KEVINサイトウの一日一楽 

人生はタフだけれど、一日に一回ぐらい楽しみはある。

True Story ? in Guam 4

2006年05月10日 | Travel
 僕はボブに尋ねた。「何故、初対面の僕にこんな大切なものを見せるんだい?」

 ボブは、当然のように答えた。

 「だから、言ったろ。俺には、海のことが全て分かるんだ。岩陰に隠れて俺を引き裂こうと舌舐めずりしている邪悪な奴らの存在も、俺になついて餌を欲しがっている可愛い魚たちのことも、獰猛に見えても実はひどく臆病な連中のことも、静かな存在なのに手を出せば指など簡単に引きちぎってしまう恐ろしい奴らのことも…。

 ひとたび海に潜れば、俺には海中に居る全ての生物の性格が分かるんだ。

 お前が、俺に気づくずっと前から、俺はお前のことを見ていた。

 泳ぐお前の体は白い光に包まれていた。
 俺には分かった。お前は俺を助けるために、この海に潜ってきたことを。」


 「!!!」僕は、混乱した。僕がボブを助けるためにここへやってきたと…??

 ボブと接するうちに、僕はボブが海の精の化身か、或いは自然なるものの象徴が人の形をまとっているように感じていた。畏怖と、尊敬の念で僕は彼を見るようになっていた。

 そんな、僕がボブを助けに来たと? 

 「これは、お前に預ける」

 そう言って、ボブは僕の前に財宝の詰まった麻の袋を置いたまま住居兼用のオンボロ船の方へ立ち去ってしまった。

 後姿が問答無用と言っていた。

 

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