goo blog サービス終了のお知らせ 

川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

 ある論文  「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」設立記念集会

2009-02-16 07:41:21 | 在日コリアン
 昨日の日曜日は花粉症が現れて、一歩も外出せずに一日ごろごろしていました。自然にパソコンに向かう時間が長くなります。偶然、ある方が5年前の今頃、書かれた文章に出会いました。『週刊ダイヤモンド』(2004年2月14日号)に掲載されたもののようです。私たちが開催した「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」設立記念集会を紹介し、その歴史的意義を論じた文章です。
 
 少し長くなりますが読んでいただけますか。そして皆さんはこの文章についてどう思われるでしょうか。ぼくの考えは明日の「川越だより」に書かせて貰います。     

 内容も姿勢も一新した『在日』の日本国籍取得運動  
          
   日本は早急に道を拓くとき 

「2004年2月1日は、われわれと日本の歴史において記念すべき日になるでしょう」
こう語るのは河炳俊(ハ・ビョン・ジォン)氏、56歳、日本生まれの在日コリアン2世である。

 河氏らはこの日、都内で「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」設立記念集会を開いた。「在日に権利としての日本国籍を」と大書し、国籍取得問題に前向きに取り組む河氏らの姿勢は、従来の在日の人びとによる権利要求運動とは大きく異なる。従来は、在日を外部者ととらえて権利を主張してきた。だが今、河氏らは日本国籍を取得し、この国の一員となって権利も義務も引き受け在日コリアンとして活動の場を広げたい、加害者・被害者の関係からも脱却して、対等の関係になろうというのだ。

 これまで、在日の人びとの日本国籍取得には後ろ向きの影が色濃く落ちていた。日本当局が、かつては強引に、最近はやんわりと彼らの歴史や文化を否定し、姓名まで変えさせようとしたことも原因の一つだ。名前まで日本風にというのは、それが必ずしも悪意から出た助言ではなかったとしても、また、日本名のほうがこの国で生きていくのには摩擦も少なくてすむという親心だったとしても、在日の人びとにとっては自己否定にほかならない。

 日本側がそんなふうだったから、彼らの考えもおのずと否定的になる。“差別する日本”に反発しながら法律上その国の一員になることに、心がついていかない。にもかかわらず、便宜上、日本人になる。だから素直になれない。葛藤の国籍取得は、被害者意識や諦めの感情につながり、責任を日本国に転嫁する姿勢をも招いてきた。

「そんな時代はもう終わりにしなければならない。客観的情勢が大きく変わりつつあります。日本は人口減少で外国人を受け入れ、多民族国家へと移っていかざるをえず、そのことを政府も日本人も認識しつつあります。われわれ在日コリアンは、このままでは文化も名前も喪って、日本社会に埋没してしまうかもしれません。通名(日本名)でなく、本名で国籍を取得し、コリア系日本人として誇りを持って生きていく道を選びたいのです」

 河氏らの国籍取得運動は、ひと昔前にはとうてい考えられなかった。1世が強い影響力を持つ在日大韓民国居留民団(民団)などの組織に、裏切り者呼ばわりされるのが落ちだった。しかし、協議会設立集会には、韓国系の民団からも北朝鮮系の在日本朝鮮人総聯合会からも参加者がいた。状況は確実に変わりつつある。権利としての国籍取得、という視点への共感も興味も強いのだ。

 背景には、日本における在日社会の変化もある。現在、日本に住む韓国、北朝鮮籍の人びとは48万人、毎年約1万人が日本国籍を取得しつつある。

 法務省東京入国管理局長・坂中英徳氏が指摘する。
「単純計算すれば、在日は長くても50年以内に消滅します。3世4世が多数を占める今、結婚相手の9割が日本人で、彼らには朝鮮半島に戻る発想はほとんどない。しかし、その場合でさえも、彼らの民族性と誇りを埋没させてよいわけではありません」

 河氏が強調するのも、この点である。便宜上、通名で日本国籍を取得するのでなく、コリア系日本人となり、名前も民族の誇りも喪わずに、この国の“正会員”になるほうがよいという点だ。日本にとっても、協議会の提案は歓迎すべきものだ。人口減少に対処するためにも、外国人の参加が重要な意味を持つ21世紀の日本で、他民族と折り合って、1+1を3にも5にもしていく賢さをいかに培っていくか。その第一歩が、在日の人びととの互尊共存だ。具体策として、何世代も日本に住み特別永住許可を持つ在日の人びとには、届け出だけで国籍を付与する道を早急に拓くべきだ。

 出典
  http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2004/02/14/post_98/

浮島丸事件と日本の戦後責任

2009-02-06 05:46:45 | 在日コリアン
 宮崎県に住む友人・青柳敦子さんから展示会と講演会の案内をいただきました。講演は明日、新宿の高麗博物館です。この方の誠実で地道な取り組みには日頃から敬意を抱いています。天気も良く暖かい日になりそうですからぼくも久しぶりに伺うつもりです。宜しかったら皆さんも是非どうぞ。



     講演と展示  浮島丸事件と日本の戦後責任

              ―― 隣人への信義を守れ ――

 

戦争終結直後の1945年8月24日午後5時頃、京都府舞鶴湾で、海軍輸送艦・浮島丸が爆発・沈没しました。この船には、帰国する朝鮮人約4千人が乗っていました。浜にいた漁師たちがすぐに救助にむかいましたが、幼い子供を含む5百人以上の人々がなくなりました。

 日本政府は、日本人乗組員の死傷者には補償しましたが、韓国人には何の補償もしませんでした。1992年~1994年、生還者と遺族たち80人が陳謝と賠償、遺骨返還を求めて、裁判を起こしました。裁判は負けましたが、いろいろなことがわかってきました。

 地元では1954年から毎年、追悼会が開かれています。


         展示会期 2009年1月14日(水)~3月22日(日)


●講演会● 

<第1回> 2009年2月7日(土)16:00~18:00

     「浮島丸事件と全承烈さん ―遺族との和解へ向けて―」
       講師:青柳敦子さん(朝鮮人徴兵・徴用に対する
                  日本の戦後責任を求める会 代表)
      「祐天寺における市民の追悼会 20年の歩み」
       講師:小林喜平さん(朝鮮人戦争犠牲者追悼会 世話人)


<第2回> 2009年3月7日(土)16:00~18:00

      「記録から読み解く 浮島丸事件と戦後補償問題の実像」
       講師:青柳敦子さん(朝鮮人徴兵・徴用に対する
                  日本の戦後責任を求める会 代表)

  ◆参加費:1000円(入館料を含む)
  ◆講演後に「恨の海」(青森放送制作ドキュメンタリービデオ)を上映予定

 出典 高麗博物館(場所はこのHPで確かめてください)
  http://www.40net.jp/~kourai/2event/kourai%20202.html


