この度、ジムニーJB23フロントデフ・キャリアに、JA11フロントデフのピニオンとリングギヤを組み替えしようとしたが、双方の各部寸法は同じにもかかわらず、ピニオンとリングギヤがどうしても噛み合わなかった。
その理由について、興味深いことが分かったので、以下に紹介する。
〔ディファレンシャル・ギヤについて〕
車の通常のディファレンシャルギヤは、小型、大型を問わずプロペラシャフト連結軸(ピニオンシャフト)が、中心より下方にずれている。 ・・・・(このずれ量をオフセットという)

そのずらしている理由について、「プロペラシャフトを下げ、室内・荷台フロアを低くため」と説明している人がいるが、主目的はそうではないのである。
これは以下の「ハイポイドギヤ」という優れものを使っているため、軸がずれているのである。
〔ハイポイドギヤについて〕
下図の”曲がり歯かさ歯車”の直交軸がずれているものを、”ハイポイドギヤ(Hypoid,Spiral Bevel Gear)”という。

このハイポイドギヤの形状・特徴について列挙すると、
・曲がり歯かさ歯車とウォームギヤの中間の形状・特徴がある。
・曲がり歯かさ歯車より高い減速比が得られる。
・歯スジ方向へ「滑り」を加えることが出来るため、より騒音や振動が少ない。遊び量が少ない。
・噛み合い幅、噛み合い歯数が多いため、強度が高い。
・円すい状の斜歯車で、その噛み合いは非常に複雑。・・・加工が難しい
・噛み合い歯面の滑りが大きいため、極圧添加剤や耐摩耗添加剤の多いハイポイドオイルを使う。
〔噛み合わなかった理由について〕
今回、ギヤ組み替えでピニオンとリングギヤが噛み合わなかった理由は、
・JA11用ピニオン軸のオフセットは下側
・JB23用ピニオン軸のオフセットは上側
オフセットが上と下では、ピニオンとリングギヤの歯の傾斜方向が逆くとなる。
このため、オフセットが上側のキャリアにオフセット下側のギヤを組み付けても噛み合わないのである。
左がJB23用、右側がJA11用
上図では、歯の傾斜方向の違いがはっきり判るのだが、現物では判り難かった。 画像を観て初めてその違いに気づいた次第である。
〔メンテ上の注意事項について〕
・ピニオンとリングギヤはセットで!
ハイポイドギヤは複雑な噛み合いのため加工が難しく、開発した米国グリーソン社の工作機械でしか製作できないようである?
、歯切り加工が完了したリングギヤとピニオンは、これを組み合わせてラッピング(摺り合わせ)工程を経て完成するようであり、ハイポイド・ギヤはリングギヤとピニオンがセットでの供給となる。
当然のことながらジムニー純正パーツも、ピニオンとリングギヤをセットでしか購入できない。
以上から、リングギヤだけを交換するやり方は、厳密には適切でなく、セット交換すべきである。
セットでの交換であっても、以下のような確認・調整が必要である。
・ピニオンとリングギヤの組み付け位置関係の重要性
ピニオンとリングギヤは複雑な噛み合いをするため、それらの組み付けは特に重要であり、これが適正でないと、伝達効率が低下するだけでなく、ギヤ歯に無理な応力が生じて強度が低下する。
ここで、オフセットについては、キャリアで決まっているので問題ないが、ピニオンは軸方向に調整する必要があり、整備マニュアルにその方法が説明されている。
(リングギヤの歯面に光明丹を塗布して歯当たりを確認し、その歯当たり位置に応じたシムの増減で軸方向位置を調整する)
また、当然のことながらバックラッシュを規定値内に調整することが重要である。
〔追記〕
ところで、JB23Wフロント・デフのオフセットが上側になっている理由は、ステアリング用タイロッドがホーシングの後方に組まれているので、このタイロッドとの干渉をさけるためである。
よって、リヤ・デフは通常どおりの下側オフセットである。
その理由について、興味深いことが分かったので、以下に紹介する。
〔ディファレンシャル・ギヤについて〕
車の通常のディファレンシャルギヤは、小型、大型を問わずプロペラシャフト連結軸(ピニオンシャフト)が、中心より下方にずれている。 ・・・・(このずれ量をオフセットという)

