幽之介の話。
【食事中の方は絶対に読まないでください(※1)】
【いつもの最低レベル駄洒落を期待している方も読まないでください】
人魚を食べると不老長寿になるというのは、人間社会では有名な話らしい。
全国津々浦々に点在する伝説の一つに【八百比丘尼】にまつわる話がある。人魚の肉を食べてしまったために不老不死となり、それ故に無常を感じて剃髪し、最後は800歳まで生きながらえたという伝説である。
これから書き記す話は、幽玄猫の幽之介から聞いた体験談です。
俺だって、幽之介になる前は、普通の野良猫だったんだ。ある日、あの伝説を聞くまでは。
『俺も不老長寿の猫になりたい』 その話を聞いたとき、若く単純だった俺は、即決心した。
そして、そんなことばかり考えていたある日、海岸で人魚を見つけた。(※2)
俺は、約8秒間、人魚を凝視した。体に比べて極端に小さな顔の表情はよく見えない。ただ、眩しいくらいの金髪が、豊かな胸元で微かに海風に揺れている。そこからウエスト、魚までのラインは、まるでクラインの壺のように、綺麗な曲線を描いている。そして、銀鱗。何百何千の銀のスプーンを重ねたように、細かく煌びやかに、それでいて、何故か落ち着いた輝きを放っている。透き通るような肌色から、少しずつメタモルフォーゼする銀色は、いったいどのような色使いをすれば描けるだろう。(※3)
それから俺は、無言のまま、何の感情もなく、おもむろにキャッツアイビームを放った。人魚は、その場に音もなく倒れた。
ここでひとつ問題がある。果たして、上半身の人間の部分を食べればいいのか、はたまた、下半身の魚の部分を食べればいいのか。このような細かいことまで言い伝えの中にはない。しかも、食べる部位により、その効果が違ってくると言う噂もある。噂とはいえ、今までに不老長寿の猫に出会った事がないので、その噂の信憑性は高い。
なんとなく、下半身を食べると、ビョウギョ、猫魚、CATFISH、即ち、ナマズになってしまうような気がする。そして上半身を食べると、ビョウニンになってしまうような気がする。病気になるとは言うが、病人になるとは、あまり言わない。変なものを食べて病人になってしまう。いや、ビョウニンとは、猫人のことである。猫男や猫女になってしまうかもしれない。いずれも違う。姿かたちが変わる事を願っているのではない。不老長寿だ。俺としては、魚の部分を食べたいのはやまやまだが、果たしてどうか。
そこで、一計を案じ、と言うほどの事ではなく、単純にそのあいだをとった。結局、私は上半身と下半身の間、その曖昧模糊とした境界線あたりを食べたのだった。その味は、脂っこい人肉と淡白な白身の魚の味が混ざったような、なんとも形容しがたい不気味なものだった。無理して食べた。吐き気を抑え、涙を流し、上顎と下顎を上下に動かし、舌を引っ込め、無理やりのどを通し、水を飲んで胃の底まで流し込み、また齧(かぶ)り付く。しばらく無我の境地で苦痛に耐え、気が付くと人魚の無残な姿がそこにあった。俺は、振り向きもせず、一目散にその場を離れた。(※4)
その後、不思議な事に、誰からも人魚の残骸の話も聞かず、自分の体にも心にもなんの変化もなかった。そして、何事もなく、俺は野良猫として年老いていったのだった。まぁ冥土は近い。
というわけで、俺は今、幽界の住猫となった。現世の特定のものだけに見える猫、幽之介である。
しかし、これが不老長寿ということなのかは今でも解らない。
やっぱり、俺は野良猫だったので、浮浪鳥獣かぁ。(※5)
お後がよろしいようで。
<注釈>
※1 食事しながらここを見ている奴なんていないって。
※2 そんな安易な展開はないだろ! でも、超短編だから。人魚を見つけるまでの物語を書いていたら短編か中篇になってしまう。
※3 筆者の思い入れか、やけに装飾過剰な描写になって長くなってしまった。それにクラインの壺って、どんな曲線なんだよぉー!
