生石高原・紀伊の風

紀州和歌山の季節と自然のフォトページ

可愛いお社

2010-01-19 | 季節は今
        

本日までは「小寒」の末候「雉始なく」(きじはじめてなく…句+隹→なく ´`;)明日からは「大寒」初候「款冬華」(かんどうはなさく)蕗の花が咲き始める…つまり“蕗の薹”(ふきのとう)が地上に覗く時節となり、その15日後(2月4日)が待ち焦がれた「立春」です。

生石にお住まいのIさんご夫妻、神戸から和歌山での田舎暮しを選ばれたHさんご夫妻ともども賑やかに美山、龍神村境の名水“不老長寿の水”を汲みに…この日のkinsanはそこまでのナビゲーターです。
“寒の水”は古来より“味も、身体にも良い”とされてきましたが、中でも“小寒”から9日目の水を“寒九の水”と呼ばれ特に尊ばれました。それを求めて厳寒の山奥に…
国道424号から相当入った“寒川”から林道川合、湯の又線沿いにその岩清水の水汲み場があります。その水は日高川の源流水のひとつでもあるのですが、地元ボランティアの方が屋根付きの簡単な休憩所や水車、トイレなど設置され水は無料です。休憩所にはこの水で元気になったのか、若いお母さんに抱かれた赤ちゃんの写真も何点か貼ってあります。「良かったなァ~」…声を掛けたくなります(^^

生石のIさんがここまで来たのだから竜神の知人に会いに行くと言うので、そのまま狭い林道の川合峠越えです。道脇には雪も残り冬毛のシカとも会い、冬場の山道に多い大小の落石もあって、本来なら道行が不安となって少しは押し黙るのですが、車内は一層賑やかになります。さすが山での経験が豊富な人たちで、車の後ろからもトッポントッポンとポリ缶の水音も聞こえます(^^
竜神温泉に着いてすぐ半端でない雪が降ってきます。皆さんに提案して再度美山村寒川(そうがわ)の雪景色を…




10数年前から度々拝見する“寒川邸”ですが雪の降る日は初めてです。この寒川家は鎌倉時代の地頭がご先祖という旧家で、“寒川神社”の神主でもあり、アロマセラピーで人気のある檜から抽出の“檜オイル”も手作業で造っておられる才媛です。私有地の生活道には電柱、アスファルトなど一切拒否され手間のかかる土の道…拍手をお送りしたい、こだわりを持っておられます。女性らしく木目細かく目を通されてるのか、いつも綺麗に整えられた佇まいを見るたび、おもてなしを受けてる気持ちになります。150年ほど前にお宅の改修が行なわれたと言う記録があるそうで、以来当時のままの保存に努められ、NHKの朝ドラの舞台にもなりました。

一方、1204年創建の寒川神社は清楚で手入れの行き届いた、小さいのですが重みのあるお社が鎮座します。誰もが郷愁を憶えるいわゆる“鎮守の森のお社”でしょう。伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)ご夫妻、国之常立尊(くにのとこたちのみこと)はじめ、明治の合祀でお名前を読み上げられないほどの神々をお祀してるのだそうです。この可愛いお社の佇まいは皆さんの琴線に触れたようで、「来年の初詣はここにき~めた!」…何とも気の早い話となります。










                2002年11月 3日 寒川祭り

毎年11月3日に県の無形文化財にもなってる“寒川祭り”が行なわれます。全国的にも珍しい当事者も見る者もお酒が入らないお祭りで、里山の道を清々しい行列が練り歩き、見てる者も一緒に参加したい気分になります。里の長老にお伺いしますと、寒川神社の神々と氏子が年に一度、今流で言えば楽しいピクニックをする日なのだそうです。