ビジネス書で、また元気が出た

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伸びない市場で稼ぐ!

2004年04月30日 | [書評] 読みました!
著者:エイドリアン・スライウォツキー、リチャード・ワイズ
出版社:日本経済新聞社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
「ザ・プロフィット」の著者、スライウォツキーの最新刊。
前著はさまざまなビジネスモデルの紹介でしたが、
今回は従来型のビジネスモデルに限界がきている企業を対象として、
新たな成長の種を見つける方法を紹介しています。

そのコンセプトを、「ディマンド・イノベーション」と言います。
従来の単なる製品機能を売るビジネスから、
製品機能を超えた顧客のニーズを見出し、自らの役割を拡張することです。

ポイントは以下の2点です。
○顧客を観察する視点を、製品から経済性へ転換する
○需要を受容する側から、需要創造者へと移行する

ぼくの仕事においても、これまで50%以上パワーを注いでいた業務を効率化して、
自分たちが入らなくても、勝手に進む仕組みを確立しようとしています。
空いた時間を作って、新たにどんな価値を生み出すか。
そのヒントとして、活用できそうだったので、読みました。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)同じ顧客に、新しい価値を提供する
成長するための1つの方法は、従来のお客さんに対して、
新しい価値を提供することです。
売上というのは、単価×顧客数で表すことができますが、
こちらは新しい価値を提供して顧客単価を上げることで、成長することです。

具体的に、どのような価値を提供できるでしょうか?
○製品導入後のフォローサービスを提供する
→製品を販売するだけでなく、購入するための資金を融資したり、
 導入支援作業やメンテナンス、トレーニング(活用支援)などを行う。
○顧客が慣例的に管理していたプロセスを代行(自動化など)する
→例えば、購入した製品の在庫を管理して足りなくなったら再発注する。
 そういった業務は顧客側がすることになっていましたが、そこを責任を持って
 代行します。顧客に取って不慣れな作業であったり、リスクが高い場合は
 歓迎されます。
○隣接するプロセスをカバーする
→例えば部品メーカーの場合、製造するだけではなく、
 (部品を集めて)組み立てる工程、(何を製造するのかを決める)
 設計工程までも自社の対象領域とすることです。
○顧客の顧客の満足度を上げるために支援する
→自社にとっての顧客が満足するかどうかに焦点をあてるだけでなく、
 顧客の顧客を満足させるために何かできないか。そこをビジネス化します。


(2)従来の価値を他のターゲットに提供する
もう1つの方法は、従来の価値を他のターゲットに提供することです。
先ほどの単価×顧客数でいうと、顧客数を拡大することで、成長する。
その方法です。

こちらはどのような方法がありますでしょうか?
○同じ価値を別のターゲット(別の業界)に展開する
→例えば、高校生向けに難しい教科書をわかりやすい解説で、楽しく学べる教材を
 提供している企業があるとします。その強みである「難しい知識を、
 わかりやすく楽しく説明する」価値を、例えば資格試験市場などの
 別の業界にも適用するというイメージです。
○競合製品のユーザーに対しても、同じ価値を提供する
→同じ例で言うと、競合の塾に通っている高校生に対しても、蓄積されたつまづきを
 理解してもらうための補習塾を提供するということです。


(3)新しい価値を、新しい顧客に提供する
これは、単価、顧客数の両方に影響する成長の方法です。

○自社の製品を製造するための優れたプロセス(ナレッジ)を他社に提供する
→本書の例で言うと、ガス会社にとって、従来は、ガスを利用する個人/法人が
 顧客でした。成長するために、新たに「大規模な工場を安全に運営するための
 ノウハウ」を提供することにしたのでした。
○保有している情報を生かす
→本書の例では、TSUTAYAが取り上げられていました。大量の顧客情報を
 保有してDBマーケティングを実施していましたが、その情報を活用して、
 BtoC企業のマーケティング支援事業を開始したそうです。


(4)隠れた資産を活用する
成熟した市場において、新たに成長するための方法には、
上記の3パターンがあることがわかりました。
1つだけ共通点として言えることがあります。

それは、自社の強みを活用していることです。
(1)は自社の強みをコアとして、その周辺業務をカバーする方法でした。
(2)は自社の強みをそのまま他社に提供する方法でした。
(3)はこれまでのビジネスの中に内包されていた強みを、新たに発見し、
活用するという方法でした。

逆に言うと、自社の強みを活用することを考えずに、
トンデモナイ方向での新規事業を開始しても成功はおぼつかないですよ。
そういうことだと思います。

それでは、自社にはどんな強みがあるのでしょうか。
本書の中には、5ジャンル18種類の強みがあると紹介されています。

○従来の無形資産
 ・知的財産とコンテンツ
 ・特別なノウハウと中核能力
 ・ブランド
○顧客関係資産
 ・顧客への権威づけ(例えば、専門家としての信頼、「一流」という信頼など)
 ・顧客創造力
 ・顧客との相互関係
 ・顧客の抱える経済的な問題に対する深い洞察力
○戦略的不動産
 ・市場での地位
 ・業界内のバリューチェーン(ワンストップで提供できる位置にないかなど)
 ・顧客へのアクセスポイントの保有数
○事業ネットワーク資産
 ・製品普及数
 ・第三者との関係(サプライヤー、チャネル、研究機関など)
 ・ユーザーコミュニティ
 ・取引機会を早期発見する能力(新しいシーズにどこよりも早く気づけるなど)
○情報資産
 ・システムとソフトウェア
 ・技術的なノウハウ
 ・マーケットウインドウ(顧客やサプライヤー、仲介業者からの声が集まる)
 ・派生情報

自分の組織には、どんな強みが隠れているでしょうか。検討してみましょう。


(5)隠れた負債を発見する
多くの企業には、上記のような隠れた資産があることがわかりました。
それでは、これを発見すれば即新しいビジネスが生まれるかというと、
そううまくいかない場合があります。

どんな場合でしょうか。
隠れた負債が足を引っ張っている場合です。
つまり、強みが隠れているのとは反対に、隠れている弱みが存在する
ことも十分考えられるのです。
克服しない限り、成功する確率は低いままでしょう。

それでは、どんな弱みが考えられるでしょうか?
○企業文化面での負債
 ・企業の思考様式
 ・企業文化と歴史(そんなものはうちがやることじゃないよ、という反発)
 ・リーダーシップとコミットメント
○構造面での負債
 ・組織構造
 ・技術力と能力
 ・業績評価と業績連動報酬システム
  (失敗するリスクのある新ビジネス立ち上げよりも、短期的な業績をあげられる
   既存ビジネスに集中する)
 ・予算と資源の配分方法(初期投資が認められないなど)
 ・情報システム
○外部面での負債
 ・ブランド/権威(なんでこの会社がこんな新しい事業をするのか理解されない。
  価格勝負のレストランが、高級なディナーを提供するなど)
 ・顧客側の受け入れ態勢(今それを受け入れる予算がないなど)
 ・投資家からの抵抗(短期的なリターンを損なうのではないかという抵抗)
 ・流通チャネル/提携関係

前頭前野を強化して脳を鍛える

2004年04月29日 | [書評] 読みました!
著者:川島 隆太
出版社:東洋経済新報社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
東洋経済の出版する季刊誌「Think!」の最新号の記事です。

