麻宮騎亜 日記

漫画家 麻宮騎亜の日記。仕事の連続の日々ですが、できるだけ更新したい。という希望。

実相寺監督 お疲れさまでした。

2006年12月01日 06時08分08秒 | 日常あるいは平穏な日々
ウルトラシリーズやシルバー仮面などの監督、実相寺昭雄さんが29日午後11時45分、胃がんのため死去された。69歳は、まだお若い。最近は自分の感性に影響を与えた方々の訃報を聞くことが多々あって、実に残念で淋しい。

実相寺監督といえば、あの特異なアングル、ドアップのショット、ライティングなど印象的な演出が思い出される。ウルトラマンで言えば、宇宙飛行士が変態し、地球に戻ってくる哀しいエピソード「故郷は地球」や、全編に流れるユーモアとナンセンスが満載のスカイドン相手の「空の贈り物」。シーボーズが物悲しい、当時としては戦わないウルトラマンに子供が?と思ったであろう「怪獣墓場」。夜の街を蹂躙するテレスドンが、本当に怖くかっこよかった「地上破壊工作」。




ウルトラセブンではいよいよその演出が明らかに他の監督に比べて突出していた感があった。メトロン星人とダンのちゃぶ台をはさんだ名シーン、その子供番組とは思えない脚本をさらに盛り上げるカメラワークが秀逸な、「狙われた街」。現在は欠番になっているものの、ストーリーとして惑星間の恋愛をモチーフにした秀作「遊星より愛をこめて」。全編に渡る無機質なカメラと演出が子供心に怖かった「第4惑星の悪夢」。セブンの世界観が、惑星間戦争における宇宙人の侵略というヘビーなSFテーマだったことも、実相寺監督の演出を引き立たせたのかもしれない。



個人的に監督の作品で大好きだったのがシルバー仮面の1話と2話。1話にいたっては、番組がスタートして5分くらい経たないと主題歌が始まらないというもので、その冒頭の5分の暗く、闇=恐怖といったカメラにビびりつつも凝視していた覚えがある。東京では裏番組がミラーマンだったらしいが、僕の実家ではそんなこともなく、両方見れたのは幸いだった。(田舎ゆえ、番組自体が少ないというとてつもないリスクもあったが。)1.2話は、正にセンスオブワンダーとオカルティックな雰囲気にあふれ、コレでもか、コレでもかと押してくる演出と70年代の高度成長期のアングラ的な映像がとても印象深い。出てくるチグリス星人やキルギス星人もデザイン的に見事。セブンの宇宙人とはまた趣を別にした造詣で素晴らしい。
とにかく今はYAHOOでも見れるようなので、時間がある方は見ることをお勧めするが、本当に画面が暗くて何がなんだかわからないことも多いので注意。

実相寺監督、お疲れさまでした。あなたの撮った作品で、僕は大きくなっても特撮が好きでいられます。ありがとうございました。

(写真は、菊池名義でCG写真連載していた「ウルトラマン・インザ・リアル」から)

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