早稲田松竹、再び。
「ぼくたちのムッシュー・ラザール」と「屋根裏部屋のマリアたち」
「ぼくたちのムッシュー・ラザール」(2011年カナダ)
ものすごい、いい映画。
感動するとか、泣くとかいう動詞ではなく、
涙を流す、涙が流れる映画。
ある朝、教室で先生が首をつっていた。
というショッキングな発端から、
子供たち、親たち、学校の反応、対応が描かれる。
代わりに現れたアルジェリア出身のラザール先生。
彼もまた、悲劇を背負ってこのクラスにやってきたのだった。。。
ラザール先生が自分なりの方法で行う授業。
って11歳にバルザックは無理ですよ~。
若干、頓珍漢なラザール先生。
学校も親も心のケアは専門家任せ。
そりゃ、カウンセラーが居れば心強いさぁ。
でも、身近に居るからこそ通じる事も、分かり合える事も在るはず。
その事を、なかなか気付かない大人たち。
お互いに個性を認めだしたラザール先生と子供たち。
そんな中、仲良しだった生徒シモンとアリスはギクシャクしだす。。。
死、暴力、不公平。理由と責任。
そして憤り。
子供たち、先生たち、親たち。
それぞれの思いや考えが少しずつ明らかになっていく様子。
現在の教育現場の息苦しさ。
あれもこれも禁止された先生たち。
教師に子供を触れさせない親たち。
(先生の為でもある、と言い張るんだろうけど。)
いつから、ここまで信用出来なくなってしまったのやら。
これほどまでに信頼されていない状態でも、親たちの要求は高い。
真面目な人ほど悩み、ノイローゼになりやすいのにね。
狭量な醜さ。
信頼の上に成り立つ温かい触れあい。
丁寧に丁寧に描く監督の手腕も素晴らしいが。
子役が恐ろしくいい。
そして、ラザール先生のなんとも味わい深い人間味。
思い出すだに、涙が出てくる映画。
ぼくたちのムッシュ・ラザール(2011年カナダ)
監督・脚色:フィリップ・ファラルドー、原作戯曲:エヴリン・ドゥ・ラ・シェネリエール
出演:フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン
「屋根裏部屋のマリアたち」(2010年仏)
1960年代、パリ。
裕福なシュベール家の6階には、陽気なスペイン人メイド達が住んでいた。
シュベール家の主ジャン=ルイとメイド達の交流をユーモラスに描く。
規則正しい味気ない生活をしていたオッさんが。
美人メイドにときめき。
突然、スペイン人に親身になりだす。
その境遇に心を痛め。
やたら協力体制に。
そいでもって、ついにはその陽気さが感染。
人生を楽しみだし、生きる意味を見出す。
別に悪くは無いんですが、
そういう流れにしますか~、な展開。
あらあら~な着地地点。
ものすごい好意的な作品。
そして前向き。
過激描写もなく、まぁ普通に楽しめる映画。
なんとなく物足りなさを感じる、
もう一歩踏み込んでもよかったかもね~な内容。
欲を言えば、編集にリズムなり、切れ味なりが欲しいところ。
屋根裏部屋のマリアたち(2010年仏)
監督フィリップ・ル・ゲ、出演:ファブリス・ルキーニ、サンドリーヌ・キベルラン、ナタリア・ベルベケ、