著者は東北大学の教授として、脳機能の維持・改善をテーマにした研究をしています。
ぼくは毎日のように、本屋さんに通っていますが、行く店行く店で、
「脳を鍛える大人の計算ドリル」など、
この人の著書数冊が平積みになっている様子を見ていました。

一度読んでみたいと考えていたのですが、今回その内容を5ページほどの
記事にまとめられていたので、ラッキーと思い、読みました。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)脳を鍛えることで、学習の効率が上がる
本を読んだり、話を聞くなど学習して得た知識は脳に蓄積されます。
また、ひらめきが生まれるのも、アタマの中に浮かびます。
効率よく学習するには、「脳」の質を高める必要があります。

脳科学的な観点からは、学習とは以下のような意味になるようです。
○脳の中に蓄えたい記憶を蓄積する
○それを上手に引き出す回路を脳の中につくる

学習する(記憶を蓄積して、引き出す)方法は、
繰り返し学習することで、忘れてしまうことを防ぐ。
何度も使うことで、学習した内容を効率よく再現する方法を見つける。
それに尽きるようです。

ただ、脳を活性化することによって、
その繰り返す回数を減らすことが可能になるそうです。


(2)脳を活性化する方法
それでは、どのようにすれば、脳を鍛えることができるのでしょう?

著者は学習する前に、脳をウォーミングアップすることで、
短期的な記憶力を上げることができると言います。
そして、準備運動として最適なのが、音読や単純な計算だということです。

音読は、目で見たものを口でアウトプットする方法。
計算は、目で見たものを手で書く方法。
つまり、インプットとアウトプットを別の器官を用いて行うことがポイントです。
また、文字の読みを考える、計算式を解くなどのアタマを軽く使う動作が
含まれていることも必要条件です。

これをだいたいどれくらいの時間行えばいいのでしょうか?
研究結果からは、10分~20分ほどやればいいそうです。

例えば、本を読むときは、「はじめに」や最初の章を音読する。
そうすることで脳がいい状態になって学習することができるのです。


(3)脳の観点から学習を見直す
その他に、脳を活性化させるためのポイントがいくつかあります。
○1人で学習すること
→自分のことを自分のペースで、自分1人で行うときに脳はよく働くそうです。
○午前中に学習すること
→一番良く働くタイミングは、午前中だそうです。
○糖を取ること
→脳はブドウ糖を栄養源にして働くそうです。ブドウ糖を作り出すデンプン質
 (ごはん、パン、麺類など)を食べておくか、時間がなければ、
 あめ玉を口に入れながら学習する方が効率がよいそうです。

組織行動の考え方

2004年04月28日 | [書評] 読みました!
著者:金井 壽宏、高橋 潔
出版社:東洋経済新報社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
先週末、大学のゼミ(HRM、組織論)の合宿に参加してきました。
普段、人事系の勉強はほとんどしていないですから、
まともに話ができる状態に持っていくために、なんとかしよう。
そう考えて手に取りました。

教科書的な本だったけど、非常に面白かったです。
一橋ビジネスレビューブックスは、以前出版された「競争戦略論」も
非常に良書でした。本誌も定期購読してみようかなと思わせてくれました。

面白さの要因の一つとして、「組織行動学」の取っ付きやすさがあると思います。
継続的に好業績を挙げる人にはどんな特徴があるのか(コンピテンシー)、
何があれば頑張る気になるのか(モチベーション)、
評価制度はどうあるべきか、リーダーシップはどうあるべきか、
仕事や会社への帰属意識はどのようにして生まれるのか、などなど。
仕事をしている人なら、体感的に考えたりするテーマばかりです。

先日のBCGの御立さんの記事に、効率よく学ぶには、まず全体像を押さえるとよい。
そのような話がありましたが、リーダーシップなども含めた
組織行動学を学ぶときに全体像を押さえるのに適した本です。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)適切な目標設定で、モチベーションは上がる
どういうときに、人は仕事を頑張る気になるのか。
諸説ありますが、意識的かつ適切に設定された「目標」が人を動機づけると
主張する理論があります。

確かに、目標を持って働いた方が、「何をどこまで頑張ればいいのか」が
わかるので短期的にモチベーションを上げるのによさそうに感じます。

でも、どのような目標でもよいのでしょうか?
この理論では、4つの観点で適切な目標である必要があると言っています。
○目標の困難度
→簡単すぎたり、難しすぎる目標だとやる気になれない
○目標の具体性
→「とにかく最善を尽くせ」よりは、数値目標や期間などが具体的な目標の方がよい
○目標の受容
→一方的に指示されるものではなく、個人が主体的に目標設定に関わる方がよい
○フィードバック
→目標達成の過程で、成果の水準が適宜フィードバックされる必要がある


(2)成果をどう捉えるか
パフォーマンスという言葉がありますが、これは行動という意味と、
行動の結果の両方を意味する言葉です。
「成果」という言葉も同様に両方の意味があります。

一つは、Doables(実際に行為としてできること)であり、
もう一つは、Deliverable(行動の結果もたらされるもの)です。

この言葉は、非常にしっくり来ました。それは自分がシステム開発の仕事を
しているからかもしれません。
この前、自分の所属するチームが情報システム部門に統合されました。
統合されて初めて気づいたのですが、別のチームの人たちの目標は、
○どんなシステムを、いつまでに構築するか
こういう観点で目標が立てられているんですね。

一方、自分たちのチームは、
○システムを作ることによって、どんな結果をもたらすのか
 (例えば、いくらコストダウンする、何人の見込み客を集めるなど)
という観点で目標設定しています。
そのギャップが、DoablesとDeliverableとの違いですね。

なお、傾向としては、Deliverable重視の流れなんだそうです。
リーダーシップ論にもその傾向があり、
「結果重視のリーダーシップ(Leadership based Result)」という考え方が
生まれているそうです。

Deliverablesを考えるというのはどういうことか?
それは、誰にどんな価値をもたらしているのか、という意味です。
今後何か行動をするときには、必ずDeliverablesを考えるようにします。


(3)包括的に成果を考える
Deliverablesというのは、自分たちの活動内容に、はっきりとした意味を持たせよう
という考え方だと思います。
その他に、ひろーく個人の成果を定義しようという研究もあるようです。
8項目ありまして、それぞれについて評価しようということです。

その8つとは、
○専門業務の習熟度
○一般業務の習熟度
○文書・口頭でのコミュニケーション
○努力
○自己規律
○チーム成果の促進
○リーダーシップ
○経営管理
というものです。

これは自分自身の行動をふり返るとき、何を強化するのかを考えるとき、
きちんと自分の成果がチーム/上司に伝わっているかを考えるときに、
チェックリストとして使えそうです。


(4)リーダーシップの2つの軸
この分野は非常に研究も盛んです(おそらく研究の結果が、
コンサルティングやトレーニングなどのビジネスにつながるからでしょうか)。
リーダーシップを発揮するとはどういうことなのか。
これについても本当に多くの説があるようです。

しかし、ほぼすべての説は2つの軸に沿って示されています。
○組織目標の達成に重点を置いた行動
○対人関係に関わる行動
この2つです。

特に経営者自身が書くリーダーシップの本などを読む場合は、
それぞれについてどのようなことを書いているのか。
これを意識することで深い読みが可能になると考えました。


