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君は知っているか むしまるソングのことを

その昔NHK教育テレビで放送された子供番組、『むしまるQ』で展開された名曲パロディの数々。

かなしきサラブレッド

2016-05-05 14:16:49 | むしまるQゴールド 2000年度

<むしまるQゴールド 猛進の2000年度 その6>
かなしきサラブレッド  作詞/里乃塚玲央  作曲・編曲/堀井勝美 ギター・歌/長谷川きよし

 「サラブレッドがうまれたのは はしるためではありません いきるためなのです だからきょうそうにまけたぼくを ダメなやつとよばないで」
 「とうぎゅうのウシがうまれたのは たたかうためではありません つよくいきるためです だからきずつきたおれたぼくを かわいそうといわないで」
 「きみにもかなしいサラブレッドや ウシのこえがきこえたか ぼくら ぼくら いっしょうけんめい いきたぜ」
 「ライラライラライラライラ・・・」

 むしまるソングの中でも、一番かなしい曲かもしれません。

 この歌のイメージを作っているのは、「ライラライ・・・」というスキャット。サイモンとガーファンクルの名曲『ボクサー』(1969年)へのオマージュです。『ボクサー』は、ひとり都会に出てきて孤独な人生を生きる自分と、やめたいと思いつつ空き地での賭けボクシングに生きるしかないボクサーを重ねて歌った歌で、「ライラライ・・・」というスキャットが心に染みてきます。

 これをリスペクトした曲が、アリスの『チャンピオン』(1978年)。「帰れるんだ これでただの男に 帰れるんだ これで帰れるんだ ライラライラライ・・・」。そう、ライラライはかなしいスキャットなのです。

 歌っているのは長谷川きよしさん。盲目の天才シンガー・ソングライター&ギタリストです。1969年のデビュー曲『別れのサンバ』はボサノバ風のギターとしっとりと哀愁を帯びた歌声が印象的な曲でしたが、『かなしきサラブレッド』でもその声とギターは健在です。


カンガルー・ジャンプ

2016-05-03 10:38:26 | むしまるQゴールド 2000年度

<むしまるQゴールド 猛進の2000年度 その5>
カンガルー・ジャンプ  作詞/桑原永江  作曲・編曲/大森俊之  歌/小林優美

 「カンガルーは2本足をそろえて、ものすごいスピードでジャンプするんだよ。指先ほどの大きさで生まれて、ママのおなかの袋で育つんだよ。」という、基本中の基本の知識を素直に歌にしています。

 元ネタはジャミロクワイの『キャンド・ヒート』(1999年)。この曲のリズムが、スピード感のあるカンガルーの連続ジャンプに良くマッチしているんですよ。

 このネタに行き着いた経緯を妄想すると、

 「カンガルーなんだから、ヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』でいいんじゃね?」
 「それじゃ、あんまりベタだよ。それに、ジャンプ一発って感じで、連続ジャンプのイメージ出しにくいし。」
 「フィフス・ディメンションの『ビートでジャンプ』ってのもあるけど、あの歌実はあんまりビートが効いてないんだよね。」
 「ビート・・・ヒート・・・!!ジャミロクワイの『キャンド・ヒート』いけるじゃん。『ヒートでジャンプ』だ!!」

 正解確率は何パーセントくらいあるかなぁ。


<番外編> ”All You Need Is Love”と”Love Life”

2016-04-30 09:35:56 | むしまるQゴールド 2000年度

 『愛こそはすべて』(All You Need Is Love)のパロディ作品としてあまりにも有名なのが『ラヴ・ライフ』。1978年のテレビ映画『オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ』(THE RUTLES in ALL YOU NEED IS CASH)に使われたビートルズ・パロディのうちの1曲です。

 『オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ』はモンティ・パイソンのエリック・アイドル(脚本・監督・出演)とボンゾ・ドッグ・バンドのニール・イネス(音楽・出演)が中心となり製作したコメディで、ビートルズに模したザ・ラトルズというバンドの歴史をドキュメンタリー風に描いています。ミック・ジャガーやポール・サイモンが本人役で登場してラトルズの印象を皮肉っぽく語っていたり、ジョージ・ハリスンがレポーター役で登場したりと、愛好家にはたまらない作品です。

 作品で使われた音楽はすべてニール・イネスのオリジナルで、CD「ザ・ラトルズ 四人もアイドル」で聞くことができます。単にビートルズの曲をまねて作ったパロディというレベルを超えた魅力的な曲ばかりで、中でも『ラヴ・ライフ』は、私に言わせればオリジナルを超える名曲だと思います。あと、『ダブルバック・アレイ』も『ペニー・レーン』より好きだなあ。まあ、「ソバがいいからソバ湯がうまい」ということなのですけどね。

