生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

すみれ、いっぱい!

2010-05-25 | 季節は今






この日は南風の強い早朝でした。基本的には“晴れ”ですが、未だ黒い薄雲の隙間から青空が見え、山並みの上を千切れ雲が猛スピードで流れます。暗くてよく見えない生石神社の森が、風に騒ぐ音でその存在が分ります。4:30Am頃、東の空は細い光の帯でしたが、序々に赤い帯が太くなります。朝焼けに期待する余り一気に山頂まで駆け登ったので汗が出ます。早朝の山頂での汗は今年はじめてでは…
強い風に身体が煽られ撮影どころではなく、風裏の北斜面に2mほど移動しただけで嘘のように風から逃れられます。が、早くも体温が奪われ震えあがる程ではないのですが急に寒くなってきます。

季節はひとつ進んで「小満」の次候「紅花栄」(べにばなさかう)エジプト原産と云われる染料植物の紅花が咲き揃う時節で、山形県が名を馳せてますが現在では化学染料が主流とか…古名は末摘花(すえつむはな)とも呼ばれ、源氏物語では鼻先の赤い姫君のことだそうな…また、神女や遊女の衣の色ですが、何度も繰り返し染め上げたようで、それでも色あせたそうです。和歌山ではせいぜい園芸用のものしか見ることは出来ません。

    http://blog.goo.ne.jp/tukikusa_may/ (末摘花…月草さんのブログ)




以前、“熊野牛”の取材で県下全域から三重県にかけての畜産農家を訪ね廻ったことがあります。畜産のど素人にも関わらず皆さん方にとても親切にして頂きました。お一人のお一人のお顔を今も記憶に残ってます。強烈だったのは全ての方々が“熊野牛”のブランドをもっともっと高めて行こう!と、いう情熱でした。そんな中へ跳び込んで、熊野牛への認定基準、それぞれの飼料に企業秘密のあることや、A5、A4などのランク付けなど、一から教えを乞わねばならない情けない日々の連続でした。

今、宮崎県の畜産業界は“口蹄疫”なる気が滅入ってしまう恐ろしいウィルスに犯されてます。宮崎も和歌山同様少しでもランクアップの和牛や豚を育てようとひたすら頑張って来られたことは容易に想像できます。それぞれの畜産家を思うと…言葉がでません。取材する中で、生まれた仔が獣医にダメだと言われたのを、毎日遠くまで行って手に入れた良質のミルクを与え、毎夜その仔を抱いて寝た…と言って、やんちゃに育った仔牛に頬ズリするおカミさんも居られました。自分の子供を殺処分しなければならない…汗と涙の結晶を…その計り知れない悔しさを思うと胸が絞め付けられます…一分でも、一秒でも早く終息して欲しい…恐らく県下でも官民あげて必死のディフェンス態勢で臨んでるとは思いますが、何も出来ない者は唯々天に祈るしかありません。


        
     「ホソバシロスミレ」 細葉白菫  スミレ科、多年草  絶滅危惧種

近畿圏で労せずにこのスミレを見ることが出来るのは生石高原だけだそうです。そして今年は随分増えました(^^ 密生してる訳ではないのですが、ほぼ2箇所の小群落となり、その周りには色鮮やかなホソバキリガミネ系スミレと思われる小群落が見られます。ここへ来るまでにもススキの若葉の間から驚くほどのスミレ類を見ることができます。今、まさにスミレ高原です…



      「ホソバキリガミネスミレ」 細葉霧ケ峰菫  スミレ科、多年草

ホソバキリガミネスミレ = ホソバシロスミレ × マンジュリカ or ホコバスミレ or ヒメスミレ

        
         「コマガタケスミレ」? 駒ケ岳菫  スミレ科、多年草

  コマガタケスミレ = フモトスミレ × マンジュリカ or ホコバスミレ or ヒメスミレ

“ホソバキリガミネスミレ”に比べ茎や葉の裏が赤っぽくなってます。しかし、スミレの達人のTuさんによりますと、それでもこれらを断定は出来ないのだそうです。生石山の草原はその歴史も古く、従って当初から生育してるスミレは何代もの間に交配に交配を重ねた結果と言います。DNA鑑定でもしない限り交配種の判断は難しいそうです。専門的にはそうなるようですが、兎に角高原では色とりどりの小さな“スミレ”に癒されます(^^

       http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/m/200904 (フモトスミレ)