(5)会社に対する愛着心
「職務満足」つまり、日々の仕事を通して生きがいや働きがいを感じることです。
会社に対する愛着や帰属意識のことを、組織コミットメントという概念で
研究している人たちがいます。

組織コミットメントのあり方には、3つの次元があるそうです。
○情緒的コミットメント
○継続的(功利的)コミットメント
○規範的コミットメント
この3種類があるのです。

情緒的~は、「好きだから、愛着があるから、ずっと一緒にいる」。
継続的~は、「長く一緒にいるし、新しいのを探すのも面倒だから」。
規範的~は、「一度一緒になった以上は、ずっと一緒であるべきだ」
このような考え方です。これは結婚や恋愛とも通じる話ですね。

ところで、組織に対するコミットメントを持つ人は、
会社に取ってよい人材(つまり、高い成果を上げる人材)なのでしょうか。
これは調査によると、そうとはいいきれないようです。

上記のコミットメントの種類によって、差があるそうです。
情緒的コミットメントの高い人は高い結果を出すが、反対に、
継続的コミットメントの高い人は、結果が低くなる。
そのような研究結果が出ているそうです。
面白いですよね。

アタマで話す技術

2004年04月27日 | [書評] 読みました!
著者:八幡 紕芦史
出版社:PHP研究所
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■なぜ読もうと思ったのか?:
先週、「あなたの話はなぜ通じないのか」という本を読みましたが、
それに味をしめて(?)、コミュニケーションの本です。

先の本と異なるのは、発言内容のみに絞って語っていること。
(先の本は、語る人間のメディア力などもテーマとしていました。)
あとは、相手の意見に反論するケースなど、言いにくいことを伝える
ことも多くテーマにしていることも異なります。

「アタマで話す」という表現が非常にキャッチーでいいですね。
つまり、感情ベースではなく、ロジックベースで話しましょう、ということです。

■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)話したい内容を、分類する
自分で話をしていても、うまく伝わっていないなとか、
我ながら支離滅裂だなと感じてしまい困った経験はないでしょうか。

アタマの中に断片的に散らばっている「言いたいこと」を、
思いつくままに、言葉として吐き出してしまっているのではないでしょうか。
そのような事態にならないように、いったんアタマの中で内容を整理しましょう。

それでは、どのように整理すればいいのか。
著者は、「言いたいこと」を3つの箱に整理することを提案しています。
3つの箱とは、「事実」「意見」「感情」という3つの箱です。
つまり、同じテーマについての話でも、3種類の語り方がありうるのです。

たしかに、いったん整理ができれば、あとは話すのは簡単だと感じました。
○特定のテーマについての事実を述べた後で、そのテーマについての
 意見や感情を述べる
○特定のテーマについての意見や感情を述べた後で、その根拠として
 (または背景として)事実を述べる
そのようにすれば、すっきりと伝わるようになるからです。

注意点は2つで、
○テーマがずれないこと
○「意見」だけ、「事実」だけなどにならないように、3つをバランスよく
 配置すること
でしょうか。

慣れないうちは、紙に書きながらでも、どのテーマの何について
話したいのかを考えた方がよさそうですえん。


(2)問題を指摘する方法
他の人の話を聞いていて、「これはちょっと問題があるんじゃないか」
そう感じたとき、きちんとその問題を提起していますか?
言いかけて拒否反応を示されたりすると、
それ以上は面倒になって、言うのをやめたりしていないでしょうか?

うー、痛い指摘です。

どのようなステップであれば、みんなの納得度を高めながら、
問題を指摘できるようになるのでしょうか。

5つのステップを踏めばいいだけだと、著者は言います。
○問題があることを指摘する
○何が問題かを説明する
○問題の理由を示す
○問題の影響を明らかにする
○問題解決の方法を示唆する

3つの点で面白いと感じました。
まずは「これに問題がある」とはっきりと主張するところです。
相手が「何を言いたいんだろう?」と迷わせないための工夫ですが、
勇気がいりますよね。でも、確実に注目は集まると思います。

次に、「影響範囲」を明らかにすることです。
これを語り、ことの重大さに気づいてもらえば、
「今そんな話をしなくても…」などという事なかれ主義的な反応を封じられます。
また、予めこれを自問することで、重大な指摘なのか、
単に「こうだったらいいな」レベルなのかを見極められるようになります。

最後に、問題解決の方法を「はっきり示す」のではなく、
「示唆する」にとどめることです。
いきなり問題があると指摘を受け混乱気味のところに、
「あれをこうしろ」などと言われては、相手が一杯一杯になってしまうからです。
冷静に相手に考えさせるためにも、
「~を議論する必要があるのではないでしょうか」レベルにする方がよいそうです。


(3)相手に当事者意識を持たせる方法
自分としては「こうしたほうがいい」という考えがあるのに、
それに対して他の人は自分と同じほどには、盛り上がらない。
当事者意識がないのではないか。そう感じてしまうときの対処法です。

当事者意識とは、「自分の問題である」と認識することですよね。
つまり、当事者意識を持たないのは、
「そのテーマが自分にとってどういう関係があるのかがイメージできない」
からではないでしょうか。

つまり、相手がそれを聞いたときに「自分の問題だ」と捉えるためには、
○聞き手が知っていること、経験したこと
○聞き手が興味を持っていること
○聞き手の利害関係
これらに引きつけて話してやればいいのです。


(4)腑に落ちる話をする方法
論理的な話、数字に裏打ちされた話をしても、相手は口をあんぐりさせたままで、
どうも納得していないようだ。
そんなときは、どのように話し方を変えればよいでしょうか。

3つの解決策があると言います。
○意味づけをすること
→例えば、「○万人の顧客がいます」だけでは伝わらないときに、
 「これは、同じ年代の5人に1人がうちの商品を使っているということです」
 というと、その多さが実感できるようになります。 
○たとえて言うこと
→例えば、変わらなきゃいけないことを促すための「ゆでカエル」の話などが
 有名ですね。
○有名な寓話や故事/ことわざ、有名人の発言などを引用すること
→相手が知っている話に引きつけて話すことで、信頼感が増します。


(5)臨場感のある話をする方法
見たテレビや映画、演劇の話、あるいは会議の話など、
自分が体験したことを人に話すとき、
自分がいかに感動したか、どれだけ面白かったか、どれだけ腹がたったか
それがなかなか伝わらない。
そんなもどかしい想いをしたことはないでしょうか。

自分が体験したことを、臨場感を持って伝えられていないことが原因です。
つまり、単に「○○がどうだった」と話をしても、
聞き手自身はその場にいたわけではないので、文脈が伝わらないのです。
伝わらないのも仕方がありません。

何を語れば、文脈が伝わるのでしょうか。そもそも文脈って何でしょう?