 昨日、韓国国会が在外国民に投票権を保障する立法を行ったそうです。在日コリアンも韓国の大統領選挙や国会議員選挙に参加できる道が開かれます。国民であるからには当然のことですが、多くの人々にとって何のことかというのが実感でしょう。在日コリアンのリーダーの方々、ほんとうにこんなことでいいのでしょうか。行ったこともなければ住んだことはもちろんない、祖先の故郷のある国の選挙に参加する権利が認められて、生まれ育った日本の参政権が認められない状況がいっそう固定化するのかも知れないのです。
 民団の幹部だった人々が主催する集会があるようです。未来を生きる子どもたちの視点に立って真剣な議論が行われることを期待します。ぼくも出かけるつもりです。


    「移民開国」でシンポ…青年会OB会

 在日韓国青年会OB全国連絡会(林三鎬会長)は同会設立2周年を記念し21日、在日韓国YMCA「スペースワイ」(JR水道橋下車)で「日本の移民政策と在日のスタンス」と題したシンポジウムを開く。

 基調講演は外国人政策研究所所長の坂中英徳さん。テーマは「坂中論文から32年…日本の外国人受け入れ策について」。坂中さんは東京入管局長当時、「移民鎖国」を唱えてきたが、高齢少子化時代のいまは50年間で1000万人の移民を受け入れるよう主張している。

 引き続いてのパネルディスカッションにはOB会の林会長と近江渡来人倶楽部代表の河炳俊さんも加わり、「移民開国」時代に在日がどのようなスタンスで関わりを持ち続けていくのかについて坂中さんと討論する。午後2時30分から。参加費500円。
  会場 韓国YMCAhttp://www.ymcajapan.org/ayc/jp/
出典 民団 http://www.mindan.org/shinbun/news_t_view.php?category=13&page=32

在日コリアンのリーダーたちに聞きたい

2008-11-17 06:14:44 | 在日コリアン
チョジャさんからコメントを貰ったり、Jさんから李忠成さんの講演会の案内を受け取ったりした機会に在日コリアンの選挙権・被選挙権など公民権確立運動について一言。
 
 曾祖父母やそれ以前の代からこの地に住み、この地のかけがえのない構成員でありながら国会議員の選挙権も被選挙権もない子どもが今日もなお生まれ育ち続けていることは僕にとっては見逃せないことです。これらの子供は一部の例外を除き公務員にもなれないのです。なぜこんな理不尽なことが解決されないのか。

 結局のところその原因は在日コリアンの組織のリーダーや学者などの社会的リーダーたちがこの半世紀以上に亘って、在日コリアンが日本国民になることを否定し、韓国もしくは朝鮮の国民として生きることを主張し、問題解決に動こうとしないからです。
 国民国家という現代の社会では国籍を持たない限り国会議員の選挙権・被選挙権を持つことは出来ません。これは日本に限ったことではなく国際社会の現状です。(だからすべての人に国籍を持つ権利が保障されています)。
 
 日本の社会で在日コリアンの組織として一般的に知られているのは大韓民国民団(民団)と在日朝鮮人総連合会(総連)の二つです。
 
 総連は「在日コリアンは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の海外公民だ」と主張し、彼ら流儀の国民教育に力を入れてきました。このために在日コリアンの内のかなりの人々が独裁政権の駒のようにあつかわれ運命を狂わされたことは今日多くの人の知るところです。
  
 民団系の学校は少なく韓国民育成に力を入れているとはいえません。しかし民団の「綱領」にはその筆頭に「我々は大韓民国の国是を遵守(じゅんしゅ)する」と書いてあります。
 これは韓国の国民として韓国の憲法や法律に従うという意味です。日本に住んでいても外国人として生きることを宣言しているのです。このような組織が日本国籍を取得して参政権を獲得しようとする運動をするはずがありません。歴史的に言えば日本国籍を取得しようとする人を「民族の裏切り」といって断罪してきたことは先日書いたとおりです。
 在日コリアンの学者や弁護士などの法律家の中からも問題解決に動こうとする人が出てきません。東京大学の姜尚中(カンサンジュン)教授のように日本社会に影響力のある政治学の先生でさえ、黙ったままです。二つの民族団体と同じ考えなのでしょうか。意見の開陳をする義務がある立場だと思いますが聞いたことがありません。

 僕はこれらの団体やリーダーたちは無責任きわまりないと思っています。

 現実には李忠成さんのように一年間に一万人近い在日コリアンが帰化という手続きを取って日本国民になっています。申請すれば半年くらいでほとんど例外なしに許可されています。
 日本政府の姿勢が昔と変わったのです。しかし、問題はあります。書類集めの煩雑さ、費用などの他に当用漢字以外の漢字が認められないため氏や名を新しくつくらなければならないなど。尹、姜、趙、崔などの姓を持つ人はこの姓を氏とすることが認められていないのです。こんなことをあなたなら許せますか。
 
 僕(ら)は特別永住者については届け出だけで無条件に日本国籍を認めるべきだと運動をしています。
 かつて一方的に日本国籍を剥奪された人々およびその子孫は現在「特別永住」という在留資格を認められています。一般外国人とは区別された「特別」扱いを受けているのです。それは歴史的経緯から生まれた在留資格なのです。
 これらの人々について遅まきながら国籍を選択する権利を認めるのが民主主義の国家として当然ではないかと主張しているのです。

  在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会   http://members.jcom.home.ne.jp/j-citizenship/

 国籍剥奪の経緯からもこれを妥当だとする国会議員も少なくなく、2001年には与党(自公など)の法案も準備されたほどです。

 僕は二つの団体や学者などは在日コリアンの意見を代表していないと考えます。しかし、日本社会に知られるのはこれらの人の意見だけです。各界各層の在日コリアンはこのことについて積極的に意見を表明すべきです。コリアン大衆の願いと動向をふまえ、日本の国会と政府が自らの社会の課題として解決すべきだと考えます。
 
 世代交代がすすみ在日3世や4世が親になろうという時代です。子どもたちがなぜ何時までも「自分は何人?」と悩まなければならないのでしょうか。
 コリア系日本人(コリアにルーツの一つを持つ日本国民)でなぜ悪いのでしょうか。
 李さんは在日4世だということです。どんな考えから日本国民になったのでしょうか。こどもの人生に関わりを持つすべての人が耳を傾けるべきです。
 
チョジャさんのコメントの最後の部分が気になります。日本国籍をもっているのが「楽な立場」だから言いにくい、とはどういう意味ですか。
 僕は子どもたちのそばにいて子どもたちの気持ちや悩みを比較的理解できる教師という仕事をしてきました。知り得たこと、切実に思うことを誰にであれ、しっかり伝え改善を求めることが人間として当然のこととして運動にかかわってきました。 
 コリアンのなかには「日本人が何を言うか。おまえたちにわかってたまるか」という人がもしかしたらいるかも知れませんが、いたら大いに議論をすればいいのです。幸か不幸か僕はそんな人に出会ったことはありません。 
  

 

李 忠成さんの講演会

2008-11-16 07:47:25 | 在日コリアン
 Jさんからメールがありました。貴重な機会だと思いますので皆さんにも紹介します。19日は癌研有明病院に「経過観察」を受けに行きます。体力・気力が残っていたら僕も聞かせてもらいに行きます。  



