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「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」 太田匡彦

2010年12月07日 | 読書
書評で見た本。
「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」
(太田匡彦 朝日新聞出版)

犬が殺処分される数は年間8万頭にも及ぶという。
その実際の様子や、”捨て犬の日”=不要になった犬を
回収する様子など、本当に心が痛む。

ペットショップに並ぶ、高価な可愛い子犬たち。
”売れ時”は本当に子犬らしい生後数ヶ月。
それを過ぎると売れ残りとしてモノのように
処分される店もあるという。

余談になるけれど、私も実家で犬を飼ったことがある。
初めて飼ったのは、ペットショップで買った雑種の子犬。
まだほんの子犬だった。でも、買ってきて1週間かそこらで
死んでしまったのだ・・・。
きちんと健康管理されていない、弱っていた犬を
コレ幸いと売りつけられたのかもしれない。

そのあとすぐに、縁あって知り合いから譲り受けた
ビーグルの雑種の子犬とは17年間の付き合いだった。
別れの辛さは昨日のことのように思い出されるけれど
可愛かった姿や思い出が今も残っている。

閑話休題。
儲けのために劣悪な環境で犬を殖やす悪徳ブリーダーや
子犬のオークション。
ペットショップに並ぶまでに、どんな流通経路があるのか
私たちは知らない。

動物の命を命とも思わないような商売人や
流通システムはもちろん問題だけれど、
根本的に、”可愛い子犬”を求める買い手と
最後まで責任を持たない飼い主が一番悪いと思う。

流行りの犬種を買い求めて、飽きたら捨てる。
手がかかるから捨てる。
引越しで飼えなくなったから捨てる。
獣医にかかる費用が高くつくので捨てる。
・・・大事な家族の一員じゃなかったの?

捨て犬の殺処分ゼロを目指す自治体もあるという。
ハイハイ、と安易に引き受けない、
嫌われる行政を目指したそう。
悪質なリピーターではないか確認したり、
飼い主の状況を話し合う。
引き取る前に飼い主が本当に出来ることはないのか
とことん手を尽くす。ミニコミ誌で引き取り手を捜したり。
時間や手間もかかり大変なことかもしれないけれど、
立派なことだと思う。

この本では、ドイツの例を紹介している。
ドイツでは犬を”買う”のではなく、
保護センターで探すのが普通。
犬を飼うための法律も細部にわたり制定されている。
”犬税”も。
日本でもペット税の導入うんぬんが言われていたけれど・・・
それは殺処分費用にまわされるのではなく
安易にペットを飼うことを抑制する意味もあることを
もっと理解すべき。

人間の命でさえ軽んじられているこの国で
犬猫の命にまで目が向くのはいつのことだろう。

ペットを飼いたいと思っている人には
是非読んで欲しい本。
たくさんの人に現実を知って欲しい。
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2 コメント

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つらい現実ですよね (sabunori)
2010-12-08 22:46:43
kinoさん、こんばんは。
この本を読む勇気は私にはないかもしれません。
きちんと現状を把握しなければいけないと思うのですけれどね・・・。
日本ではペットを飼うことが簡単にできすぎると思いますよね。
海外のように飼う人の条件を厳しくしたり、ペットショップをなくすべきだと思っています。
あとブリーダーというのも誰でもできてしまうというのもおかしいし。
そうされている方も多いと思うので気を悪くされるかもしれませんが、
基本的に1人暮らしで働いている人も飼うのはNGじゃないの?と思っています。
「家に帰ったときに待っていてくれる人(犬)がいるのがうれしい」
なんてバカなことを言う人には特に飼ってほしくないです。
返信する
ペットを飼うということ (kino)
2010-12-08 23:34:48
>sabunoriさん
ルポものなので、統計数値なども盛り込みつつ、
冷静に描かれているのが救いでした。
ペットビジネスというものを深く考えたことがなかったので
私はこの本、読んでよかったと思いました。
信じがたいひどい話も書いてありましたが、それを生み出したのは
”可愛い子犬”を求める客なんだもんなぁ・・・。
何事につけても、日本というのは”可愛い”をよしとする、
未成熟な社会なのだなぁ・・・とつくづく思います。
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