○それに至るには、どのような背景があったのか
○どのような状況だったのか
○その場はどのような空気だったのか
○目の前でどんな出来事がどんな順番で起こったのか
単に事象を語るだけでなく、このような情報も伝えることで、
初めて聞き手も事情を飲み込めるようになるのです。

今度面白い体験をしたとき、さっそく使ってみたい技術です。

知的情報の読み方

2004年04月26日 | [書評] 読みました!
著者:妹尾 堅一郎
出版社:水曜社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
大学1・2年生のとき、著者の講義を履修していました。
1年の「社会調査法」では、マッキントッシュの社会的な意味を探る。
2年の「情報活動論」では、兵庫県庁のWebサイトをユニバーサルデザインの
観点でリニューアルする。
そのようなテーマで、グループワークをしていました。

そのような活動に積極的に参加することが、どれだけワクワクできることか。
それを学ばせてもらった恩人です。
だから、新刊を本屋で見かけたので、即買いです。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)目を通すだけで終わらない「読む力」
あなたは自信を持って「読める」と言えるか?
本書はそのような問いかけから始まります。

日本語の文章なら、不自由なく読めます。
専門用語などが出てくる場合も、その知識があれば、まあ読めます。

いえいえ、もちろん、そのような回答を期待しているのではありません。
データや情報に接したときに、目を通すだけで終わらない。
主張されている内容を鵜呑みにするだけで終わらない。
それだけの実力を、身につけていますか? そのような厳しい問いかけなのです。

「読む力」とは、いったいどのような力なのでしょうか。
○著者が扱っているテーマ・構成を解読する力。
○著者の編集的意図を解読する力。
○読んで得た情報を、解釈する力。(自分なりの位置づけ、意味づけを行う力)
この3点について習熟しているときに、読む力があると言えるのです。


(2)編集的意図を見抜く
先ほどの「読む力」のうち、解読する力として2種類がありました。
なぜこれが分かれているのでしょうか。

新聞などが非常にわかりやすいのですが、
例えば憲法改正やイラクへの自衛隊派遣など、同じテーマを扱っていて、
同じ地域/場所で取材をしているにも関わらず、
新聞社によって記事の内容が全く異なります。
それは、異なる意図をもって記事が編集されているのです。

つまり、読む際には、「何について語られているか」と
「著者がそれをどのように扱っているのか」を分けて考える必要があるのです。

それでは、後者の編集的意図を見抜くには、どのような読み方がいいのでしょうか。
先ほどの新聞であれば、
○どのようなネタについて扱っているのか
○どの欄で取り上げているのか
○どのくらいの分量で取り上げているのか
○どのような取り上げ方をしているのか(賛成/反対など)
○どのような表現で語られているのか
この5つを考えることで、編集的意図が読み取れるようになります。
複数の新聞を比較して読んだり、立場や時間(経緯)を変えて読むことで、
その理解はさらに深まります。

また、これは新聞記事だけではありません。例えば、アンケート結果や
統計情報などの客観性が一見高そうなものについても、
同じような態度で臨むことが大切です。
例えば、首相の支持率や、市場の成長率といったテーマも、
誰に対していつ聞いたのかによって、全然結果が変わってきますよね。

○何について取り上げているのか
○どのような方法でそのデータを集めたのか
○どのような仕方でどのような質問を行ったものなのか
○いつどこで、誰に対して行ったのか
○見せ方について、どのような編集をしているのか
そのような問いかけをしながら、読んでいきましょう。


(3)Webサイトの読み方
情報を得るツールとして、Webサイトは常識的なものになりました。
Webの読み方について、検索エンジンの使いこなし方とかではなく、
留意すべき点について、挙げられていました。

○ケアレスミス(よく似た別の商品などについての情報ではないか)
○一次情報や公式情報などの根拠を軽視する
 (商品についての知識などを、オフィシャルサイトに頼らずに、
 サーチエンジンで一番最初に出た個人サイトにある情報で「よし」とするなど)
○情報の鮮度を軽視する
 (Web上の情報<特に個人サイト>は、いつ時点の情報が掲載されているのかが
 はっきりしないことが多い)
○調査の対象範囲を手抜きする
 (あるリンク集に掲載されているものだけで調査を終える。他に情報がないかを
  考えようとしない)

この前も、サーバOSのシェア情報を調べる機会があったのですが、
確かに情報の鮮度によって、全く異なる回答になっていました。気をつけないと。


(4)妹尾さん的な読書法
妹尾さん自身が本を読むときの流れについても紹介されていました。
「情報の解読」を十分に行った上で、「情報の解釈」に移るのが特徴的です。

なお、「情報の解釈」ですが、
○すでにもっている知識の中でどこに位置づくのか
 (どれについて深堀しているのか、何について新しい説を展開しているのかなど)
○自分に取って、どのような意味を持っているのか
 (例えば、このblogのように、自分の行動にどう活かせそうかなど)
○主張を鵜呑みにせずに、いかに建設的な批判ができるか
これらを考えることです。

さて、本題の妹尾さんの読書法です。
○まず本を汚しながら読む(気になるところにチェックをつけながら読む)
○汚したところだけを読み直す
○書かれている内容を整理する(自分にわかりやすい形にまとめる)
○その本のコンセプトを抽出する
○コンセプトについて、他者に教える(そのレベルまで理解を深める)
○解釈を行う(批判するなど)

ぼく自身の読み方も、基本的に肯定的に受け入れる読み方ばかりで、
批判的に読むことは、ほとんどできていないですね。
(体系立っていないな、抜け漏れがないかなどは考えながら読んでいますが。)
そのことを痛感させられました。

図解で解る部門の仕事 経営企画部[落合]

2004年04月25日 | [その他] ワイワイガヤガヤ

読んだ理由:
先輩「お前、経営企画室って何の仕事をしているか知っているか」
自分「知りません」
先輩「お前、転属が決まったときに何か本を読まなかったのか?」
自分「読まなかったですよ。基本的に仕事変りませんし」
先輩「バカ野郎!お前、経企の仕事なめてるだろ!週末の宿題だ!この本読め!」
自分「解りました。いつまでですか?今週末は土曜日GOLFで、日曜日は免許書更新なんですが?」
先輩「来週までに読んで来い」
自分「マジっすか」
先輩「必ずな!」
といわれたため。

時間がないのに急遽、読むべき本が増えました。

重要な点は
「経営企画室は会社の進む方向にを提示する部門」
「会社が進むべき道の地図を作るのは経営企画室」
ということ。

抽象的過ぎて自分には理解できません。
もう少し具体的な例が無いと解りづらい。

中長期経営計画策定方法、
組織変更、等々について記載されていますが、
どれも帯に短したすきに長し。

本の内容は結構問題があります。
例えば、チャート図が書いてあるが、整合性が無い。
一義的に会社の形態を決め付けているので、
標準化されていない。

普通の人には勧めませんが、経営企画質配属されたばかりの自分には
解りやすいので良いかも。
でも、読む必要がある本じゃないことは確かです。

コーチングのプロが教える決断の法則「これをやる!」

2004年04月24日 | [書評] 読みました!
著者:鈴木 義幸
出版社:講談社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
コーチAの鈴木さんの最新刊。
前作の「コーチングのプロが教える心を動かすリーダーシップ」の中で
一番印象的だったのが、「決めることを決める」という話でした。

今回はその「決める」「コミットメントする」ことを中心に
一冊にまとめていました。だから、即決めました。この本を読もうと。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)決めるということ
ビジネス書を読んでいて、新しいノウハウに出会って、
「これいいな!」と感じた。
だけど、その後どうなったでしょう?
意識があったのはせいぜい数日。結局何も変わらなかった。
そんなこと、よくありますよね。

「新しい行動」を起こしそれを継続するには、「決める」ことが必要です。
それでは、決めるとはいったいどういうことなのでしょうか。

決めるとは、「一つの言葉に対して一つの意味を選択する」ことだといいます。
どういうことでしょう?