 講演会のお知らせです


転送・転載歓迎
**********************************************************************

都立小山台高校定時制で、
Jリーグ柏レイソル所属・北京オリンピック日本代表、
李忠成(イ チュンソン、り ただなり)さんをお招きして講演会をおこないま
す。
李忠成さんは都立高校出身で、22歳、在日コリアン4世です。北京オリンピッ
クを期に日本国籍を取得しました。現在柏レイソルで活躍しています。
生徒対象の人権講演会ですが、一般に公開しています。
どのようなお話しを聞くことができるのか楽しみです。



講演       『夢を追い続けて サッカー・オリンピック日本代表 
          李忠成さんに聞く』


講師        李忠成さん
           (柏レイソル所属・北京オリンピック・サッカー日本代
            表)

助言者       尹チョジャ先生
           (東京都大田区立蒲田小学校・地球こども教室担当)

日時        11月19日(水) 
18時40分 開場
             19時00分 開始
             20時00分 終了
         
場所 財団法人小山台会館
          東急目黒線武蔵小山下車 徒歩3分 
          東京都品川区小山4-11-12 
          改札口右を出て、 小山台高校前から左手へ武蔵小杉方面、
          線路に沿って徒歩3分。つきあたりにあるビルです。

                           
申込方法     定時制 大窪副校長まで 電話での申込みのみ   
           03-3714-8155 (13時~22時)
  http://www.koyamadai-h.metro.tokyo.jp/teijisei/jinkenkouenkai1.html
      
都立小山台高校定時制ホームページ        l      
  http://www.koyamadai-h.metro.tokyo.jp/teijisei/index.htm
              

参考記事
              
李忠成選手「もっとも印象に残っている試合とは・・・。オリンピック出場を
決めたサウジアラビア戦は印象深かったですね。負けたらオリンピックには出場
できないというギリギリのところでの出場決定でしたし、あんな経験はなかなか
できないと思うんです。最後の3試合はスタメンで試合に出られたし、自分が予
選 突破を果たした輪の中にいたっていう達成感は人一倍ありましたね。


僕はもともと韓国籍だったんですけど、日本も好きだし韓国も同じくらい好き
でした。韓国代表で試合に出るという夢も考えていましたけど、両親やいろいろ
な人に相談したときに「お前はこれから日本でサッカーしていくんでしょ?」っ
て言われました。僕もKリーグ(韓国のプロリーグ)じゃなくてJリーグでプレー
していきたかったし、日本に帰化するならタイミングは今しかないと感じたんで
す。自分はまだ若いですからいろいろな人からアドバイスをもらって帰化すると
いう決断を下しました(日経トレンデHPより一部抜粋)
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080125/1006452/     
                      
  参考図書                                
                  
『忠成 生まれ育った日本のために 日本サッカーは俺たちが引っ張ろう!』
ごま書房   
 
2つの祖国、2つの名前、帰化という選択、サッカーへの飢餓感、情熱、焦燥 …
…。    
綿密な取材をもとに李忠成“チュンソン”の原点に迫るスポーツノンフィクショ
ン!

在日コリアンの日本国籍はなぜ「剥奪」されたか

2008-11-12 07:04:00 | 在日コリアン
 前に「在日特権」をなのる方のコメント(1月26日のブログをご覧ください)がありました。この人たちの主張を読んでいただいたことと思います。遅まきながら僕の意見です。今回は「国籍剥奪」について。

 彼らの主張。

 1952年の在日コリアンの国籍離脱は日韓両政府の合意に基づくもので当時民族団体の反対もなかった。むしろ独立国家の公民であるとしてこれを歓迎し、やりたい放題をやった。在日コリアンはこの時から韓国または朝鮮の国籍となったから社会保障の権利も参政権も祖国にある。国民年金だの地方参政権だのを日本社会や政府に求めるのは理不尽な在日特権のさらなる要求で許すことが出来ない。


 ①日韓両政府間の合意は「?」  
 
 僕は自分で原資料に当たり研究したわけではありませんが友人知人先学などの研究を読んだ限りではそのような合意があった気配はありません。大韓民国政府が樹立されたのが1948年で50年からは朝鮮戦争中です。もちろん、日韓に外交関係はありません。正式な会談や合意の記録はありません。非公式な合意があったというならその根拠を示すべきです。
 その後の日韓会談で韓国側は在日コリアンの日本国籍選択権を認めるよう主張したことがあります。(民団などの反対を意識して強く交渉したとはいえませんが。)これを考えると韓国政府が51・2年頃、在日コリアンの日本国籍離脱に合意したという主張には無理があるとおもわれます。

 ②民族団体は反対しなかった。

 この頃の在日コリアンの団体で強力だったのは「民戦」(在日朝鮮民主戦線)という組織です。この組織は北朝鮮政府を支持し、日本共産党と一体になって反米反政府闘争に全力を注ぎました。韓国政府を支持する民団(在日大韓民国民団)は義勇軍を組織して祖国の戦争に参加しました。韓国が存亡の危機にあったのです。両団体はいずれもそれぞれの立場から祖国統一戦争の当事者となり、日本国内でも激しく対立しました。
 彼らが日本政府の国籍剥奪に反対するどころか、独立した韓国または朝鮮の国民として行動したことは明らかです。仮に日本政府の措置に反対し、国籍選択権を主張する運動が起こったとしたら両団体によってたたきつぶされたことでしょう。そのような人は「民族の裏切り」「非国民」という断罪を免れることは出来なかったとおもわれます。

 ③だからといって「剥奪」は正当化出来ない。

 仮に韓国政府が合意していたとしても在日コリアンが保持していた日本国籍を本人の意志に反して取り上げることは出来ません。それは日本国憲法はもちろん、国際条約で普遍的に認められた個人の権利なのです。現代の国民国家では国籍と市民権は分かちがたく結びついており、如何なる権力と雖も個人の意志に反し剥奪することは出来ません。
 当時65万人といわれた在日コリアンの内たとえ一人でも日本国籍を維持したい人がいたとしたら政府はその権利を保障しなければならないのです。

 植民地支配が終わってまだ5・6年の当時でも既に日本に生活の基盤を築き、この地で生きる道を選択していた人は決して少なくはありません。日本生まれの人も多く自分は外国人だなどと考えたこともない人もいます。それらの人々にとって故郷は日本にあり、朝鮮半島にあるのは先祖の墳墓だけだったのかも知れないのです。
 日本政府が在日コリアンの内、公務員であった人の即日帰化(1952年4月28日。国籍剥奪の日に無条件に帰化を認める)を認めたのもそうした現実の反映です。
 また、52年以後、民族団体などの「民族の裏切り!もの」などという攻撃を受けながら日本への帰化を申請した人の数は決して少ないとはいえないはずです。日本政府が厳しい帰化条件を付け、これらの人の願いをはねつける姿勢をとり続けたにもかかわらずです。国籍選択の機会が保障されていたら事態は余程変わっていただろうと思われます。
 庶民が生きるとはそういうものです。住み着いたところで営々と生活の基盤をつくる他はありません。国家や有力団体に翻弄されるのはごめんです。せっかく住み着いた日本の地で日本国民として生きるのがなぜ「民族の裏切り」でしょう。だとしたら「民族」などくそ食らえと僕だったら思ったのかも知れません。日本政府がこれらの人々の国籍選択の権利を奪ってしまったことは如何なる理由をあげつらおうと正当化できるものではありません。

