KEVINサイトウの一日一楽 

人生はタフだけれど、一日に一回ぐらい楽しみはある。

2007/11/20 世界の中心で何を叫ぶ !

2007年11月20日 | Profile
 世界の中心で愛を叫ぶ、しゃらくさい。
 世界の中心で、僕はシャワーを浴びながら、意味を成さない言葉を大声で叫んだ。

 僕は、早朝の上海で目覚めた。宝塚記念で、アドマイヤムーンが、メイショウサムソンに競り勝った翌朝のことだ。

 シャワーを浴びる前に、iPodを外付けのスピーカーにセットし、シャッフルで音楽をかける。フルボリュームだ。
 最初に何が飛び出すか、少しドキドキするのが、シャッフルの魅力だが、この朝だけは、ポール・ウェラーがかかることを、なぜか僕は直感で分かっていた。
 シャワーの温度を調整し、頭に水しぶきがふりかかる時、はたしてウェラーの曲が始まった。



 ウェラーは、ロンドンパンク真っ盛りの時に18歳でデビューした。
 彼がリーダーをつとめるジャムというバンドは、フーの再来として喝采を浴びる。そして、潔くバンドを解散した彼は、スタイルカウンシルという洒落のめしたバンドを結成する。時代へ敏感に反応する自分の感性に忠実にサウンドを変化させていく彼らの音楽は、時にカラフルであり、時にシックであり、お洒落なのにトンがっていた。トンガリは、やがてアシドジャズなど極端な方向に走り、出版会社はCの販売を中止する。

 栄光からの大きな挫折。
 表現の場を失ったバンドは解散に追い込まれる。多くの人がウェラーは終わったと思った。しかし、ウェラーは短期間でカムバックする。コアなブリティッシュロックビートをひっ下げフロントラインに返り咲く。いくつかのアルバムは全英ヒットチャート1位に輝く。現在においてもブリブリに充実している。

 永遠のモッズであり、ポールスミスが一番似合うロックミュージシャンである彼が僕と同じ歳だと知った時、僕にとって彼は特別になった。

 自分に話しを戻すと、三十代はじめに僕は既に某企業の役員だった。勿論、ボードメンバー中最年少だ。それから随分長い時間が過ぎたが、依然として僕はボードの一員であり、役員就任歴は最長だ。
 ボクサーは殴られた数によって選手寿命が決まる。従って若くしてデビューした選手は引退も早い。僕の場合も緊張を持続してきた時間、殴られた数は誰よりも多い。

 次にかかる曲も事前に直感で分かっていた。マービン・ゲイだ。ウェラーも大変な影響を受けている。What's Going On は、僕の人生のベストソングのひとつだ。
 マービンはR&Bのサウンドをを究極的にソフィスティケイトした。そして、ブラザー人類への愛と、女性との性愛を歌い上げることにより、音楽をスピリチュアルな高みへと極めた。
 しかし、マービンは天才の常として早く逝ってしまった。



 何故、今朝、運命的にこの二人の曲がかかることが分かったのだろう。

 おっさんになってもブリブリに活躍している永遠のモッズ、ポール・ウェラー。
 若くして逝ってしまった天才R&Bクリエーター、マービン・ゲイ。

 僕は、一対、何をシャワー室の中で叫んだのだろう?

 「お前の往く道はどっちだ」

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