名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

経産省は部活動改革の救世主になるのか

2021-07-29 10:13:36 | 教育に関する私論
ご無沙汰しております。まともな記事を書くのは半年ぶりでしょうか。

忙しかったんです。

理由は

・新学習指導要領
・GIGA構想
・(私事ですが)学年主任拝命

ですね。

新学習指導要領については、以前私が予想した懸念が、順調に現実になってるなーって感じです。

なので、この記事では触れません。

今日は、部活動改革についてふれます。



現時点で、私は

・部活動は諸悪の根源であり、教師の多忙化解消を目指すなら、真っ先に学校から無くすべき業務である。
・地域社会と教師の協力体制を確立し、部活動の持続可能性を模索すべき、という意見もあるが、これは非現実的である。
→「協力」の名の下に、責任の所在が分散し、結果みんなが不幸になると予想する。
・旧来の部活動のようなものをやりたがる児童生徒のために、地域のスポーツクラブや音楽団を振興すべきである。


と考えています。

過去の私の記事と若干主張が異なりますが、意見が変わったとご理解下さい。

また、現時点での私の意見は、別に突飛な意見ではありません。

似たような主張をする教師は、多数派ではないでしょうが、前からいました。



文科省も、何もしていないわけではありません。部活動改革の必要性は認めています。

文科省がやろうとしていることを大雑把に書くと

・地域社会と教師の協力体制を確立し、部活動の持続可能性の確立を目指す。
・地域団体を設立し、休日は地域団体が、平日は教師が指導に当たる。

です。

詳細はこの資料を見て下さい。

https://www.mext.go.jp/sports/content/20200902-spt_sseisaku01-000009706_3.pdf

要は、私の意見と正反対のことをやろうとしているのが、文科省案です。

私はこれを見て、「いやそれじゃうまくいかないぞ」と思っていました。

そこでなんと、颯爽と現れたのが、経産省です。


地域×スポーツクラブ産業研究会の第1次提言
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210625005/20210625005.html


もう、私の意見とほぼ一緒ですよ。驚きました。

特に

「スポーツ指導を学んだ有資格者が、有償で指導するという常識の確立を目指す」

これは感動しました。

同時に、文科省に対する壮絶な批判なんですけど大丈夫なんですかねこれ。

「今までやってきことは非常識だぞ」って言ってるのに近いですよ。

まあでも、全国の部活動反対派教師が言いたくても言えなかったことを代わりに言ってくれたんですけどね。



話が長くなってしまいましたが、まとめると

文科省案
→学校と地域が協力して部活動を維持していこう。

経産省案
→「部活動は学校がやるもの」から転換しよう。学校から切り離し、地域のクラブに移管しよう。

どっちを支持しますか?
って話です。

私は当然、経産省を支持します。



この件について、教育新聞が特設投票ページを作っています。

【教員×投票】部活動の地域移行に平日も含める案 賛成?
https://www.kyobun.co.jp/news/20210726_01/

是非みなさんも投票して下さい。教員以外でも投票できます。

この記事の投票欄を見ると、私がこの記事を書いている時点で、「部活動の地域移行は大多数が賛成」となっています。

しかし、これは、「教師の多くが部活動の地域移行を望んでいる」ということを意味しません。

教師にも、部活動賛成派と反対派がいるわけですが、教育新聞のこういう記事を読むようなのは、そもそも部活動反対派なのです。

部活動賛成派は、こんな記事をそもそも読まないでしょう。

そんなことせずに、明日の練習メニューを考えています。

つまり、この調査は、投票者に偏りがあるのです。



経産省案だと、今までほぼ無償で受けられて当たり前みたいなスポーツ指導・音楽指導が、有償になります。

だから、所得者が苦しい人たちがどれだけ反発するかと、行政がそれをどこまで助成できるのか、ってのが今後争点になるのかなあと思っています。

また、高野連みたいな団体が、かなり反発するでしょう。

というか、その辺とのしがらみ・癒着があるから文科省は動けないのでしょう。

だから、経産省に期待したい。



「教師の多忙化解消を」

そう言われて久しいです。

しかし、文科省が何をやったかというのでしょう。

簡単に言えば、仕事を多様化した上で増やしています

GIGA構想なんかが最悪です。毎日が意味のわからないwifiエラーとの戦いです。

あれをやりたいのだったら、最低限、各校に1名の常勤システムエンジニアと登用すべきです。

それをせずに、教師に管理運用をやらせ……多忙化解消するわけないだろ、むしろ多忙化してるわ、って感じです。

それにさらに、コロナ対策と新学習指導要領、プログラミング教育に、小学校では英語必修化……

正気とは思えません。

人手増やすか、仕事減らすか……そうなったときに、前者は無理です。どこにもそんな財政的余裕はありません。

すると後者です。そこで減らせるものの筆頭は何かというと、部活動だと思います。

むしろ、とっとと業務整理をしないと

「学校の先生は、授業も、学級経営も、部活動指導も、微妙なクオリティのものしか提供してくれない」になります。

というかもう、半分くらいなってるんじゃないですかね。

その上で行われた「#教師のバトン」運動。もうお察しの通りです。



経産省の資料(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/chiiki_sports_club/pdf/20210625_2.pdf)には、こう書かれています。

学校部活動はそもそも「社会教育」(学校でも企業やNPOでも担いうる機能)であることの確認が必要。
学校部活動は、①社会教育法上の「社会教育」の定義「学校教育課程外の組織的な教育活動」に該当するはずだが、②文科省の事務連絡には学校部活動は「学校教育の一環として、学習指導要領に位置づけられた活動」と記載されている。この「曖昧さ」は、地域移行を考える学校現場や、受け皿を担いうるスポーツクラブ産業の判断を迷わせないだろうか。
文科省は昨年「休日部活動の段階的地域移行」「長期的には地域に移行すべき」との見通しを出したが、そもそも、①学校部活動は「社会教育」である旨を明確にし、②学習指導要領からは部活動の位置づけを外し(曖昧さを解消)、③平日も含めて地域移行する具体的方針も明確にすることが必要ではないだろうか。

私はこの経産省の意見を強く支持します。

学習指導要領上に、部活動が存在しているから、おかしなことになってるんですよ。



そうは言っても、私や経産省と異なる意見をお持ちの方もいるでしょう。当然です。

だから、議論が必要です。この話題は、もっと拡散されるべきです。

教育は国の根幹。

五輪でメダルを何個取ったか、よりもよっぽど重要だと思いますが、全然話題に上がらず、憂慮しております。

というわけで、みなさん是非、このことを自身のSNSやブログ等で拡散して欲しいなと思います。



そして最後にもう一度投げかけます。

学校と地域が協力して部活動を維持していくべき。
「部活動は学校がやるもの」から転換し、学校から切り離し、地域のクラブに移管すべき。

どちらの意見を支持しますか?




この件についての意見はこちらまで。


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