名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

テストの点数と評定

2021-08-14 16:27:56 | 教育に関する私論
「先生、同じクラスの〇〇君は、中間テストと期末テストの合計200点満点で、うちの子より15点も低かったのに、うちの子の評定は4、〇〇君は5でした。何でですか?」

これ、大変多い質問です。

読者の皆様の中にも、そういう経験があった、という人がいるかも知れません。

この答え、実は簡単なんです。

文科省が、「ペーパーテストの点数だけで評定を決めるのはふさわしくない」と言っているからです。

例えばこのページ(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1364317.htm)では

「なお、こうした観点別学習状況の評価については、小・中学校と高等学校とでは取組に差があり、高等学校では、知識量のみを問うペーパーテストの結果や、特定の活動の結果などのみに偏重した評価が行われているのではないかとの懸念も示されているところである。義務教育までにバランスよく培われた資質・能力を、高等学校教育を通じて更に発展・向上させることができるよう、高等学校教育においても、指導要録の様式の改善などを通じて評価の観点を明確にし、観点別学習状況の評価をさらに普及させていく必要がある。」

と書かれています。

つまり、特定の評価材料によって決められた評定は偏ったものであり、不適切である、というのが文科省の見解です。

ですから、最初のような「定期テストの点数の良し悪しと評定の良し悪しの逆転」は、当然、起こりえます。



じゃあ、テスト以外、何が大事なんだよ?って話ですよね。

この資料を見てみて下さい。

学習評価の在り方ハンドブック
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdf

この資料の、先生方の質問にお答えしますコーナーに、こんな記述があります。

Q.「十分満足できる」状況(A)はどのように判断したらよいのですか。
A. 各教科において「十分満足できる」状況(A)と判断するのは、評価規準に照らし、児童生徒が実現している学習の状況が質的な高まりや深まりをもっていると判断される場合です。「十分満足できる」状況(A)と判断できる児童生徒の姿は多様に想定されるので,学年会や教科部会等で情報を共有することが重要です。

要は、現場裁量、授業担当者裁量ということです。

そりゃ、保護者も生徒も不信に思うわ、って私は思っています。



中学校の評定って、一番大事じゃないですか?

小学校の評定なんて、中学校への進学に影響しませんし

大学入試の場合は、テストの点数勝負ですから、高校の評定も……です。

ところが、中学校の評定は、多くの県で、高校入試の合否に大きく影響します。

私はいかがなものかと思っていますよ、この制度。


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