            「ニョイスミレ」 如意菫  スミレ科、多年草



    「サルマメ」 猿豆  ユリ科、落葉小低木  雌雄別株  絶滅危惧種

和歌山が南限の稀少種ですが、今年は激減しました。残された2~3株の中に小さな花を着けたのがありました。“サルトリイバラ”同様取り立てて驚くような花ではないのですが、在るべき所にあって、咲くべき時期に咲いてくれなければ穏かで安心の日常は望めません。

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20090714 (サルマメの実)



「サルトリイバラ」 猿捕茨  ユリ科、蔓性落葉小低木 雌雄別株 別称 サンキライ    

      http://blog.goo.ne.jp/kinsan130/d/20091117 (サルトリイバラの実)


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4 コメント

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穏やかな日常 (月草)
2010-05-25 08:22:16
kinsan おはようございます

まあ~どうして私の名が?と驚きましたが
季節は 紅花栄だったのですね
偶然ですが ありがとうございます

>在るべき所にあって、咲くべき時期に咲いてくれなければ穏かで安心の日常は望めません

ほんとうにそうですね 今年は特にそう思います
安全なのが当たりまえ あるのが当たり前
それには 多くの方の日ごろのがんばりがあるのでしょうね
なくなって初めて気がついては 遅いんでしょうが…


末摘花 (月草さん へ)
2010-05-25 18:20:21
月草さん こんばんは♪

大きな公園で異なる入口から入ってバッタリ出会った感じでした(^^ 全く不得手な源氏物語の極々一部など書いてしまって、突っ込みが入ればどうしょうか?と… 投稿して月草さんを訪ねれば…“渡りに舟”!早速リンクを貼らせて貰いました(^^
ありがとうございました。

もう5月も残り僅かですね。徐々に蒸し暑い梅雨入りが近づいてます。鬱陶しいですがこれも無くてはならないものですね。今年はどんな雨空になるやら…何れにしましてもご自愛を…
スミレ咲く頃 (ぷりん)
2010-05-26 11:23:29
おはようございます♪
絵画のような一枚目のお写真ですね。
色んなことがある人生ですが、今日も又頑張ろうという気持ちにさせてくれる夜明けです。
スミレはちょっと俯き加減に咲いているところが奥ゆかしくていいですね。
末摘花・・・月草さんのブログにお邪魔して勉強させて頂きました。
格調高きブログですね。

恐ろしい病気になり治療を受けるどころか殺処分にされてしまう動物達。
これが人間だったら、どうしたのでしょう。
育ててこられた方々にとっては、我が子なんですよね。
病気は大きな悲しみを運んで来ます。
なにやらゆかし… (ぷりんさん へ)
2010-05-26 17:34:33
ぷりんさん こんばんは♪

今日はちょっと涼しい、いや、寒いぐらいかなァ…
動物の病気も人の病気も嫌ですね。それに近年は訳の解らない病名が多くその軽重も分りません。お互いに健康には留意しましょう(^^ と、言われても諸悪の根源のようなタバコは止められません(´` タバコを吸い続け90歳を越えたのもいれば、タバコも吸わず若くしてくたばったのもあり…(^^分らないですよね。

月草さんのページ…素晴らしいでしょう。ブログを始めた頃は随分参考にさせてもらいました。写真もお上手で“スプリングエフェメラル”も彼女に教わりました。尾道を代表する美人です(^^ 
ちょいちょい遊びに行ってあげて下さいね。きっと周波数はバッチリと思います。






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