そのずらしている理由について、「プロペラシャフトを下げ、室内・荷台フロアを低くため」と説明している人がいるが、主目的はそうではないのである。
これは以下の「ハイポイドギヤ」という優れものを使っているため、軸がずれているのである。
〔ハイポイドギヤについて〕
下図の”曲がり歯かさ歯車”の直交軸がずれているものを、”ハイポイドギヤ(Hypoid,Spiral Bevel Gear)”という。

このハイポイドギヤの形状・特徴について列挙すると、
・曲がり歯かさ歯車とウォームギヤの中間の形状・特徴がある。
・曲がり歯かさ歯車より高い減速比が得られる。
・歯スジ方向へ「滑り」を加えることが出来るため、より騒音や振動が少ない。遊び量が少ない。
・噛み合い幅、噛み合い歯数が多いため、強度が高い。
・円すい状の斜歯車で、その噛み合いは非常に複雑。・・・加工が難しい
・噛み合い歯面の滑りが大きいため、極圧添加剤や耐摩耗添加剤の多いハイポイドオイルを使う。
〔噛み合わなかった理由について〕
今回、ギヤ組み替えでピニオンとリングギヤが噛み合わなかった理由は、
・JA11用ピニオン軸のオフセットは下側
・JB23用ピニオン軸のオフセットは上側
オフセットが上と下では、ピニオンとリングギヤの歯の傾斜方向が逆くとなる。
このため、オフセットが上側のキャリアにオフセット下側のギヤを組み付けても噛み合わないのである。

上図では、歯の傾斜方向の違いがはっきり判るのだが、現物では判り難かった。 画像を観て初めてその違いに気づいた次第である。
〔メンテ上の注意事項について〕
・ピニオンとリングギヤはセットで!
ハイポイドギヤは複雑な噛み合いのため加工が難しく、開発した米国グリーソン社の工作機械でしか製作できないようである?
、歯切り加工が完了したリングギヤとピニオンは、これを組み合わせてラッピング(摺り合わせ)工程を経て完成するようであり、ハイポイド・ギヤはリングギヤとピニオンがセットでの供給となる。
当然のことながらジムニー純正パーツも、ピニオンとリングギヤをセットでしか購入できない。
以上から、リングギヤだけを交換するやり方は、厳密には適切でなく、セット交換すべきである。
セットでの交換であっても、以下のような確認・調整が必要である。
・ピニオンとリングギヤの組み付け位置関係の重要性
ピニオンとリングギヤは複雑な噛み合いをするため、それらの組み付けは特に重要であり、これが適正でないと、伝達効率が低下するだけでなく、ギヤ歯に無理な応力が生じて強度が低下する。
ここで、オフセットについては、キャリアで決まっているので問題ないが、ピニオンは軸方向に調整する必要があり、整備マニュアルにその方法が説明されている。
(リングギヤの歯面に光明丹を塗布して歯当たりを確認し、その歯当たり位置に応じたシムの増減で軸方向位置を調整する)
また、当然のことながらバックラッシュを規定値内に調整することが重要である。
〔追記〕
ところで、JB23Wフロント・デフのオフセットが上側になっている理由は、ステアリング用タイロッドがホーシングの後方に組まれているので、このタイロッドとの干渉をさけるためである。
よって、リヤ・デフは通常どおりの下側オフセットである。
中々楽しかった(笑)
ハイポイドの最終研ぎ、とは歯当たり仕上げなんでしょうか?
特にピニオン側の歯形は微妙な形ですからね・・・。
ってな仕事をしました。
ギヤは工場製作品なので、皆、均一なものかと思ってたが、セットで調整してんですね。
今回、大変勉強になりました。