 ④「同化か追放か」

 吉田茂首相の日本政府にとって(おそらくはGHQにとっても)在日コリアンは最大の厄介者集団にみえました。朝鮮戦争の勃発以来は朝鮮半島の社会主義的統一(「赤化」)におびえました。このとき日本共産党と一体になって反米反政府のゲリラ闘争に踏み切ったコリアン左派の力は政権の足下を揺るがせるものとしてなんとしても弾圧しなければならないと認識したのでしょう。
 国籍剥奪は「同化か追放か」を迫る在日コリアン政策にとって不可欠だったのです。同化とは何があってもおとなしく従うことです。追放とは国籍を持つ国に送り返すことです。これ以後かなり長期に亘って日本政府の在日コリアン政策はこれで一貫しました。50年代末にはじまる在日コリアンの「北朝鮮帰還」の悲劇もその帰結といえるでしょう。
 
 日本政府は朝鮮半島の二つの政府の応援団になった二つの民族団体の存在を奇貨として在日コリアンから市民権としての国籍を剥奪した。これは正義と人道はもとより日本国憲法と国際法に反する蛮行であった。僕はこう考えています。

 <追加>在日コリアンとは日本の植民地であった朝鮮半島から日本に渡航してきた人々およびその子孫で現在、韓国または朝鮮籍を持つ人のことを言う。これらの人々はサンフランシスコ条約によって日本が連合国から独立する日まで日本国籍をもっていた。日本政府はこの日(1952・4・28)一片の法務府通達によって全員の国籍を剥奪した。一人一人の国籍選択権を認めないばかりか、これほどのことを法律でなく通達ですますという考えられない措置であった。
 外国人とされた在日コリアンは参政権はもとより、社会保障を受ける権利などを失い、いっそう社会的差別にさらされることになった。
 ちなみにドイツ在住のオーストリア人にはオーストリア独立後、引き続きドイツ国籍を維持するかオーストリア国籍を取得するかの選択権が付与された。

 

快い疲れ

2008-03-10 21:27:40 | 在日コリアン
 昨日の「国籍取得特例法の制定を求める緊急集会」には50人近い参加者があり、充実した意見交流を行うことが出来ました。今回僕は司会を担当。李敬宰会長の報告のあと李福子、鄭大均、青柳敦子さんなど5人のかたが法案制定への思いを語りました。続いて会場の参加者から7名の意見発表。呉副会長の集会決議提案で計14名の発言がありました。ほとんどのかたが短い時間で要領よく発言してくれ、中身の濃い集いになったと思います。僕にとっては理想的な授業のようなものです。20歳、30歳代(在日3世)の発言が充実していたことが大きな喜びです。また、台湾系の方からの提言もありました。
 外では開会前から、20人くらいの人々が集会を開き、声が聞こえますが何をいっているかは解りません。忠幸さんは帰りに「おじいさん、こんな集会には出ないで北朝鮮に帰りなさい」とハンドマイクでいわれたそうです。確立協(在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会)はコリアンだけの団体ではありません。僕が事務局長を務めていることから解るように民族や国籍は多様です。忠幸さんは鳥取県の出身です。神田警察が警備に当たっているようでした。主催者が要請したわけではありません。代表者から会長に会見の要請がありましたがこれは断りました。冷静な討論が可能とは考えられないからです。
 夕方からは20名くらいの参加で交流会。夜には二次会。4年間、不当解雇と闘って職場復帰を勝ち取ったJさんのお祝いも。コリア系金融機関の経営者と闘って勝利を得たコリアン。ここにも新たな歴史があります。うちに帰ったのは真夜中になりましたが、快い疲れを感じながらゆっくり休むことが出来ました。ご協力くださった皆さん、ありがとうございます。
 <きいちご花見バス>の参加希望者の募集を昨日で締め切りました。嬉しいことに57人の申し込みがあり、今日はバス会社と交渉して60人乗りの大型バスを確保して貰いました。大部分が残留孤児とその家族、通訳に当たってくれそうな方も2人はおられます。楽しい一日を想像して心が弾みます。
 

さて、どういうことになるのやら。

2008-03-09 08:44:31 | 在日コリアン
 
 今日は私たちの主催する「国籍取得特例法の制定を求める緊急集会」の当日です。ゆうべ、茨城県に住むK君から、顔を見に行くよと電話をもらい元気づけられました。どなたが参加してくれるのか、皆目見当がつかないのです。
 ある団体が僕らの集会に反対して、同時刻に韓国YMCAの前の道路で集会を開くとか。この方達のHPを見ると私たちは巨大な「反日」勢力です。予断と偏見にとらわれると実態が見えなくなります。もう少し冷静に対応してほしいものです。
 緊急とはいえ、やると決めてから一ヶ月です。僕らのできる限りでの広報には努めたつもりです。訴えは聞かれたのでしょうか。東京は絶好の行楽日和です。妨害に来る人より、集会参加者が少ないとやっぱり落ち込んでしまうかな。さて、どういうことになるのやら。法制定を求める人たちの声を心を込めて伝える集いにします。2時、お茶の水、韓国YMCA。 

自民党法務部会

2008-03-01 21:00:19 | 在日コリアン
 29日。8時半からの「自民党政務調査会 法務部会 国籍問題に関するプロジェクトティーム第9回会合」を傍聴する事が出来ました。議題は「特別永住者の国籍取得について」。
 定刻に河野太郎座長が開会の挨拶のあと直ちに坂中英徳さん(外国人政策研究所)鄭大均さん(首都大学)李敬宰さん(在日コリアンの国籍取得権確立協議会)よりヒアリングがあり、意見交換ののち、9時半には終了しました。法務省と外務省から担当課長などが出席しています。
 国会議員席には弁当が用意されていて、朝食会形式です。議員席の周りは議員秘書や報道関係者でいっぱい。
 三人のかたはそれぞれの立場からこの法案(国籍取得特例法案)に賛成する意見を述べられました。アイデンティティと国籍の乖離がもたらす、子どもたちの疑問や不安についてわかりやすく述べた、鄭さんや李さんの話は説得力がありました。
 意見交流では、僕の授業でも出ないようなごく初歩的な質問から、届け出だけで国籍を付与することへの反対意見まで、けっこう沢山の方から発言がありました。概して年長者に賛成、若年者に疑問・反対、といった傾向か?かつて、このブログで僕が議員辞退まで勧めたことがある丸川珠代さんも出席されていました。最も若い議員のひとりとしてどんな発言をするか注目していましたが、残念ながら無言。
 自民党というのはなかなか柔軟?な政党です。こういう集まりを積み重ねて意見を集約していくのでしょう。この集まりは開かれていて、議員なら誰が出てもいいようです。
 感心したのはこの法案を推進する太田誠一議員の姿勢です。届け出だけで日本国籍を希望者に付与するのですから、歴史的認識を欠く議員からは筋違いの質問や意見が出てきます。それらに対し、余裕を持って丁寧に自分の考えを述べて居られました。8年前からの議員の思いが、心から発するものであることをうかがい知ることが出来ました。
 この法案は何らかの利権につながるとは思えません。しかし、日本国の品格や日本人の矜持には深く関わる重要な法案です。国会に提出して十分に審議してほしいと思います。
 それにしてもみずからの構成員にかかわる最も重要な案件にもかかわらず、民団はこの件について黙ったままです。外国人として地方参政権(しかも投票権だけ)を求めるというのですから、僕にはとても理解が出来ません。
 僕らは9日に集会を開きます。都合のつく、心ある方は足を運んでください。お願いします。河野さんや太田さんに任したままでは市民として無責任です。力を合わせて先ず国会上程を実現させましょう。

