今回の料理はダイエット料理ではない。これを食うなら他の食事を制限する必要が在る程度ある。当然好き嫌いはある。また、本物にかなり近いが、どうしても材料の関係で少しオリジナル料理と違う点はご了承願いたい。
今回のメインは、サウジ方面に詳しい人なら知っている代表料理のカブサとマンディの中間ぐらいの物だと説明するべきかと思う。羊の炊き込み御飯である。作るのはそれなりに難しいし、あまり、日本人でこれを作る人間が居るという話を聞いたことが無い。それどころか、アラブ人でも専門店で喰う以外喰わないという事が多いらしい。大変美味いが、作るのはやや大変な料理なのだ。それから、一寸失敗したが、ムタバル(ナスのペースト、一種のサラダ或いはディップ)、それから、タボーレ、レンテル・スープである。あと、レバニーズならなぜかどんな高級店でもこれが定番のいい加減そのまま野菜サラダ?と言うか丸ごと。。なんだけど、一応、自宅の晩飯なので、多少は切ってあるし、食べやすくしてある。
では、一つ一つ解説しましょう。
まず、ムタバル。簡単に言えば、焼ナスのゴマニンニク風味レモンオリーブオイル味ディップである。ガルバンゾーから作るホモスと並び、代表的なレバニーズ メッザのサラダメニューの一つである。アラブ飯が初めての人は絶対にトライするべき一品だし、日本人受けもする味である。作り方は、まずナスを焼く。やや焦げるぐらいに出来れば炭火で焼く。うちではお役立ち焼き網で焼いたナスを8ヶ使った。それに、ニンニク一粒分ぐらいを潰してあわせる。それに芝麻醤を合わせると良いのだが、調達コストの問題と料理するときの楽さから、私が勧めるのは、通常売っている炒りすりゴマ(白)とごま油を別々に入れる方法である。芝麻醤は結構堅くて混ざりにくいので、苦労する。これらを併せて、オリーブオイル少々、レモン果汁半個分、ごま油少々と併せてミキサーに掛ける。本来ならフォークや薬研で気長にすりつぶすらしいが、そこまでは手を掛けていない。失敗した内容は笑えるが、買ってきたすりゴマが黒だったのだ。おかげで、何となく黒くて見場の悪いムタバルが出来たが、味の上では問題が殆ど無い。ニンニクをやや強めに入れるとエジプト風の感じがして私は好き。多少、ホットパプリカを加えるのが普通だが、息子の事を考え、加えていない。息子がドバイ駐在時に遊びに来た時は、このメニューがとっても気に入っていつもパンに付けて食べていた。
次はタボーレ。これは一部材料を日本で手に入れる事が出来ないのではないかと思っている。ブルグル或いはバーガルという恐らく挽き割り調理積み麦だと思う物がそれである。結構、アラブ料理ではポピュラーな食材なのだが、有名な輸入食材屋やネットで探しても見つからない。自分で輸入業者になることも考えないでは無いが、マーケットが小さそうだし、国内の農業関連の輸入規制に引っかかるのかもしれないとも思う。何れにせよ、これは自家用に海外旅行や出張、現地赴任時に買っておいたストックを使っている。このブルグルはレンテルスープに入れたり、ケベという肉団子に使ったり、する代表食材である。メニュー自体はやはり、ムタバル同様日本人受けの良い、サラダで、良く水気を切ったトマト、みじん切り玉ネギ、イタリアンパセリ、そして、軽く水で戻しやはり水気を切ったブルグルを混ぜ、少しの塩、レモン果汁、オリーブオイルで味を付けた物である。このメニューは97年頃、家族(一族)に紹介したところ大変好評で、その後、度々友人やら何やらに出しているが、毎回、一番人気サラダで結構うちでは定番感のあるメニューである。
そして、マンディ風炊き込み御飯である。作り方自体は難しいとも難しくないとも言える。トライすれば出来るかもしれないが、全般に失敗する人間が多い。アラブ人やインド人に作り方を教えて彼らが家で作ってみたら失敗したと言う事が多かったので、コツを飲み込むまでは失敗するのかもしれない。
本来のマンディはラムもしくはゴートの半身を内臓ごと使う。が、当然、日本でそんな食材をそんな量使おうとしてもとっても高くつくし、家族で食べきれるものでも無い。今回は一緒には載っけないが、サウジでこれを喰ったときの写真があるので現地でどんな風に出ているかもそのうち紹介します。
仕込みは、まず、羊にかなりきつめに塩コショウをして一晩寝かす所から始まります。が、次のステップは長粒米(バスマティ・ライス)を普通に研いで、カレー用シナモン、オールスパイス、グローブを適量加え、サフラン、或いは代用サフランを一つまみキャセロールに入れて、米と同量の水と共に、前述の塩蔵羊を上に乗せてオーブンで水気が無くなるまでオーブンで焼く。(量にもよるが目安は45分程度、220度)これだけである。ポイントは、必ず、蓋の閉まった状態で最初から最後までキャセロールが在るか?米がキチンと踊れる程度キャセにスペースが在るかの2点である。キャセの蓋が閉まっていないと、羊の肉が軟らかく仕上がらない。本来は骨付きの大振りな肉を使い、骨をつまむと肉がとれる様な炊き方に仕上がるのである。また、米が踊るスペースが無いと米に芯が残る。今回は少し残ってしまった。キャセのキャパに対して米3合は多かった様子である。米3合に対して、シナモンはいい加減に2つまみ、グローブとオールスパイスは10ヶづつぐらいだったと思う。ベイリーブスも加えても良い。また、レーズンやナッツを加える事も多い。飾りに、ゆで卵、揚げ玉ネギなんぞも乗せる。今回は、ダイエット継続中の手前、飾り等余計なカロリーは抜きにした。
この料理のオリジンは聞くところによるとイエメン地方らしい。本来は、地面に直径2m程度の穴を掘り、炭を入れじわじわと作る物らしい。個人的な野心としては、日本でこの料理を出すレストランをしたいと言う希望と、短期的には、一回?アウトドアでダッチ・オーブンメニューとして作ってみたいと言う事かな。
アラブ人のホスピタリティを本当に感じるお持てなしメニューなのです。これに、アラブ・コーヒーなんぞ出すと良い感じです。
ま、最初にも書きましたが、これはダイエットメニューでは在りません。
ちなみに息子の反応ですが、非常に美味かったと見えて、息子の深皿で2杯しっかり食べました。他の物も併せて。イタリアンパセリは厳しかった様子です。
ちなみに、タボーレは原価低減仕様として普通のパセリで作ると言う手も在ります。時々そうしてます。また、今回は、息子の好みもあるので、パセリ少なめにしています。