例えば、「周囲の人の行動に対して、アクノリッジメント(承認)しよう」
という話を見て、「いいな」と思ったとします。
そのとき、そのアクノリッジメントに対して、
「周囲の人のやる気を高めることができる方法だ」という意味が持てれば、
実際に行動に移すでしょう。

でも、それに対して、たしかにいい方法ではあるんだけど、
「(弱点はすぐ見つかるけど)いい点を見つけるのは難しくてできない」とか、
「忙しいから、なかなか周囲の人を見る余裕なんてないよ」とか、
「恥ずかしくてできない行動だ」という風に考えたら、どうなるでしょうか。
もちろん、行動につながらないのです。

だからこそ、どうしても行動に移したいときは、
決めることを邪魔する「無意識下の意味」を認識して、排除する覚悟がいるのです。


(2)誰かに約束する
それでは、どうすれば「決める」ことができるのでしょうか。
一番いい方法は、約束することです。
それも、自分に対して約束するだけでなく、他の人に約束/宣言することです。
そうやって退路を断つのです。


(3)オリジナルのコンピテンシーを持つ
本書の事例紹介の中に、リーダーとしての行動に力を注げるように、
オリジナルのリーダーシップ・コンピテンシーを作ったという話がありました。
※コンピテンシーとは、行動特性のことです。

つまり、「リーダーは、○○できる人だ」の○○の部分に言葉を入れるのです。
どのようなリーダーを目指したいのかを明確にして、
日々の行動の中で具体的に何をしたらいいのかを棚卸しするのです。
そして、自分の実際の行動とこのリストを比較して、改善点を見つけるのです。

この方法は、もちろん「リーダー」でなくても、使えそうです。
どういう行動リストを持ちましょうか?

(4)本当の動機を知る
人によって、「こうしてもらったら、うれしい」と感じるポイントは違います。
100人いたら、100通りのマネジメントが必要になります。
だから、まずは「本音のところで何が動機づけになっているのか」を知るのです。

 仕事をやって、すでにへろへろになって、体は心底疲れている。
 時間ももうすでに遅い。そんな状況で、「よし!もう一仕事」と
 体を動かすとしたら、何が動機になるのか?

鈴木さんがコーチングを行っているある人は、部下に対してこのような質問を
投げかけているそうです。
そして、上司から褒められたいと答えた人の場合は、その人の仕事の情報が
入るようにしておいて、ヤマを超えたところで、すぐに電話して「よくやったな」と
ねぎらうようにしているそうです。
仲間から褒められたいと言う人には、そうなるように別の方法を考える。

自分も一緒に仕事をするすべての人について、何が動機になっているのか知りたい。


(5)何を決めるのか
本書の後半は、実際に「何か」を決断している人のエピソードを紹介しています。
この中で、自分にもしっくりくるポリシーをいただいちゃおうかと思います。

○メンバーには自由にやらせる。自分のアタマで考えさせる。
○人間関係は徐々に距離を埋めるのではなく、出会ったその瞬間に作る。
○メンバーを大切にする。
○何事も自分に責任があるとする。(他の人のせいで~とは言わない)
○気になることは先延ばししない。その場でなんとかする。
○人を安心させることを第一に考える。
○一度作った人間関係は、絶対に切らない。
○相手が成果を出すまで、ずっとつきあい続ける。
○人に認められるよりも、人を認めることを優先する。

「安心感」「認めることを優先する」いい言葉ですね。

トップコンサルタントが教える学びの方法

2004年04月23日 | [書評] 読みました!
著者:御立 尚資
出版社:東洋経済新報社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
東洋経済の出版する季刊誌「Think!」の最新号の記事です。
創刊以来買い続けていますが、今回の特集「独習法」はその中でも、
興味深いテーマでした。

この記事の著者である御立氏は、ボストンコンサルティングのパートナーです。
「戦略脳を鍛える」という素晴らしい本の著者でもあります。
そのあたりの信頼があるので、読みました。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)全体像をつかむ
どうすれば学習の効率を高めることができるのでしょうか。

○最初に全体像をつかむこと
○今はその全体像のどこを学んでいるか。これを常に意識して取り組むこと

この2つが秘訣であると言います。
その理由については、詳しく説明されてはいません。
以前読んだ本に、「すでに知っていることと、関係がない知識は、
覚えようとしても記憶に残らない」という話がありました。
最初に全体像を押さえておくことで、詳細な知識が入りやすくなる
基礎を作るのではないでしょうか。

さて、それでは、学習全体における全体像(基礎)とは何でしょうか?
著者はツールと能力の2種類があるといいます。
○ツール: 戦略論、マーケティング、財務・会計、HRM
○能力: アクティブ・リスニング、コーチング、プレゼン、ロジカルシンキング
ツールとは体系だった知識のこと、能力とはツールを使いこなすために
必要なものです。

ビジネスの勉強を始めるにあたっては、
この8分野について、3ヶ月間程度で、浅く広い入門書を読むことを勧めています。


(2)知識は使ってはじめて定着する
全体像を学ぶと同時に、もう一つ重要なことがあります。
それが、仕込んだ知識をなるべく早く実際に使って、自分のものにすることです。
著者は留学時代のケースメソッドの授業の中で、積極的に知識を使って議論することが、
非常に有益だったと考えているからです。

それでは、留学していないぼくらはどうすればいいのか。
もちろん、アウトプットの練習を他ですればいいのです。

例えば、何か戦略のフレームワークを学んだら、
新聞やビジネス雑誌で取り上げられている実例に適用するとどうなるのかを
自分なりに考えてみることです。
または、自社の事業に当てはめて考えてみることも1つの方法でしょう。
(そこから、足りていない部分を企画化することも考えられそうです)
もう一つ、著者が勧めているのが、勉強会です。


(3)勉強会
グループで学習することも、著者は留学時代に良さに気づいた方法です。
なぜその方法がいいのか。

勉強会を行うと、テーマについて学習するのはもちろん、
そのテーマについて発表したり、自分の考えをロジカルに説明したり、
チームのマネジメントを考えることができるからです。
つまり、前述の「ツール」と「能力」をバランスよく使うことができるのです。

もちろん、そのためには明確に「能力を試しているんだ」
という意識を持つことが必要です。
田坂さんがいうところの「隠れた目的を持つ」という考え方だと思います。

この方法で、ツールと能力を磨いていきましょう。

営業力

2004年04月22日 | [書評] 読みました!
著者:田坂 広志
出版社:ダイヤモンド社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
田坂広志さんの最新刊。
前作の「企画力」から続く「プロフェッショナル講座」シリーズの第二弾。

営業力とは、人と組織を売り込む力です。
商談という場において、「顧客の心」を細やかに感じ取り、
「顧客の心」に速やかに対処することを通じて、
顧客から自分に対する信頼を得るための力です。

