤニヤしながらキム次長を見て言った。

「白馬のおじさまがいるじゃん」

「はぁ?誰が~。あたしにだって夢を見る権利はあるでしょう?」

そう言いながらも赤くなってまんざらでもない様子のチョンアと、目を白黒しているキム次長を前に、皆大笑いをするのだった。楽しい飲み会は夜更けまで続いた。

コメント一覧

kirakira0611
@hananoana1005 さま、ありがとうございます😊
そうなんです。理解不能です、、、。二人、ちょっとバカップルになってます。
あえてここで名脇役たちの楽しい宴を書いてみました。
それはそうと、素晴らしいススキの写真、みずみずしい感性の詩←見つけるのがまたすごい!、風景写真、とにかくすばらしくて良いものを見て元気が出ました!ありがとうございました😊
hananoana1005
こんにちは(^^♪
大変 遅くなりましたが、この章だったのですね~
ユジンがチェリンのところへ行くように促したのは。
本当にゆりさんが仰るように火に油を注ぎに行くようなものですね!
理解に苦しむシーンですよね~
チュンサンもチュンサンですね、少し考えれば解りそうなものなのに。

キラキラさんのグッドアイデアの同窓会のような和気あいあいとした二次会はホッとしますね~
有難うございました🌸
kirakira0611
@breezemaster さま、ありがとうございます😊
今回は友人達の部分は創作です。誕生日で引っ張ったわりには誕生日自体はあっさり終わったので、楽しい友人たちの視点で書いてみました。
ここから辛い展開なので、気分転換に!
スンリョンは完全版では出てきますが、日本版だとカットされてるかも。
チェリン役のパクソルミさんはあのあと、オールイン以外に何かに出てるのかしら?今は家事が得意でバラエティーに出てるイメージとインスタで自慢してるイメージしかなく、チェリンにピッタリです(笑)
東京ラブストーリーはもちろん観てました。小学生?だったかな。主役の二人も懐かしいですね。リカがカンチに言うセリフがちょっと‼️で、親が目を白黒してました。バブル後最後の日々ですね。良い時代でした。ちなみにわたしの世代は氷河期で、全く良い目を見てないのです。だから、上の世代の方がうらやましいです。
ちなみに、キムタク主演のロングバケーションが大好きでした。
今日も良い一日をお過ごしください。
breezemaster
おはようございます^^
冬ソナの中での、主役のユジンとチュンサンだけでなく、
kirakiraさんが書いてくれた、
ミニョンとユジンが越えてきた道のりもあるんですが、
友人たちが、一つの大きな変化を感じさせてくれる回ですよね

キム次長、チョンアさんも、いい味を出してくれています。
そうか、同僚は、スンリョンって言うんですね、知らなかったぁ^^;
一枚目の写真で、誰だろうって思ったんです^^;

チェリンの良い意味で、今風に言うとツンデレ感、
勿論、ドラマの中ですが、以前も書いた気もしますが、
彼女は、チェリンの印象が大きくて女優としての雰囲気を
決めてしまった気もします。
冬ソナほど、喜怒哀楽の変化の大きいドラマは、少ないと思います。
一話の中で、それを感じさせていただきました。


思いっきり余談ですが、
東京ラブストーリーが、先週から、BSフジですが、
再放送されているんです。
録画してみたんですが、今とは違う、髪型、スーツ、
懐かしくて、若い鈴木保奈美と織田裕二を楽しんでいます。
検索したら、1991年にテレビドラマ化され最終回平均視聴率が32.3%だったそうです。
kirakiraさんも再放送とかで、ご存知かもですが、
大昔、こんな時代も有ったのを感じる、毎週の楽しみになりました^^;
kirakira0611
@samsamhappy さま、おはようございます😃
こちらは良い天気〜。秋晴れです。そうですね、もうええやん、と私も思います。
これから先が筆重くて。
わたしも東海のシーンが好きです。
良い一日をお過ごしください。
samsamhappy
めでたしめでたし (完)(笑)
でも、私のお気に入り
東海の民宿、海岸のシーンが
カットになってしまうわね😂
kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、ありがとうございます😊
ゆりさん、名古屋に行ったんですね!わたしも名古屋に地縁があるので、嬉しくみてました。
日帰りだとかなり大変そうな気がしますが、弾丸旅行でしょうか。
あと、ネギが美味しそうです。ネギって何に混ぜても美味しいですね。料理上手で羨ましいです。

そうそう、チュンサンとユジンが少々バカップルになってますね😁
ほんと、ユジンは鈍いところがあります。
そして、いつもおおらかな5人に癒されますね。
また、楽しいお料理ネタを待ってまーす。
81sasayuri1018
こんばんは。

>行ってみてよ。あなたの誕生日の様子や、体調を気にしてるわ。

こういうところ、ユジンは鈍いですね~~
ミニョンも、しぶしぶ?いくのもね~~ 火に油を注ぎにいったようなものですものね。

>「白馬のおじさまがいるじゃん」

うふふ!お似合いのお二人です♡
この5人の二次会が明るいものなのが救われますね。ゆり
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