      

国籍取得特例法の制定を求める緊急集会

 08年3月9日(日)2時~4時
 会場 在日韓国YMCA
  JR「水道橋駅」徒歩6分、「御茶ノ水駅」徒歩9分、地下鉄「神保町駅」徒歩7  分

  〒101-0064 東京都千代田区猿楽町2-5-5
  TEL:03-3233-0611 FAX:03-3233-0633
  E-MAIL:ayc at ymcajapan.org
  http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/

  
 会費 無料
 内容 ①主催者・経過報告 李敬宰(確立協会長)
    ②リレートーク「なぜ、この法律の制定をもとめるのか」
     全国各地で法制定を求めてきた方々(10分程度ずつ数人)
     会場参加者(5分程度ずつ、なるべく多く)
    ③集会決議
 主催 在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会
    電話・049-224-4646
       03ー3802ー2220
   自民党の国籍問題プロジェクトティーム(河野太郎座長)が「特別永住者等の国籍取得特例法案」を国会に提出する方針を決めました。この法案の柱は在日コリアンなどの特別永住者(40余万人・植民地支配を受けていた時代から日本に住み続けてきたコリアン等およびその子孫)に限って、届け出だけで国籍取得が出来るようにすることです。
 こんな画期的なことをするのには歴史的な反省があります。推進者の一人・太田誠一議員は次のように述べています。
 「戦後、本人の意思を聞かれずに韓国朝鮮籍になった特別永住者に『申し訳ない』ということで簡単に国籍を取得出来るようにするもの」(『朝日新聞』1月25日)

 1952年4月28日、日本の連合国からの独立に際し、日本政府はたった一片の通達で在日コリアンの日本国籍を剥奪し、外国人にしてしまいました。彼等はこの日から主権者の地位を失い、選挙権・被選挙権を行使できなくなったばかりか、社会保障の権利も奪われました。のちに国民年金制度が作られたときにも外国人であるとして排除され、在日コリアン一世の大半は今日、無年金生活を余儀なくされています。
 朝鮮半島が日本の植民地であった時代から日本に住み、日本国民として生きてきた方々の一人一人の国籍選択権を認めなかったことは国際法に悖(もと)ることでもあります。太田議員が『申し訳ない』と言っているのはこのことをさし、遅まきながら、実質的に国籍選択権を認めるということです。
 
 私たちは2001年に与党案として成案を得たにもかかわらず、店(たな)ざらしにされてきた法案がようやく国会に提出されると聞き、今回こそなんとしても成立させたいと強く願うものです。在日コリアンの国籍選択権を認めることは日本の民主主義の基盤を強化することでもあります。国籍、民族を問わず、市民の皆さんの参加を呼びかけます。

 

国籍取得特例法制定を求める緊急集会

2008-02-06 13:34:15 | 在日コリアン
      国籍取得特例法の制定を求める緊急集会

 08年3月9日(日)2時~4時
 会場 在日韓国YMCA
  JR「水道橋駅」徒歩6分、「御茶ノ水駅」徒歩9分、地下鉄「神保町駅」徒歩7  分

  〒101-0064 東京都千代田区猿楽町2-5-5
  TEL:03-3233-0611 FAX:03-3233-0633
  E-MAIL:ayc at ymcajapan.org
  http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/

  
 会費 無料
 内容 ①主催者・経過報告 李敬宰(確立協会長)
    ②リレートーク「なぜ、この法律の制定をもとめるのか」
     全国各地で法制定を求めてきた方々(10分程度ずつ数人)
     会場参加者(5分程度ずつ、なるべく多く)
    
    ③集会決議
 主催 在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会
    電話・049-224-4646
       03ー3802ー2220
   自民党の国籍問題プロジェクトティーム(河野太郎座長)が「特別永住者等の国籍取得特例法案」を国会に提出する方針を決めました。この法案の柱は在日コリアンなどの特別永住者(40余万人・植民地支配を受けていた時代から日本に住み続けてきたコリアン等およびその子孫)に限って、届け出だけで国籍取得が出来るようにすることです。
 こんな画期的なことをするのには歴史的な反省があります。推進者の一人・太田誠一議員は次のように述べています。
 「戦後、本人の意思を聞かれずに韓国朝鮮籍になった特別永住者に『申し訳ない』ということで簡単に国籍を取得出来るようにするもの」(『朝日新聞』1月25日)

 1952年4月28日、日本の連合国からの独立に際し、日本政府はたった一片の通達で在日コリアンの日本国籍を剥奪し、外国人にしてしまいました。彼等はこの日から主権者の地位を失い、選挙権・被選挙権を行使できなくなったばかりか、社会保障の権利も奪われました。のちに国民年金制度が作られたときにも外国人であるとして排除され、在日コリアン一世の大半は今日、無年金生活を余儀なくされています。
 朝鮮半島が日本の植民地であった時代から日本に住み、日本国民として生きてきた方々の一人一人の国籍選択権を認めなかったことは国際法に悖(もと)ることでもあります。太田議員が『申し訳ない』と言っているのはこのことをさし、遅まきながら、実質的に国籍選択権を認めるということです。
 
 私たちは2001年に与党案として成案を得たにもかかわらず、店(たな)ざらしにされてきた法案がようやく国会に提出されると聞き、今回こそなんとしても成立させたいと強く願うものです。在日コリアンの国籍選択権を認めることは日本の民主主義の基盤を強化することでもあります。国籍、民族を問わず、市民の皆さんの参加を呼びかけます。

太田議員の誠意ー 国籍取得特例法案の本質

2008-01-26 08:09:43 | 在日コリアン
 昨日、「朝日新聞」は自民党の「国籍問題PT(河野太郎座長)」が特別永住者の国籍取得特例法案を国会に提出する方針を決めたと報じました。このことについては一昨日共同通信の記事を紹介しました。「朝日」の記事で大切なのは太田誠一議員のコメントです。
 
 前回も地方参政権との関連で取り上げられたが、心外だ。戦後、本人の意思を聞かれずに韓国朝鮮籍になった特別永住者に『申し訳ない』ということで、簡単に国籍を取得できるようにするもので、地方参政権の問題は視野に入っていない。