前回の企画力は、主に「企画書」というドキュメントを通じて、
人や組織を動かす方法を説明していました。
今回は、そのシーンが「商談」に移ったところが異なります。

ぼく自身は営業職ではありません。
逆に、かなりの回数の営業を受ける機会が多いです。
また、提案や説明、交渉する側になることは年中あります。
そのような場に対する心構えを学ぼうと思いました。

■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)大規模プレゼンのための予行演習
著者は、商談に臨む前に徹底的に準備を行うことの必要性を説いています。
(その理由は、(3)で書きます。)
商談の状況をできるだけ実際に近い形で模擬し、その状況のもとで、
予定された時間の割り振りに従って、商談をやってみるのです。

それでは、どのように予行演習を行えばよいのでしょうか。
まずは、大会議室などを使った、多数の顧客に対するプレゼンの場合です。

司会者と発表者は、もちろん本番の通りに進行します。
それに加えて、タイムキーパーと模擬顧客という役割を置くのです。

タイムキーパーの役割は、
発表者のプレゼン時間の総計と途中でのラップを記録することです。
全体で何分かかったかはもちろん、各パートで何分かかったのかも押さえておきます。
○プレゼン全体の時間調整を行う
○本番で急遽予定変更などで時間が取れなくなったときに、
 コアの部分だけに絞って提案できるための準備を行う
ために役立ちます。

一方の模擬顧客は、プレゼンを聞きながら2つの観点でチェックをするのが役割です。
その観点とは、
○プレゼンの形式は適切か(スライドの読みやすさ、配布資料の読みやすさ、
 言葉での説明の聞き取りやすさ)
○プレゼンの内容やニュアンスは適切か(論旨は明快か、時間配分の適否、
 強調すべき点が伝わっているかなど)
という2つです。

このようなフィードバックを受けて、プレゼンの調整を行うのです。


(2)小規模プレゼンのための予行演習
では、逆に、小さな会議室などで少数の顧客に対してプレゼンをする場合は、
どのように準備をするのがよいでしょうか。

これは、大掛かりでなく、一人でもできる方法が望ましいです。
内声プレゼンです。
内声、すなわち声を出さずに、心の中で声を出しながら、プレゼンするのです。

これを行う目的は、「つなぎの言葉を明確にする」ことにあります。

プレゼンは通常複数枚のスライドを用いて行います。
1つ1つのスライドについては文章で書いていますし、説明は簡単です。
しかし、スライドをつなぐ言葉については、スライドには書いていません。
(例えば、「それは、なぜかと申し上げれば」「その理由は3つあります。
 次からその3つの理由について説明します。まず1つ目は」などです。)
それは発表者がプレゼンの中で、カバーしないといけない領域です。
そして、これを失敗すると、プレゼンが聞きにくくなってしまいます。

「つなぎの言葉」を考えるには、実際に説明を行ってみることが一番です。
言葉が上手くつながらないところは、
論理の流れ(スライドの順序など)が不明瞭であったり、
論旨の一貫性が取れていなかったりするところです。

内声プレゼンによって、それに気づくことができ、改善するチャンスが生まれるのです。


(3)準備に手を抜かない理由
正直、そこまでやらないといけないのか、と思ってしまいそうにもなります。
田坂さん達プロフェッショナルは、なぜ、手を抜かないのでしょうか。

それは、プロフェッショナルには、機会損失が見えるからです。
商談後に「あのとき、さらに細やかに対応していれば、もっと顧客の賛同が
得られたかも知れない。おそらく、あの場面でチャンスを見逃した」
そのような感覚がつかめるからなのです。
脇が甘いアマチュアは、せっかくの機会を逃しても、それに気がつきません。

機会損失を極力減らすために、手を抜かないのです。

また、事前準備を行うことで、本番で滑らかに説明できるようになることはもちろん、
さらに大きなメリットがあるのです。

スライドの中身を説明することにパワーを注ぐのではなく、
プレゼンに対する顧客の反応を見て、その表情から伝わる疑問の声や賛意を感じ、
プレゼンの内容や時間やスタイルを修正する。
それに力が注げるようになるからです。

冒頭に、営業力とは顧客の心に速やかに対処する力と書きました。
対処できる体勢であるために、事前準備を徹底的に行うのです。


(4)シーンメーキング
実は、事前準備はこれだけで終わりではありません。
もう一つ重要な技術があります。それがシーンメーキングです。

実際の商談の場面を、できる限り具体的に、詳細に、臨場感を持って
想定することです。
商談の流れに沿って、顧客の心の流れを想定するのです。

まずは、これまでの商談で示した発言や反応、社内での立場、
置かれた状況、その人柄などについて、
メンバー全員が持っている情報を確認します。

そして、当方のプレゼンや説明に対して、顧客が何を感じるか、
どのような疑問を持つか、どのような質問をしてくるか、
何に賛同していただけそうか。それを具体的に想像するのです。

(2)(3)の予行演習で発表者の立場から、
このシーンメーキングで顧客の立場から、商談の流れを読むのです。


(5)反省
さらに商談の直後には、メンバー全員で反省会を行い、商談の内容を省みます。

反省会では、何をするのでしょうか。
○商談の場で、顧客から出た発言や意見をふり返る
○商談の場での、顧客の表情や反応をふり返る
 (商談中はアイコンタクトなどで、言外の表情を読み取ります)
○商談の後で、顧客内部で起こるであろう反応を予測する
この3つのことを実施するのです。

そのときに、シーンメーキングで、
顧客の反応を予測しておいたことが役に立つのです。
想定と現実とでどこが違ったかをふり返り、その違いはなぜ起こったのかを
思いめぐらすのです。


(6)フォロー
最後に行うのがフォローです。
ぼくも仕事上よくネット系の新技術やシステムの営業を受けますが、
ここでいうフォローはほとんど受けたことはありません。

もちろん、商談後にお礼をいただくことはあります。
また、「その後いかがでしょうか」とご連絡いただくことはあります。
でも、田坂さんに言わせると、前者はマナーで、後者はプッシュセールスに
すぎないのです。

それでは、フォローとはどんなことでしょうか。
顧客が社内で検討しようか、断ろうかを迷っているときに、
それをサポートして、腹を決めてもらうための行動です。

○この前十分に説明できなかったことを資料として送りました
○会議中に話が出た別の案件についても、企画書を作成しました
などといった「知恵」を提供することです。
それによって、顧客の中のモヤモヤとした思いを断ち切り、前進させるのです。

それでは、どのような「知恵」を提供すればよいのでしょうか。
反省会を行うことで、そのヒントが見えてきます。
○顧客があまり理解できていなさそうな表情を示したのはどこだったか
○顧客が特に知りたがっていたことは、何だったのか
○顧客はどこに対して否定的な意見を持ちそうか。それは挽回可能か。
このようなところから、フォローするためのヒントをつかむのです。

本当に、一度でも、このようなスタイルの商談を体験したいものです。

起死回生のターンアラウンド

2004年04月21日 | [書評] 読みました!
著者:内海 康文
出版社:東洋経済新報社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
毎週一冊マーケティング本を読むことにしているその一環で読みました。
本書は、中堅の損害保険会社を舞台に、CRMをキーワードとして、
新たなビジネスモデルを構築していく様子を、小説としてまとめたものです。