 『ラヴ・ライフ』は、NHKのBSプレミアムで放送している「笑う洋楽展」のオープニングでちょっとだけ使われていますので、興味があったら見てみてください。


カニクイザルのゆううつ

2016-04-28 21:32:20 | むしまるQゴールド 2000年度

<むしまるQゴールド 猛進の2000年度 その4>
カニクイザルのゆううつ  作詞/里乃塚玲央  作曲・編曲/西原俊次  歌/蓮見浩二、飯島譲二  コーラス/ナシゴレンジャーズ

 「カニは食べるとうまい でもはさまれると痛い」。葛藤しながらもカニクイをやめられないカニクイザル。「戦いはずっと続く カニとおれとおれ自身と」。

 東南アジアに生息するカニクイザルは、本当はカニばかり食べているわけではなく雑食性なのだそうですが、カニとカニクイザルとカニクイザル自身の戦いには、なんだか「生きるとはなんだ」という哲学的な命題を感じます。

 ベースとなっているのは、ビートルズの『愛こそはすべて』(All You Need Is Love)。原曲の「ラヴ ラヴ ラヴ」というコーラスを「クラブ クラブ クラブ」に変えて歌っています。

 『愛こそはすべて』は、世界で初めての宇宙中継特別番組『アワ・ワールド』のために作られた曲で、イントロはフランス国歌、エンディングにはバッハ(ドイツ)、グレン・ミラーの『イン・ザ・ムード』(アメリカ)、イングランド民謡『グリーン・スリーブス』、そしてビートルズの『シー・ラヴズ・ユー』を引用して、地球の一体感を表現しています。

 『カニクイザルのゆううつ』では、イントロはインドネシア国歌。エンディングには『キリンのキリコは眠れない』『おしえてティラノサウルス』『チョー(E)!:チョー かっこいい!』『哀愁のヨーロッパ・バイソンやねん』のメロディと、「サーモンですたい」「ぷりゅちゅびよ~んとうりゅたりほ~」「バッファロー!」のセリフまで入っています。最後は拍手と笑い声。楽しそうだな~。


<番外編>ディープ・パープルはバカっぽい?

2016-04-24 08:19:41 | むしまるQゴールド 2000年度

 ディープ・パープルは、ストーンズやツェッペリンに比べると二流のバンドだとか、なんとなくダサいといった評判が聞かれます。そしてその理由として、「ディープ・パープルは歌詞がバカっぽい」と言われることがよくあります。これに対して、「いや、そもそもロック・ミュージックなんて、どれもそんなもの。英語なのでわからないだけで、下らない歌詞の曲ばかり」という反論もあります。

 どちらの言い分が正しいか、ちょっと検証してみようということで、20年ぶりに王様と女王様のCDを引っ張り出して聞いてみました。王様はディープ・パープルの歌詞を日本語に直訳した『深紫伝説』(1995)がスマッシュ・ヒットとなり、その後も『鉛の飛行船伝説』『転石伝説』といった直訳ロックで一世を風靡しました。また、友人のパッパラー河合は女王様名義で、クイーンの直訳ロック・メドレーである『女王様物語』などを手がけました。

 これらを久しぶりに聞いた感想は・・・。やっぱりディープ・パープルはバカっぽい!

 ストーンズやツェッペリンは、王様の日本語直訳では何か変に聞こえますが、いろいろと思わせぶりな比喩的な表現を入れたりしています。クイーンは、歌詞にストーリーを盛り込んだ曲が多いような感じです。これに対してわがディープ・パープルは、見たまま、思ったままをストレートに歌うだけ。それはそれで好感が持てるのですが、何しろ曲のテーマというか歌っている内容が、ティーンエイジャーというか中坊の頭の中そのまま、みたいな歌詞が多いような気がします。

 例えば『スモーク・オン・ザ・ウォーター』は、「ジュネーブ湖畔のモントレーにレコード作りに行ったら、フランク・ザッパとマザーズがライブやってて、アホな観客が銃を撃ったんで火事になって、空に火が上がって湖に煙がすっげえ広がってた」。『バーン』は、「火事になって町中燃えてたんだけど、そん時女が叫んでるのが聞こえて、そんなバカな、嘘だろ、と思ったんだけど、「燃えろー!」って言ってたんだぜ」。まるで休み時間の中学生の会話です。『ハイウェイ・スター』は、「俺の車には誰も勝てないぜ、タイヤも太いし、すごいスピードの殺人マシンだ!俺はハイウェイの星だ!」。卒業した先輩がカッコつけて後輩に自慢話をしているみたい。

 でも、そんなバカっぽいところも含めてディープ・パープルはカッコいい。当時リアル中坊だった私には今でも憧れの存在です。