<むしまるQゴールド 猛進の2000年度 その6>
かなしきサラブレッド 作詞/里乃塚玲央 作曲・編曲/堀井勝美 ギター・歌/長谷川きよし
「サラブレッドがうまれたのは はしるためではありません いきるためなのです だからきょうそうにまけたぼくを ダメなやつとよばないで」
「とうぎゅうのウシがうまれたのは たたかうためではありません つよくいきるためです だからきずつきたおれたぼくを かわいそうといわないで」
「きみにもかなしいサラブレッドや ウシのこえがきこえたか ぼくら ぼくら いっしょうけんめい いきたぜ」
「ライラライラライラライラ・・・」
むしまるソングの中でも、一番かなしい曲かもしれません。
この歌のイメージを作っているのは、「ライラライ・・・」というスキャット。サイモンとガーファンクルの名曲『ボクサー』(1969年)へのオマージュです。『ボクサー』は、ひとり都会に出てきて孤独な人生を生きる自分と、やめたいと思いつつ空き地での賭けボクシングに生きるしかないボクサーを重ねて歌った歌で、「ライラライ・・・」というスキャットが心に染みてきます。
これをリスペクトした曲が、アリスの『チャンピオン』(1978年)。「帰れるんだ これでただの男に 帰れるんだ これで帰れるんだ ライラライラライ・・・」。そう、ライラライはかなしいスキャットなのです。
歌っているのは長谷川きよしさん。盲目の天才シンガー・ソングライター&ギタリストです。1969年のデビュー曲『別れのサンバ』はボサノバ風のギターとしっとりと哀愁を帯びた歌声が印象的な曲でしたが、『かなしきサラブレッド』でもその声とギターは健在です。