 この法案の柱は特別永住者に限って、届け出だけで国籍取得が出来るようにすることです。こんな画期的なことをするのには歴史的な反省があるのです。
 1952年4月28日、日本の連合国からの独立に際し、日本政府はたった一片の通達で在日コリアンの日本国籍を剥奪し、外国人にしてしまいました。彼等はこの日から主権者としての地位を失ったばかりか、社会保障の権利をも奪われたのです。後に国民年金制度が作られたときにも外国人であるという理由で排除され、在日一世の大半が今日、無年金者であることはみなさんもご存じでしょう。
 当時、朝鮮人の組織が我々は独立国家の公民だと、この措置に反対しなかったのは事実ですが、長く日本に住み、日本国民として生きてきた方々の一人一人の国籍選択権を認めなかったことは国際法に反する暴挙です。この法案を推進してきた太田さんが「申し訳ない」といっているのはこのことを指します。遅まきながら、これらのひとびとに国籍選択権を認めるということです。僕は日本の国会議員の中に太田さんのような方が居られたことに敬意を抱きます。誤解や敵意と向き合いながらあきらめることなく課題に取り組んでこられたのです。その根底に『申し訳ない』という心が宿っているからだと思います。
 このことと外国人に地方参政権を認める問題とは直接には何の関わりもないことです。2001年当時、一部の在日コリアン人権活動家たちが「参政権運動つぶし」などと言って、反対したのですが僕には信じられない行動です。
 日本はいずれ1000万人に上る外国人を受け入れなければ社会が動かなくなるといわれています。今でも200万人近くの外国人が住んでいます。これらの方々の社会参加を促進したり、在留を安定させたりするために、地方参政権を付与したり、国籍取得を容易にする事などを検討する事は大事です。自民党のPTでも二重国籍を認めるかどうかをも含めて検討が始まったようです。
 植民地時代から日本に住む在日コリアン(約40万人)の国籍選択権を確立することは日本の民主主義の強化にも欠かせない課題です。このことについて前に書いたブログがあります。読んでいただければ幸いです。

       http://blog.goo.ne.jp/keisukelap/d/20070716

嬉しいニュース・国籍取得特例法について

2008-01-24 17:27:50 | 在日コリアン
 東京新聞のHPを覗いたらこんなニュースが流れていました。先日の国会で民主党の鳩山幹事長が外国人の地方参政権の実現にふれたことはこのブログでも伝えましたが、それに対する自民党の対応かもしれません。私たち(在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会)は一日も早く、2001年に自公など与党が発表したこの国籍取得特例法案を国会に提出するように運動してきました。ですから本当なら嬉しいことです。是非ともこの国会で議決してほしいものです。
 永住外国人に地方参政権を付与する問題については丁寧に議論し、付与するとすれば選挙権だけでなく被選挙権も一体でなければならないというのが僕の意見です。40万人の特別永住者のうち、希望する人に無条件に国籍を認めることに国会内にはほとんど反対はありません。全党派の賛成で成立させてほしいものです。  

    国籍取得の要件緩和を 特別永住者で自民部会
                 2008年1月24日 12時50分

 自民党法務部会は24日、国籍問題に関するプロジェクトチームの会合で、朝鮮半島や台湾など旧植民地の出身者と子孫である「特別永住者」について、国籍取得要件を緩和する法案を今国会に提出する方向で検討することを決めた。

 特別永住者が日本国籍を取得するには法相の許可が必要だが、法相に届け出れば日本国籍を取得できるよう手続きを簡素化する内容。2001年に与党が共同提出を目指したが、公明党は永住外国人への地方選挙権付与を強く要求。反対する自民党議員が「代替措置」として国籍取得の要件緩和を主張するなど足並みが乱れ、法案提出を見送った経緯がある。

 民主党は永住外国人への地方選挙権付与に積極姿勢をみせており、与党内の調整が難航する可能性もある。(共同)



 以下は朝日新聞のHPのニュース速報です。

   永住外国人の選挙権案、与党揺るがす火種 民主提出方針

                 2008年01月24日08時08分

 永住外国人に地方自治体の選挙権を認める法案が、与党の結束を揺さぶる波乱要因となる可能性が出てきた。在日韓国人を中心に待望論があり、公明党などが繰り返し提出してきたが、そのつど自民党内から反発が出て成立していない。ところが、民主党の小沢代表が成立に向けて踏み出し、公明党がその動きに期待を表明した。民主党案が提出されれば、与野党で賛否が入り乱れる構図となりそうだ。

 「ぜひ党内をまとめ、提出してもらいたい。私としては歓迎だ」

 公明党の北側一雄幹事長は23日の記者会見で、民主党の動きをこう評した。さらに、自民党内の保守色の強い議員らの反発を念頭に「自民党内でも理解いただけるようお願いしたい」とも語り、今国会での成立に向け、自民党の協力に期待を表明した。

 この法案は、公明党にとって自民党と連立を組んだ当初からの悲願だった。連立参画を翌年に控えた98年に当時の新党平和として提出したのを皮切りに、これまでに衆院だけで計5回提出。しかし、自民党の賛否がまとまらずに廃案を繰り返し、5回目の法案は継続審議となっている。

 ところが、ここにきて最近にない「追い風」が吹いてきた。参院第1党の民主党が小沢代表主導で独自に法案提出に動き出した。そして何より、福田政権になって、こうした法案に理解を示す議員らの発言力が強まってきているのだ。23日には、参院の代表質問で自民党の鶴保庸介氏(二階派)が人権擁護法案の成立を促し、福田首相も「人権擁護は重要な課題だ。政府も真摯(しんし)な検討を図る」と応じた。

 ただ、道は平坦(へいたん)ではない。22日にあった中川昭一氏が会長を務める「真・保守政策研究会」の会合で、最高顧問の平沼赳夫氏がこうのろしを上げた。「2年余り前に幕を下ろした人権擁護法案のほか、外国人の地方参政権問題も動きが出てきた。我々は、いわゆる保守の旗をしっかりと掲げていかねばならない」

 民主党は週明けにも、法案とりまとめに向け議員連盟を発足させる。小沢代表自らが旗をふり、約50人が参加する見通しだ。

 「我々がまとめれば、公明党を追い込んでいける。そうしたら自民党はどうしようもない」。小沢氏は18日の韓国特使との会談で、今国会に法案提出する狙いをこう説明した。民主党が動けば公明党も同調し、慎重論が強い自民党との間を分断できる、という読みだ。

 もちろん、民主党内にも異論はくすぶる。00年7月を最後に提出していないのも、議員連盟で法案作成を進める手法をとるのも反対意見に配慮するためだ。だが、政局優先で小沢代表が主導していることから、最終的にはまとまるものとみられている。

 〈永住外国人地方選挙権付与法案〉 日本に永住が認められた20歳以上の外国人による申請をもとに、地方自治体の首長や議員の投票権を認める法案。最高裁が95年に「(選挙権付与は)憲法上禁止されていない」との判断を示し、在日本大韓民国民団を中心に地方選挙権を求める運動が広がった。98年以降、公明、共産両党などが法案提出を繰り返している。


