KEVINサイトウの一日一楽 

人生はタフだけれど、一日に一回ぐらい楽しみはある。

True Story ? in Guam 3

2006年05月09日 | Travel
バーベキューを残らず平らげた僕は、砂浜に横になった。

 寝転んで見る青空は、どこまでも澄んで、高い。そして、海を渡る風が心地良く頬を愛撫する。

 ボブも僕の隣で寝転んで、同じように真っ青な空を眺めていた。

 暫く、静かな時間が過ぎたが、やにわに立ち上がったボブは100mほど離れた所にうち上げられたオンボロ船の方へ歩いていった。

 この動くかどうか分からない廃船のような船が、ボブの住居をかねているらしい。

 船から戻ってきたボブの片手には、大きくて重そうな麻の袋がぶら下げられていた。

 この袋を、ボブは無造作に僕の目の前に放った。ドスンという音とともに、袋の底が砂にめり込んだ。

 「?」という僕に対し、ボブは「中を見ろ」と言った。

 袋の口を開くと、南の島の陽光に反射した色取りどりの光が袋から漏れて来た。

 袋の中には、見たことの無い昔の金貨や、ハリーウインストンの展示場でもお目にかかれない大粒の宝石、ダイヤ、サファイヤ、ルビーなどがぎっしりと詰まっていた。

 海賊の白骨に続いて、今度は財宝の山か!

 「これ、どうしたんだよ?」と余りに月並みな質問を僕はボブにした。

 そして予想通りボブからは、「あの沈没船の中で見つけた」と返事があった。

 やれやれ、これまた映画か、少年向け冒険ノベルの世界だ。
 本当にこんなことがあるのか・・・。

 ボブは独り言のように話し始めた。

 「俺は海のことならば何でも知っている。
  
  魚のように泳ぐことも出来る。
  海の中がどんなに入り組んでいても、俺には人工のハイウェイのようにはっきりとした道が見える。

  あらゆる船の操縦も出来る。
  潮の流れも分かるし、潮がその流れを変えようとするときも、些細な兆候で分かる。

  天候も雲の動き、風の匂い、砂の重みで予測できる。
  方角は星を見れば分かる。

  船さえあれば、俺は世界中のどこの海にも行ける。

  しかし、この袋にあるもの…これについては、俺は何も分からない。」

 「ボブ、これは君が見つけたものさ。だから君のものだよ。

  海中で見つけた美味い魚は君のものじゃないか。
  そして海中で見つけた美しい貝だって君のものだよ。

  この袋の中のものも全部、君のものさ。」

  僕は、そう答えた。心の底からボブには、その権利があると思った。
  
  

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