※4 根が優しい(または易しい)筆者はグロテスクな表現ができないのであった。
※5 結局、また駄洒落落ちになってしまった・・・唖然。
<感想>
猫と人魚という企画は良かったと思うが、結局企画倒れで。
しかし、べたぁーとしたベタな絵だなぁー。全然、話と雰囲気合ってないし。だって、顔でかいじゃん。鱗もでかいじゃん。
【食事中の方は絶対に読まないでください(※1)】
【いつもの最低レベル駄洒落を期待している方も読まないでください】
人魚を食べると不老長寿になるというのは、人間社会では有名な話らしい。
全国津々浦々に点在する伝説の一つに【八百比丘尼】にまつわる話がある。人魚の肉を食べてしまったために不老不死となり、それ故に無常を感じて剃髪し、最後は800歳まで生きながらえたという伝説である。
これから書き記す話は、幽玄猫の幽之介から聞いた体験談です。
俺だって、幽之介になる前は、普通の野良猫だったんだ。ある日、あの伝説を聞くまでは。
『俺も不老長寿の猫になりたい』 その話を聞いたとき、若く単純だった俺は、即決心した。
そして、そんなことばかり考えていたある日、海岸で人魚を見つけた。(※2)
俺は、約8秒間、人魚を凝視した。体に比べて極端に小さな顔の表情はよく見えない。ただ、眩しいくらいの金髪が、豊かな胸元で微かに海風に揺れている。そこからウエスト、魚までのラインは、まるでクラインの壺のように、綺麗な曲線を描いている。そして、銀鱗。何百何千の銀のスプーンを重ねたように、細かく煌びやかに、それでいて、何故か落ち着いた輝きを放っている。透き通るような肌色から、少しずつメタモルフォーゼする銀色は、いったいどのような色使いをすれば描けるだろう。(※3)
それから俺は、無言のまま、何の感情もなく、おもむろにキャッツアイビームを放った。人魚は、その場に音もなく倒れた。
ここでひとつ問題がある。果たして、上半身の人間の部分を食べればいいのか、はたまた、下半身の魚の部分を食べればいいのか。このような細かいことまで言い伝えの中にはない。しかも、食べる部位により、その効果が違ってくると言う噂もある。噂とはいえ、今までに不老長寿の猫に出会った事がないので、その噂の信憑性は高い。
なんとなく、下半身を食べると、ビョウギョ、猫魚、CATFISH、即ち、ナマズになってしまうような気がする。そして上半身を食べると、ビョウニンになってしまうような気がする。病気になるとは言うが、病人になるとは、あまり言わない。変なものを食べて病人になってしまう。いや、ビョウニンとは、猫人のことである。猫男や猫女になってしまうかもしれない。いずれも違う。姿かたちが変わる事を願っているのではない。不老長寿だ。俺としては、魚の部分を食べたいのはやまやまだが、果たしてどうか。
そこで、一計を案じ、と言うほどの事ではなく、単純にそのあいだをとった。結局、私は上半身と下半身の間、その曖昧模糊とした境界線あたりを食べたのだった。その味は、脂っこい人肉と淡白な白身の魚の味が混ざったような、なんとも形容しがたい不気味なものだった。無理して食べた。吐き気を抑え、涙を流し、上顎と下顎を上下に動かし、舌を引っ込め、無理やりのどを通し、水を飲んで胃の底まで流し込み、また齧(かぶ)り付く。しばらく無我の境地で苦痛に耐え、気が付くと人魚の無残な姿がそこにあった。俺は、振り向きもせず、一目散にその場を離れた。(※4)
その後、不思議な事に、誰からも人魚の残骸の話も聞かず、自分の体にも心にもなんの変化もなかった。そして、何事もなく、俺は野良猫として年老いていったのだった。まぁ冥土は近い。
というわけで、俺は今、幽界の住猫となった。現世の特定のものだけに見える猫、幽之介である。
しかし、これが不老長寿ということなのかは今でも解らない。
やっぱり、俺は野良猫だったので、浮浪鳥獣かぁ。(※5)
お後がよろしいようで。
<注釈>
※1 食事しながらここを見ている奴なんていないって。
※2 そんな安易な展開はないだろ! でも、超短編だから。人魚を見つけるまでの物語を書いていたら短編か中篇になってしまう。
※3 筆者の思い入れか、やけに装飾過剰な描写になって長くなってしまった。それにクラインの壺って、どんな曲線なんだよぉー!
※4 根が優しい(または易しい)筆者はグロテスクな表現ができないのであった。
※5 結局、また駄洒落落ちになってしまった・・・唖然。
<感想>
猫と人魚という企画は良かったと思うが、結局企画倒れで。
しかし、べたぁーとしたベタな絵だなぁー。全然、話と雰囲気合ってないし。だって、顔でかいじゃん。鱗もでかいじゃん。
幽之介の写真は、なかなか撮れないのですよ。めったに現れないし。
今日もPC調子悪いしぃ
書きたいこといっぱい書いてくださいな。
今からでも全然遅くありませんです。
ねむさん、単に筆力がないだけです
これは内緒ですが、幽之介を初めて紹介したときに、ねむさんが、「幽之介の話を聞きたい」とコメントしてくれたのがきっかけで、この話が出来上がったのです。幽之介の登場が確か4月ですから、構想4年! いや製作4ヶ月、ただひたすら、ねむさんのために、書き直すこと数十回、マウス画の描きなおしで手が痙攣しつつ、数多の困難を乗り越え、ついにここに完成したのであった。
『世間の評判なんか気にしません、ただここのblogを訪れて読んでくれた人がいるだけで満足です (ToT) 』(←ここは感動して泣くところです)
ううぅ、なんか書いているうちに、また虚言癖が・・・
やっぱり、根が易しい(または優しい)筆者はグロテスクな表現ができなかったからだな~
書きたいことも描きたいこともいっぱいあるのに~。
なので、きづきさんのエントリーにコメントできなくてスミマセンでした~
http://www2.neweb.ne.jp/wc/morikawa/sya.html
>メビウスの輪は、真中から半分に切るとどうなるか?
http://g3400.nep.chubu.ac.jp/onsenkids/craft/mebius/mebius.html#3
『ののちゃんの自由研究』で扱って欲しいです。
書いているうちにツッコミを入れたくなるんですよ。そして、ツッコミを入れられないよう上手くは書けない。まぁ、他にもいろいろツッコミどころはあるのでよろしく。
>修大さん
お褒めいただき、どうもです。
そう、岡嶋二人ですね。昔読みました。
メビウスの輪は、真中から半分に切るとどうなるか、なんて、やりましたね。
>びーばさん
少女漫画はほとんど読んでいませんねぇ。
早実は明日ですね^^
早稲田実が勝ったら、町へ出て、写真撮ってこようと思ったのに・・・。
クラインの壷、って小説がありましたね。
岡嶋二人でしたか? それとも、解散後
でしたか。内容も面白かったですが、タ
イトルが秀逸でした。
メビウスの輪とかクラインの壷とか、妙に
惹かれます。輪はともかく、壷はどんな形
なのか、まったくわかりませんけど。
クライン「いやー、これは笑いがとまらん」
=クラインのツボ。
これではボツですね。
感想はみなさんにお任せあれ。