なぜ、地方参政権なのか。

2007-07-29 07:28:58 | 在日コリアン
 我が家の「一応庭」の百合が咲き誇り、ギボシが清楚な花を咲かせました。やりきれない蒸し暑さに夕べは今夏、はじめてエアコンのスイッチを入れました。しばらく、こんな日が続くのでしょうか。僕の体調には暑い方がいいので我慢我慢。
 今日は投票日なので参政権について。民主主義を標榜する今の時代に、祖父母や曾祖父母の代からこの国に生まれ育って自己を形成してきた人たちが選挙権も被選挙権も持たず、今日の一日を過ごす。どんな精神状態に置かれるのだろう。僕にはとんと、想像がつきません。そして、そんな不条理に目立って声を上げる当事者もいないのですから驚きです。40万人の在日コリアンにかかわることです。
 マニフェスト(といっても新聞に出ている一覧表ですが)をみると公明党だけが「永住外国人の地方選挙権付与を実現」と書いてあります。近頃、目に見えて増えている中国人などのうち「永住資格」を持つ人たちについていっているのなら理解できます。人口減少社会に来てくれ、この社会に住み着いて貢献してくれる外国人に地域社会の一員として地方選挙権を付与することは未来志向のよい政策だと僕は思います。
 しかし、在日コリアン問題の解決にはなりません。なぜ、この社会のフルメンバーとして処遇してはならないのか。
 ネックになっているのが「国籍」であることは明らかです。国政に参与するためには国籍を持つことが必要なのです。外国人に国政参与の権利を保障している国は世界のどこにもないのです。40万人の在日コリアンは1952年以来外国人とされ、親子代々それを維持しているために起きている問題です。
 旧植民地出身者が半世紀以上も居住国、出生国の国籍を付与されない等という例は世界のどこにもありません。なぜ、こうなってしまったのか、どう解決したらよいのかを智恵ある者は考えなければなりません。
 先日、ある在日コリアンの知識人と話していてあきれたことがあります。外国人に参政権を認めていないのは世界中で日本だけだというのです。この人は50年あまりをこういう認識を持って生きてきたのです。父母の世代が受けてきた受難と自分が体験した民族差別のトラウマが「日本」という国を冷静に見ることができない感情を育てたのでしょうか。「反日」が衣を着ているようです。
 かつて、朝鮮総連系の学生組織にオルグされて民族意識に目覚めたばかりの高校生が似たような言説を弄したことがあります。自己確立の過程でやむを得ないことと思ってきました。歴史や現実をリアルに認識していくことで自分に自信がつき、地道な生活者となって社会変革の担い手になっていくことが期待されますがなかなかに難しいことです。
 反日感情が先に立ってしまったら、現実が見えなくなってしまいます。在日コリアンの国籍問題がなかなか解決しない一つの原因はここにあると僕は思います。帰化により日本国籍をとった人たちを「民族の裏切り者」と処断してきたリーダー層の感情は今日に至っても根強いものがあります。このような感情を鼓舞し、金父子の独裁体制に囲い込んできたのが朝鮮総連の「民族教育」です。
 ほとんど実体がないにもかかわらず、民団(在日本大韓民国民団)が在日コリアンの代表であるがごとく振る舞っているのも同じ事情によるといえるでしょう。
 民団は定住外国人の地方参政権の獲得を目下、最大のスローガンにしています。朝鮮総連はあいかわらず、金父子への忠誠を誓い、民団の運動は日本人化を促進するものと妨害しています。
 在日コリアンの大多数はこれら二つの組織の影響下にはいません。実体としてはコリア系日本国民として生きている人々が大半です。にもかかわらず、「国民」として処遇していないのが問題なのです。ならば帰化によって国籍をとればいいのではないか、という声が聞こえてきます。事実、そうやって国籍を取得している人が1年に1万人くらいいます。しかし、それでは真の解決にはならないから僕は朝日新聞に投書したのです。16日の「川越だより」をもう一度読んでください。
 matumotoさんが二重国籍に言及されています。僕もそういう検討に賛成です。現に今回の選挙にペルーの元大統領フジモリさんが立候補しています。日本は法律上二重国籍は認めていないのに(22歳までにどちらかを選択)、実際は認めているのです。韓国の場合は日本より厳しく、外国の国籍をとったものは政府が一方的に国籍を剥奪するという法制度になっているようです。ですから、韓国の法律を改正させねばなりません。
 コリアンの友人たちに呼びかけます。もっとしっかり声を上げてください。我々にも選挙権を!と。そしてみんなで力を合わせて「国籍取得特例法」を成立させよう。

外国人から主権者へ…在日コリアンに参政権を

2007-07-16 16:20:21 | 在日コリアン
 以下の文章は3月21日、地方選挙に当たり、『朝日新聞(視点)』に投書したのですが「不採用」という通知を受け、眠っていたものです。参議院議員選挙を目の前にして皆さんに読んでいただければ幸いです。ご意見など遠慮なく、書き込んでください。電話やメールでは言いやすいけれどコメントは一寸という方が何人かいますが、発言の練習と思って一行でも書いてみてください。楽しみにしています。


   <多文化共生をめざす>在日韓国・朝鮮人生徒の教育を考える会世話人                         鈴木啓介

 先人の長い闘いが生み出した選挙権や被選挙権を土台にして私たちがあきらめることなく政治参加していくことが独裁政治を生み出さないための必須条件です。
 自分がこの社会のかけがえのない一員であることを自覚し、他者と交流しながら自分の人生観・世界観を創造し点検していく必要があります。自分が自分の主人公になることですから困難でも楽しい人生を切り拓いていくことにつながります。
 このような自覚した個人の生き方こそが、民主主義を支える根源の力であることを肝に銘じておきましょう。

 私は高校の社会科教師として生徒たちにこんな言葉を送り続けてきた。これにはほとんどの方が共感してくれるだろう。その上に立って私は言いたい。
 なぜ、40万人を越す在日コリアンに選挙権も被選挙権も認められていないのか。なぜ、そのことに私たちは無頓着なのか。

