木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《ぼくたちのムッシュ・ラザール》《屋根裏部屋のマリアたち》

2012-12-22 20:35:28 | 日記


早稲田松竹、再び。
「ぼくたちのムッシュー・ラザール」と「屋根裏部屋のマリアたち」

「ぼくたちのムッシュー・ラザール」(2011年カナダ)

ものすごい、いい映画。
感動するとか、泣くとかいう動詞ではなく、
涙を流す、涙が流れる映画。

ある朝、教室で先生が首をつっていた。
というショッキングな発端から、
子供たち、親たち、学校の反応、対応が描かれる。
代わりに現れたアルジェリア出身のラザール先生。
彼もまた、悲劇を背負ってこのクラスにやってきたのだった。。。

ラザール先生が自分なりの方法で行う授業。
って11歳にバルザックは無理ですよ~。
若干、頓珍漢なラザール先生。

学校も親も心のケアは専門家任せ。
そりゃ、カウンセラーが居れば心強いさぁ。
でも、身近に居るからこそ通じる事も、分かり合える事も在るはず。
その事を、なかなか気付かない大人たち。

お互いに個性を認めだしたラザール先生と子供たち。
そんな中、仲良しだった生徒シモンとアリスはギクシャクしだす。。。

死、暴力、不公平。理由と責任。
そして憤り。

子供たち、先生たち、親たち。
それぞれの思いや考えが少しずつ明らかになっていく様子。

現在の教育現場の息苦しさ。
あれもこれも禁止された先生たち。
教師に子供を触れさせない親たち。
(先生の為でもある、と言い張るんだろうけど。)
いつから、ここまで信用出来なくなってしまったのやら。
これほどまでに信頼されていない状態でも、親たちの要求は高い。

真面目な人ほど悩み、ノイローゼになりやすいのにね。

狭量な醜さ。
信頼の上に成り立つ温かい触れあい。


丁寧に丁寧に描く監督の手腕も素晴らしいが。
子役が恐ろしくいい。
そして、ラザール先生のなんとも味わい深い人間味。

思い出すだに、涙が出てくる映画。

ぼくたちのムッシュ・ラザール(2011年カナダ)
監督・脚色:フィリップ・ファラルドー、原作戯曲:エヴリン・ドゥ・ラ・シェネリエール
出演:フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン


「屋根裏部屋のマリアたち」(2010年仏)


1960年代、パリ。
裕福なシュベール家の6階には、陽気なスペイン人メイド達が住んでいた。

シュベール家の主ジャン=ルイとメイド達の交流をユーモラスに描く。

規則正しい味気ない生活をしていたオッさんが。
美人メイドにときめき。
突然、スペイン人に親身になりだす。
その境遇に心を痛め。
やたら協力体制に。
そいでもって、ついにはその陽気さが感染。
人生を楽しみだし、生きる意味を見出す。

別に悪くは無いんですが、
そういう流れにしますか~、な展開。
あらあら~な着地地点。

ものすごい好意的な作品。
そして前向き。
過激描写もなく、まぁ普通に楽しめる映画。

なんとなく物足りなさを感じる、
もう一歩踏み込んでもよかったかもね~な内容。
欲を言えば、編集にリズムなり、切れ味なりが欲しいところ。

屋根裏部屋のマリアたち(2010年仏)
監督フィリップ・ル・ゲ、出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、


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