銀座の資生堂ギャラリーへ。
16th shiseido art egg。
シセイドウアートエッグは2006年に始まった公募プログラム。
新進アーティストによる「新しい美の発見と創造」を応援する。
今回で16回目。
今回は260件の応募があり、岡ともみ、ユ・ソラ、佐藤壮馬の3氏が入選した。
4月18日~5月21日までは佐藤壮馬の展覧会。
「おもかげのうつろひ」。
ギャラリーの踊り場に滝が流れ落ちるかのようだ。
展示室にはインスタレーション。
なんじゃらほい?と壁の写真を見てハッとした。
木を眺めて歩いていた時に何度か出くわした風景がそこにあった。
寺なのか神社なのかわからないけど御神木が倒れたのだ。
これは御神木の
面影か。
北海道から東京。東京からロンドンへ。ロンドン滞在が10年過ぎたところでパンデミック。佐藤はロンドンでロックダウンを経験した。
それが佐藤の心情にどう影響したのか、コロナ禍の真っ只中に日本へ帰国し、そして祖父の他界に立ち会うこととなった。
祖父の他界からまもなく佐藤はなぜだか「御神木」のことが意識にのぼったという。神籬信仰。
そして日本各地の御神木を調べ始めたところに、巨木が倒れたというニュースを目にし、現地へと出向いた。
場所は岐阜県瑞浪市大湫町の神明神社。
何度も何度も通う内に町の人たちと心が通じ合うようになっていった。
町の人たちが倒れてしまった大杉に向き合う姿から、御神木とはただ古い大木では無く、いにしえより寄り添ってきてくれた心に生きる神のような存在だったのだと知った。
御神木の破片をおしいただき佐藤は北海道へと帰り、この作品が生まれた。
パンデミックってこういうことだったんだと愕然とすることだらけだったけど、私がなにより堪えたのは、ヒトの心のいわば暗黒面とでも表現するような面が剥き出しになったことだった。
モンゴロイドとしてコーカソイドの国で暮らしていた佐藤はもっと強烈に辛辣に感じるところがあったのかもしれない。
いずれにせよポストパンデミック。