つい最近まで、CRM推進のための部門でシステムを担当する仕事をしていたので、
興味を持ち、手に取りました。
実際には、全社的なビジネスモデル変革の話で、
ちょっと自分には大きすぎる話だなという感想です。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)著者はCRMをどのように捉えているか

CRM(Customer Relationship Management)というキーワードですが、
人によって、全然解釈が違います。

情報システム会社はデータウェアハウス構築とデータマイニングのことをいい、
ITコンサルタントはCRMパッケージの導入を、
経営コンサルタントは、顧客視点の戦略論を、
コールセンター会社は、CTIや顧客のコンタクト履歴管理ツールを語ります。

バラバラなのは、本当にその通りで、先日売り込みをいただいた会社は、
アクセスログを分析するツールのことを、WebCRMという名前で呼んでいました。
さすがにそれは違うだろとツッコミを入れたくなりました…。

それはともかく、CRM系の話を聞くときは、何について語っているのかを
正しく押さえないといけません。

本書では、CRMは顧客起点のビジネスモデル構築として、
顧客と会社との接点を見直し、その見直された関係を通して、
業務・組織・ITを統合的に再設計することと定義しています。
非常に広い捉え方です。経営コンサルタントならではの定義です。
ただ、こういう解釈なだけに、イチ担当者としての自分の仕事に引きつけて
考えようとすると無理が出ます。
そういう意味で大きすぎるなと感じた次第です。

ただ、このような経営視点からの用語の定義などは非常に好きですし、
「ビジネスサイドの検討なしに、ITの投資(顧客データベースの構築など)を
 行っても必ず失敗する」
という明確な主張は、自分もその通りだと思います。
(実際の普段の仕事の中では、すでに入ってしまっているシステムを、
 如何に事業に沿う形で活用提案するか。それを考えるシーンが多いのですが…)


(2)ビジネスモデルの定義

CRMの定義が人によってバラバラなのと同様、ビジネスモデルの定義も
さまざまに分かれます。
自分の中で一番しっくり来ているのは、ドリームインキュベータの堀さんが
提唱する「差別化×回収エンジン」というものです。
誰にどんなサービスを提供するかという視点だけではなく、
対競合(差別化)や、どうやってお金を受け取るのかまで広い範囲を、
シンプルなキーワードに集約しているからです。

それでは、この著者はどのように定義しているのでしょうか?
またまた非常に広範囲に及んでいます。以下の5つの要素の集合体です。

○戦略/戦術/施策
→顧客、商品、販売チャネル、競合他社に勝る顧客への提供価値、
 その提供価値を実現するオペレーションの仕組み
○業務プロセス
→戦略/戦術レベルの提供価値を品質、納期、コストなど、実際の業務に
 落とし込む
○パフォーマンス・マネジメント
→戦略/戦術/施策の良し悪しを評価し、業務プロセスの効果・効率を
 評価する仕組み
○組織
→業務プロセスに描かれたタスクを、いかに効果的かつ効率的に実行するか
 という観点から設計する。人事システムも含む。
○情報システム
→業務プロセスを定着させるための仕組み

お客さんに商品・サービスを提供するフロント部分だけでなく、
実際の業務までビジネスモデルとしているところが新しいところでしょうか。


(3)ビジネスモデルを見直すための第一歩

このようにビジネスモデルを広範囲なものに捉えてしまうと、
自分ではどうにもできない…。 そう思ってしまいがちな人(特に若手)のために、
著者は「こうしてみては」というアドバイスを提供しています。

 会社変革を仕掛けるために与えられている場は狭いが、顧客に最も近い。
 こうすればよいという斬新なアイデアが、単にアイデアとして埋没しないために
 説得力を身につけよう。
 説得力とは、アイデアが大きなビジネスモデルの一つの実践例であるということを
 説明できる力ということだ。
 上記のビジネスモデルの個々の構成要素がどうのこうのではなく、
 顧客ニーズを起点に考えると、ベクトルがおかしい、歯車があっていないところが
 見えてくるはずである。
 このレベルの課題をスタートとして、自分の担当領域に置ける課題例と、
 改善案と実施成果をその提言につけることで、説得力が増す。

「顧客ニーズを起点に考える」とはどういうこと? そんな疑問はありますが、
ベクトルが一致しているか、歯車があっているか。そういう観点で、
自分の担当業務のモデルを見直してみることはできると思います。


(4)営業施策の策定
これは、具体的です。
営業施策・マーケティング施策を立案するときのチェックリストとして使えます。
○誰に
○何を(どんな商品・サービスを)
○何を(どんなベネフィットを)
○いつ
○どこで
○どのアクセス媒体を通して
○どのようなメッセージを伝えるか

この全てが網羅されているか、顧客セグメントの特徴に一致しているかを
チェックすることで、企画の品質を確保することができると思います。

サービス哲学

2004年04月20日 | [書評] 読みました!
著者:窪山 哲雄
出版社:筑摩書房
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■なぜ読もうと思ったのか?:
数あるサービス業の中でも、ホテル業は一流のサービス提供が
必要とされる仕事であることは、言うまでもありません。

著者は、ホテル業界の有名人。現在、ザ・ウインザー・ホテル洞爺の社長です。
本書のタイトルも「サービス哲学」でした。
どういう哲学を持ち、仕事に打ち込んでいるのか。
それを知りたくて、サービス特集の第二弾として、読みました。

■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)技心体になっていないか
大相撲で横綱になるためには、心技体のすべてが充実していることが問われます。
優れたサービスにもこの3つの充実が必要であると言います。

特に、著者がこだわっているのは、心→技→体のこの順番です。
何年か経験を積んである程度のことができるようになったものの、
まだサービスに哲学を持っていない状態だと、
「技→心→体」と順番が逆になってしまうことがあり、
その状況がもっとも危険ということです。

どういうことでしょうか?
レストランで、お客さんがあるワインを飲みたいと希望しているのに、
「そのワインじゃ今日の料理に全然合わないよ。こっちがいいですよ」と
知識を見せつけるようなシーンを想像してください。
本人は一番適切なワインを推奨できよいサービスができたと思っていても、
実際には、お客さんはばつの悪い気持ちになっているかもしれません。

だからこそ、心すなわち哲学を持つことが大切なのです。


(2)著者はどのような哲学を持っているのか

それでは、著者はサービスに対して、どのような哲学を持っているのでしょうか。
本書の最後に提示しています。

 サービス業という世の中で最も美しい仕事に従事することができた恩返しに、
 未来を担う人材を育成し、
 人々に精神的な豊かさを提供し、
 それに命をかける。

それが著者のサービス哲学です。
実際にこの哲学に基づいて、未来の人材を育てるために、
ザ・ウインザー・ホテル洞爺の横に、「ザ・ウインザー・ホテルスクール」を開設し、
利益度外視で運営を行っています。
また、精神的な豊かさを提供するために、さまざまな施策を行っています。


(3)サービスのキーワードは「は」と「ほ」

先ほどの著者のサービス哲学の後半「人々に精神的な豊かさを提供する」
という部分でも、さまざまな具体的な取り組みをしています。

そのキーワードは「は」と「ほ」ということです。

「は」とは、お客様が「はっ」とする新鮮なサプライズを与えられる
ドキドキワクワクするような体験です。
具体的には、
○男性のためのケーキ教室(女性を連れ出し、戻ってきたら夫がケーキを作っている)
○ホテル内にある地図に載っていないラーメン屋
○冷蔵庫の中に入れてある飲み物(瓶のラムネやクラシックボトルのコーラなど)
さまざまなこだわりのサービスを用意しています。

