見出し画像

冬のソナタに恋をして

対決



柔らかな日差しでユジンは目が覚めた。ここはどこだろうか?
少しして、昨夜のことをはっきりと思い出した。ああ、暖炉の前で寝てしまったんだ、、、。周りを見渡しても、ミニョンの姿はなかった。どこにいるんだろうと思いながらも、探す気にはなれなかった。

吹雪が止んだことにほっとして、ひとり林の中をぶらぶらと歩いた。樹木は凍りついていて、空気はピリピリと刺すように冷たかった。
昨日のミニョンの告白で、ユジンの心は重く沈んでいた。チュンサンの思い出と、ミニョンの優しさと、サンヒョクの献身と、、、。ユジンの心はミニョンに向かい始めていたが、かと言って受け入れるほど、心の準備も出来ていない。
そのとき後ろから
「昨日は心配しましたよ。雪山を夜歩くのは危険ですよ。」
とミニョンの声がした。とがめるのではなく、心配するような優しい声だった。

ユジンはミニョンを見ることが出来ず、
「帰りましょう」と一言言って背を向けようとした。すると、ミニョンは言った。
「ユジンさんに昨日のことをあやまるつもりはありません。ユジンさんを悲しませたのは事実ですが、、、それでもどうしても伝えたかったんです。だから後悔はしてません」
「わたしはいつもチュンサンが生きていたら、今ごろどんな姿になっているか想像していました。だから、ミニョンさんを通して、成長したチュンサンの姿を見ることができました。それがとても嬉しかったです。でも、それがあなたに勘違いをさせたのなら、、、すみませんでした。」
ユジンは急いでその場から去ろうとした。これ以上ここにいたらまずい事を口走りそうだ。
「ユジンさん、本当に僕に好意をいだいたことはありませんか?カンジュンサンではなく、イミニョンを好きになったことは一度もないですか?」

ユジンはミニョンの真剣な眼差しにたじろいだ。嘘はつきたくない、嘘はつけない、でもここで本心を言ったら永久に何かが変わってしまう。ユジンは顔を背けながら言った。
「ありません。ミニョンさんを好きになったことは一度もありません。だれもチュンサンの代わりにはなれないんです。」
ミニョンの顔が苦しそうに歪み、その眼差しは全てを見抜いているようだった。どうして本当のことを言わないんだと。
「それならサンヒョクさんはなるんですか?
ユジンさんが今愛しているのは誰ですか?」
ユジンは現実に引き戻され、混乱していた。両肩を強く掴まれて、動けない。なんて答えれば良いか分からない。離して!と叫びたくなった。


そのときどこからか声がした。
「僕の婚約者を離せ!」
サンヒョクの声だった。始発のゴンドラが動き出し、いつの間にかサンヒョクが最後に立っていた。ミニョンとユジンは驚きを隠せなかった。
一方で、サンヒョクは予想以上にミニョンとユジンが緊迫した状況になっているのを見て、怒りが込み上げた。昨夜二人に何があってこんな話になったのか?サンヒョクの脳裏に、ミニョンの背中にまわるユジンの白い腕が思い浮かんだ。微笑みあい、キスを交わす2人の姿も。サンヒョクは怒りのあまり、ユジンを強引に引っ張って連れ去ろうとした。ユジンは雪に足が取られて転びそうになった。すると、ミニョンが叫んだ。
「まだ返事を聞いてません。ユジンさん、答えてください。好きな人は誰ですか?サンヒョクさんは誰を愛してるか答えを知りたくないんですか?」
そして、サンヒョクに挑発的な視線を送った。しかし、ユジンは答えない。何かを心の中に押し隠すような、苦しげな表情をしているだけだ。サンヒョクは自分だと言わないユジンに、また怒りが込み上げてきた。
「あなたに関係ないでしょう。どうしてそんな事を聞くんですか?」
「ユジンさんを愛しているからです」
ミニョンはサンヒョクの目を真っ直ぐに見て言った。サンヒョクはミニョンの胸ぐらを掴んだ。それでも彼は全く動じずにユジンに問いかけ続けた。
サンヒョクは何か言うべきなのに、その立場が逆転したような姿に圧倒されてしまい、動揺して言葉を失った。なんとか
「二度とユジンに近寄るな。僕が許さない」と言うのが精一杯だった。そんな自分が情けなくて仕方がなかった。サンヒョクはユジンを引きずるように連れ去っていった。ユジンは名残りおしそうな視線をちらりと向けて、去って行った。


ミニョンはそんな二人をじっと見ていた。ユジンはサンヒョクの味方もしなかったし、サンヒョクを愛しているとも言わなかった。今のミニョンにはそれで充分だった。ユジンは揺れていることがはっきり分かったからだ。

一方雪の中で一人ただずむ女性がいた。チェリンだった。彼女はサンヒョクとゴンドラに乗って駆けつけて、物陰から一部始終を聞いていた。ミニョンがはっきりとユジンを愛していると言った。恐れていたことが起こった。チェリンは絶望の淵に落とされたのだった。

コメント一覧

kirakira0611
@usagimini さま、言われて気づくけれど、チェリンかわいそうですね。
あと、ユジンて日本人ぽい。本音と建前。
このドラマは日本ぽい感性ですね。
kirakira0611
@ra9gaki_do さま、今日も暑いです。
暑さになれるまで辛いですね。
ご自愛くださいませ。
いつもありがとうございます😊
kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、ここも切ないところですよね。
四人寒そう、でも熱演してます(笑)
これからが面白くなるんですよね。
仕事の合間にありがとうございます‼️
嬉しいです。
kirakira0611
@hinata_bocco さま、やっとね、きゅーわまできましたよ。日本ドラマなら終わってるっちゅーねん。
ボッコさんは頭が良い方だと思います❤️
kirakira0611
@usagimini さま、そうですね。だんだんとミニョンに惹かれてる自覚が出てきましたね。
コメントありがとうございます。
これからが切ないですね。
usagimini
こんばんは。ユジンの中の建て前と本音の闘いが浮き彫りになってきましたね。チェリンがねぇ、かわいそうと思っても、ついユジンの味方をしちゃうんですよね。
hinata_bocco
うああああ( ・∀・)つ ついに始まってしまったあああ( ・∀・)あ、ちなみに英語は、がんばったら歌詞とか訳せる程度です( ・∀・)ペラペラではありません( ・∀・)
81sasayuri1018
こんにちは。

仕事の合間に覗きに来ました。

わたくしも20年近くのわたくし自身の出来事とともに思い出して拝見してます。
この雪の中の4人模様…シッカリ覚えてますよ。  ゆり
Unknown
おはようございます(^-^)
いつも温かいリアクション
ありがとうございます。

冬ソナの画像を見るたびに
過ぎ去った日々を懐かしく
思い出しています。
今日もどうぞお元気でご活躍を(^-^)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「冬のソナタ 8話」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事