 日本の植民地時代にこの地に住むことになった人々とその子孫は世代交代を重ね、今は3世が主流となり4世5世が成育している。
 日本社会はこれらの人々に特別永住という在留資格を与えているが、<外国人>ということで参政権を認めていない。旧植民地出身者とその子孫が何世代にもわたって参政権がないなどという例は世界のどこにもない。日本の民主主義は重大な問題点を抱えているだ。
 この問題を解決するため、2001年自公などの与党案として公表された<特別永住者等の国籍取得の特例に関する法律案>は、画期的な内容だった。
 第一は在日コリアンに「届け出」による国籍取得権を認めていること。
1952年、サンフランシスコ講和条約の発効に伴い、在日コリアンは一人一人の国籍選択の権利を認められないままに、一斉に〈外国人〉とされ、主権者としての地位を喪失した。
 2001年の法案が法務大臣の「許可」ではなく「届け出」による国籍取得を認めていることは、この歴史的過誤の反省の上に立つものと考えられ、実質的に国籍取得(選択)権を認めたことになる。
 煩雑で人間としての尊厳を傷つけられかねない「帰化」制度によることなく、望めばいつでも届け出によって日本国籍をとれるようになれば、帰化制度に対する批判から国籍取得を躊躇していた人々が決断しやすくなるだろう。
 第二は民族名を名のることを保障していること。従前の帰化手続きではややもすれば日本式の氏を名乗ってコリアンのルーツを消し去ることを求めてきた。また日本の人名漢字に含まれていない姓や名を持つ人は新たに氏を創ったり名を改めたりしなくてはならない。これは民族的尊厳を傷つけ、同化を強いるものと言わざるを得ない。
 この法案はこうした流れとは明らかに違い、民族名を名のり、コリア系日本人(国民)として生きていくことを保障している。
 これだけで誰もが民族名を名のって生きられるほど現実は甘くはないが、差別を許さないとする市民の運動と相まって、コリア系の人々の自覚が高まっていけば李さん、朴さん、金さん、とルーツを明らかにしてコリア系の日本人として活躍する人が国会や地方議会をはじめとして社会のあちこちで増えていくことが期待できる。
 このことは在日コリアンの人権を確立し、日本の民主主義の基礎をより確かなものにするだろうし、また、多民族・多国籍化が進む日本を真の共生社会に導いていくためにさけられない課題ともいえる。
 法案が発表されて6年近く経つのに国会に上程さえされないのは立法府の怠慢というほかはない。今年は選挙の年、民主主義の根本の問題の一つとして議論されることを願う。



朝鮮総連が『人権擁護団体である』とは

2007-06-19 11:46:17 | 在日コリアン
10日ほど『休養』してしまいました。気力がわかなかったのです。荒川の岸辺をサイクリングしたり、群馬県の武尊牧場にレンゲツツジやブナの新緑を見に連れて行ってもらったりしていました。日曜日には「在日コリアンの日本国籍取得権確立協議会」の会合にも出席しました。書きたいことが溜まってしまいました。また、つきあってください。
 魑魅魍魎というか、お化けというか、朝鮮総連の本部売却騒動を巡る二人の老人の姿はこの国の病状を象徴しているようです。
 正義と人道を看板にして朝鮮総連を守ろうというのですから、お笑い草です。朝鮮総連が「人権擁護の団体で在日朝鮮人の心のよりどころ」だというのです。この老人たちはそれぞれに「人権」で飯を食い、総連の「調査」で禄を食んで来た者たちのトップの一人なのです。
 僕はコリア系の生徒たちとの出会いがきっかけで、在日コリアンの人権を確立することが日本の民主主義を確かなものにするために不可欠と考え、70年代に入ってから自分のできることに取り組んできました。すぐに朝鮮総連という巨大な壁にぶち当たりました。
 在日コリアンの青年が日本の企業や公務員に就職しようとすると、民族や国籍を理由に差別を受けるのが普通の時代でした。これに挑戦する二世の若者や支援者に朝鮮総連は驚くことに「同化主義者」というレッテルを貼り、攻撃したのです。私たちが日本の学校の中で民族差別問題を教育の課題として取り上げるように都教育委員会と交渉したときも同じです。挙げ句の果てに出てきたせりふは「日本の学校は差別をしていればよい。そうしたら、朝鮮の子どもは朝鮮学校に来るようになる」。
 日本の社会や政府の差別を言あげしながら、それと闘う人々を攻撃し、人々を金日成教団とも言うべき、朝鮮総連(学校や企業・銀行などをもつ)に囲い込んでいくのが彼らのやり方です。差別が強ければ強いほど金日成教には都合がいいというわけです。
 そのやり方は今も変わっていません。そのため在日コリアンは3世が主流の現代においても選挙権・被選挙権、公務員就任権を持たない無権利集団となったままです。このことに当のコリアンもあまたの人権運動家も文句の一つも言わないのですから驚きです。(民団という一部の人たちはどういう訳か、地方選挙に限った投票権を求め、どういう訳か、公明党と一部の「知識人」が是を推進してきました)。
 金日成教に洗脳されたり、囲い込まれた人々の運命は悲惨です。1960年頃には10万人近い人々が「地上の楽園」(北朝鮮のこと)に送られました。72年の金日成の還暦の時には200人の朝鮮大学の学生が「生ソンムル(生の贈りもの)」として「献上」されました。これらの人々を人質として、在日コリアンをゆすり、金品を巻き上げてきたのが此の45年の歴史なのです。朝鮮総連の指導者たちは金父子の忠僕としてその分け前にあずかってきたのです。
 心のよりどころだと思っている人がいるとしたら、どのような人であるかは推して知るべしです。
 土屋さんは84歳、緒方さんは73歳だそうです。どういう人生を歩んでこういう判断にたどり着いたのか、TVカメラの前で語り尽くしてほしいものです。拉致被害者はもとより、北朝鮮に閉じこめられて居る『人質』とされた人々の命運を思うとき、これらの老人の罪は限りなく重い。
 (追記)
 「生ソンムル」のことは『在日朝鮮人はなぜ帰国したかー在日と北朝鮮50年』(現代人文社・2004年刊)という本の中で洪祥公もと朝鮮大学校教員が詳しく証言しています。およそ信じられない『現代の生口』の存在、日本にこんな学校があり、こんなことが許されつづけている現実に驚くばかりです。オオムどころの話ではありません。

本名と通称

2007-04-20 11:49:01 | 在日コリアン
長崎市長を殺害した城尾哲弥が白正哲という本名の在日コリアンであるという情報がネットで流れています。僕は友人のHPで知りました。本当かどうかは今のところわかりません。
 警察の公式発表が通称名だけということは考えにくいので城尾哲弥が本名だと僕は推定します。報道機関が在日コリアンであることを隠す情報操作をしているという人もいますが、警察の公式発表を無視して、そんなことができるでしょうか。
 民族差別の歴史の中で、この国の裏社会の構成員にコリア系の人が少なくないのは周知のことです。ですからこの犯人がコリア系である可能性は否定できないでしょう。もしかしたら、日本国籍をとったコリア系日本人かもしれません。
 最近でこそ、日本国籍を取得する際、金や李や白などの朝鮮民族の姓をそのまま日本の氏として認めるようになったのですが、長い間、法務省は<日本人らしい>氏を名乗るよう事実上、強制してきました。そのため、植民地時代に作られた通称をそのまま戸籍名として帰化申請する例が圧倒的だったのです。
 今日でも「鄭」など日本の人名漢字表にない姓を氏とすることはできません。このために国籍取得を希望しながら、あきらめている友人を僕は何人か知っています。白というコリア系の国会議員が活躍していることは良く知られていますが、ほんの少し前までは考えられないことでした。
 コリア系に対する差別の歴史があるからといって、この人が仮にコリア系であったとしても、民主主義に敵対する行為を断じて許せないことに変わりはありません。(つづく)