読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

図説人類の進化—猿人から原人、旧人、現生人類へ 斎藤・海部・米田・隅山 2021

2023年02月13日 | 教育・歴史(文部科学省・文化庁)

久しぶりのブルーバックス。
現代人のミトコンドリアDNSの変異を調査した結果、現生人類の起源はアフリカであり、その年代は約20万年前だった。この遺伝学者による1987年の発表は今では基本的に正しいとされている。
ヒト同士の人種による遺伝的変異は、ゴリラ同士、チンパンジー同士と比べると何分の一の小ささだ。人種による外見上の違いに反して、ヒトはごく最近に共通祖先から分化した新参者であることを反映している。
日本列島人の成立に関する通説には、大きく置換説、混血説、変形説の3説があった。現代の定説は埴原和郎の二重構造説で広い意味では混血説に属する。旧石器時代に最初に日本列島に移住したアジア人集団の子孫が縄文人を形成、その子孫がアイヌ人。北東アジアで寒冷適応した新タイプが渡来して先住の縄文人と混血して本土日本人を形成した。
頭骨の骨形態の研究からは、日本列島の集団はアイヌ・縄文人Gと、弥生時代人・現代日本列島南部人(沖縄奄美など)・現代日本列島本土人の大きく2つに分かれる。
遺伝的な近縁関係を調べると、日本列島2集団(名古屋、沖縄)は1つの系統で、中国漢民族のうち南部(福建・広東)の集団にやや近かった。

2009年に単行本として刊行された本の再発行。基本的な部分はあまり変化ないので修正は最小のものにとどめている。

 


コメントを投稿