根岸森林公園に行くと偉大なる廃墟がある。
根岸競馬場一等馬見所跡。
必ず寄る。
日本の洋式競馬事始めも横浜。

開港の翌年1860年(万延元年)には早くも今の元町で競馬が開催された。
けど元町は外国人居留地として住宅が建設され、1865年(慶応元年)に競馬場は今の港の見える丘公園付近に移った。
その後1866年(慶応2年)にイギリス駐屯軍将校たちの設計・監督で根岸競馬場ができて、1867年(慶応3年)に運用開始。
そのうちに日本人も参加するようになって、1880年(明治13年)には日本レースクラブが発足して、正会員には明治政府の重鎮が名を連ね競走馬を所有したという。
明治天皇も各地の競馬場に御熱心に行幸されたとか。
1888年(明治21年)には暗黙裡ながら馬券の発売が始まったという。
1923年(大正12年)に競馬法が成立して晴れて馬券発売をできるようになったけど、根岸競馬場は関東大震災により半壊。
1929年(昭和4年)にJ.H.モーガンの設計で建てられたのが根岸競馬場一等馬見所。後に二等も増築された。













時は流れ戦争の影が忍び寄る。
1942年(昭和17)年に海軍に接収され、1943年(昭和18年)に76年の歴史が終わった。
敗戦後はそのまま連合国軍に接収され、競馬場の前には米軍住宅ができた。
更に時は流れ、米軍からの返還が決まり2015年には関係全住人が去った。


廃墟と廃墟が向き合う。
今後この場所がどんな風に活用されていくのかはわからない。
もしかしたらこの廃墟も解体されるのかもしれない。
それでもここまでぼろぼろになっても誇り高く悠然とたたずむ姿は、偉大なのだ。

