ある日の夕方、子供を保育園へ迎えに行ったときのことだった。
現在3歳で2歳児コース最年長のうちの息子が、みんなと見ている紙芝居の途中で、突然、私に言った。
「おとーさん、早く、トンカツを家で作ってきて!」
見ると、紙芝居の中身は女の子が誕生日にトンカツを作ってもらう為初めてのお買い物に行く内容。。。。
その日は、既に、別の子供の好物であるハンバーグを作成していた。子供に説明すると泣き出して、おうちに帰らないとだだをこねる。困った。前回、同じ紙芝居を見たときに「そう言えばおうちで智しゃん(子供の名前)はトンカツ食べたこと無いよね。」と話をしたことがあった。近日中に香港家族旅行から帰ってきたらトンカツを食べることでその場は納得してもらった。
かみさんの当初のもくろみでは、外でトンカツを喰わせようという物だったのだが、息子はどうやら自分で作りたいらしい。なら、家族でトンカツを作るのもまた楽しとなり、7月13日にトンカツを作った。
トンカツの工程は、1.肉の購入、2.下味付け、3.肉のソフト加工、4.小麦粉付け、5.溶き卵付け、6.パン粉付け、7.揚げとなる。
子供が参加出来るのは、3,4,5,6の作業であるが、今回は、智しゃんはパン粉係りに任命され、母親、父親の間に入り、共同制作をした。
おいしいトンカツを作るKnow-howは;肉の選定、下味、ソフト加工、揚げ技術に重きがある。
今回の留意点は、①子供が食べやすい柔らかい仕上がりで噛み切りやすい物にする。②とーちゃんは太らない様に脂を削る余力があることの2点だった。
近所の肉屋ニュークイック(安売りの大手でよく買う)で豚のロースを4枚購入。
前日の晩に、まず塩こしょうを目の高さからまな板の肉に振る。この方が美味くふれるのである。
そして、子供の分だけは別途もう一工夫入れた。ロース肉を買った状態から更に5枚程度に薄くスライスし、小麦粉で貼り合わせる。それから下味を付けた。それから、自分の分は泣く泣く脂身を切り取り、減油仕様としておいた。
そして、元の肉に比して2次元的面積が凡そ3倍程度になるまで肉叩きで容赦なく叩く。これがソフトな歯ごたえのポイントである。余計な汁気が貯まらないように工夫しつつ一晩貯蔵。
翌日の夜はトンカツ作りと盛りつけのみを残した状態に下準備をして、生産ライン状に調理場に一列にかみさん、息子、私と3人並んだ。息子の補助にはおばーちゃんが付いてくれた。かみさんが、小麦粉・玉子係り、息子がパン粉係、父ちゃんが揚げと盛りつけ係としてまず、手本に一枚作って見せてから子供に参加させた。
子供がパン粉を付けるのは身長の問題、手先の器用さの問題もあり難しいが、パン粉を敷いたバットに肉を置き、上からマグカップでパン粉を掛け押さえると言う手法をとったことでお砂遊び感覚で子供も楽しめた様である。
また、ソースはそのままでは子供には味がきついので、ケチャップ大さじ1杯、赤ワイン大さじ2杯、中濃ソースを小さじ1.5杯程度を別途ソースパンで混ぜながら煮詰め、薄目の中濃ソース程度の粘度に仕上げ、揚げたカツにかけた。
今日、保育園で、トンカツが美味かった事を息子が自慢していたという報告が入っている。めでたし。