ただ、サプライズばかりだと、お客さんが疲れてしまうことがあります。
そこで大切にしているのが、もう一つのキーワード「ほ」です。
つまり、ほっとする和みの要素をサービスの中に取り入れ、提供することです。

温泉や、市販のミネラルウォーターではなく羊蹄山の天然水、
アンティークのおもちゃを用意して家族が世代を超えて話し合えるきっかけを作る。
そういう取り組みをしています。

「ほ」の要素を事前に説明することで、お客様の期待度を高め、
実際に満足する。
さらに「は」の要素(小さいサプライズ)を数多く提供することで、
期待以上の満足を生み出すのです。
非常にうまい構成だと思いました。

50冊

2004年04月19日 | [その他] ワイワイガヤガヤ
このblogを始めてから、今日で40日目です。
気づいたら、読書記録が50冊を超えていました!

いわゆる速読術を使ったりは一切していません。
齋藤孝さんの提唱する三色ボールペン読書法で、
超重要を赤、重要を青、面白いを緑の線を引きながら読んでいます。
ぼくにとっての緑は、「自分でも使えそう」「実践的」の印ですけど。
読み終わった後で、マインドマップを書きながら、
内容を取り出し、それをこのblogにまとめています。

予想外のハイペースで来れたのは、何かを投稿しないとという強迫観念か。

これを機に1つ変えようと思っていることがあります。
読書日記は1つのカテゴリーにまとめてきましたが、
これをジャンル別に整理しようかなと思います。
その方が、自分的にも役立つし。
仮に見てくれている人がいたとしても、その方が探しやすいと思うんで。

最後に。
コメントをくださっている方。ありがとうございます。
目を通しています。同じようなことを考えている人がいるのを知って、
非常に励みになります。

あなたの話はなぜ「通じない」のか

2004年04月19日 | [書評] 読みました!
著者:山田ズーニー
出版社:筑摩書房
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■なぜ読もうと思ったのか?:
これは、サービスの本ではありません。
コミュニケーションの本。

コミュニケーションも自分の思いを滔々と語っても、
理解してもらえないですよね。まず、相手ありき。

その考え方はサービスと相通ずるところがある。それで読んでみようと思いました。

この本は、「コミュニケーションのゴールは、自分の思いで相手と通じ合うこと」
と見据えています。
そこに至るための方法を提案しています。

後悔しました。もっと早く読めばよかったと。良書です。


■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)聞いてもらえるだけのメディア力があるか
以前読んだ田坂さんの本に
「経営の世界において大切なことは、何を語るかではない。
 誰が語るかである。」
という一節がありました。
たしかにうなずけるところではあります。
自分が何を言っても取り上げない上司。同じことを上司の上司が言うと、
すんなり通る。こういう状況、一度や二度ではないです。
また、会社に取って耳の痛い話をするために、あえて外部のコンサルタントを雇う
ということもあります。

でも、若手だからとか、権限のない担当者だからという理由で、
正しいことを言っても聞き入れられないのは、納得できない。
そういう気持ちが強く、受け入れることに心理的な抵抗がありました。

そのような話を聞いてもらえる力を「メディア力」としています。
本書はそれを前提とした上で、日常のコミュニケーションの中で、
いかにメディア力を高めていくか。その方法を提案しています。

どうすれば、メディア力が高まるのでしょう?
一つの考え方が、「情報占有率」です。

人から話しかけられるときに、
「あれしろ、これしろって言うけど自分は何もしない人だ」
「また批判するだけなんだろうな」とか、嫌な気持ちになること、ありませんか?
それは、これまでのその人との対話の中で、マイナスの内容が
ほとんどを占めているからです。
それを情報占有率と言います。

例えば、上司に報告に行くときは、ほとんどがトラブル発生だったとします。
すると、上司の立場からすると、自分がやってくると、
「あいつ、また何かやらかしたんだな」と警戒するようになるのも当然です。
だから対応策としては、日常会話の中でプラスの情報の割合を増やすことです。

○相手からのメールに、必ずリアクションを返す
○依頼に対して応える
○他人のことを自慢する
○同じ問題意識を共有していることを示す
といった方法があります。中でも最後の「問題意識の共有」によって、
相手との共感が生まれます。

コミュニケーションをしているときには、
「何を言おうとしているのか」
「共感するところはないか」
「自分はその点についてどのように考えているのか」を伝えられれば、
同じことを考えていることが伝わり、その人の中で、自分のメディア力があがるでしょう。


(2)シンプルな構成で話す
上記のように、プラスの情報を流したり、共感していることを伝える前提として、
「アイツの話は何がいいたいのか、さっぱりわからない」
とそもそも言われたりしてないですか。

それは、話の構成がはっきりしていないことが原因です。
論理的でないように聞こえてしまうのです。

それでは、どういう構成であれば、論理的に聞こえるのでしょうか。
論点→意見→理由という順序で提示するのです。

論点がなかったら、「何について語ってるんだっけ?」となったり、
相手の興味を引かない話題と判断され、聞かれなかったりします。
意見がなかったら、「結局どうしたいの?」となってしまう。
理由がなかったら、「それって本当なの?」となります。
だから、この3つがワンセットであること。これが必要なのです。


(3)自分の意見をはっきりさせる
でも、何を語ればいいんだろう?
どうすれば中身のある話になるんだろう?
そういう悩みを抱かないために、自分の意見を深める方法があります。

それは、問いかけをすることです。
自分の中に問いがないから、何を答えればいいのかわからないのです。
コーチングの技術と重複する点ですが、適切な問いがあることで、
自分の意見を深堀することが可能になるのです。

それでは、どうすれば「よい問いかけ」ができるようになるでしょうか?
問いかけを習慣化することと、レパートリーを増やすことに尽きるようです。
○特定のテーマについて、3分間の制限をつけて、問いを書き出す練習をする
○本や新聞記事で面白い考えが載っているときは、どのような問いがなされているのか
 これを探す。明示されていないときは、答えから割り出す。
○問い100本ノック(特定のテーマについて、100つの問いを作る)

そのような練習を積むことを推奨していますが、
同時に、視野を広げることで問いを増やす方法を紹介しています。

つまり、
○時間軸(過去/現在/未来)
○空間軸(自分の周辺/組織全体/日本/世界など)
○人軸(誰の立場に立っているのか)
という観点です。

本が読めない【落合】

2004年04月18日 | [その他] ワイワイガヤガヤ

本が読めません。
時間が・・・じゃなく、心の問題。
この仕事を続けていくのか。
この仕事で良いのか。
自分がこの会社で何をしたいのか。
将来、どんな自分になっていたいのか。

ふと気づくとそんなことを考えてしまう。
仕事も読書もできません。


『仕事の思想』の錨が無いということに気づく。

モラトリアムって歳でもないんだけど。
錨が必要だ。

サービスの教科書

2004年04月18日 | [書評] 読みました!
著者:高萩 徳宗
出版社:明日香出版社
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■なぜ読もうと思ったのか?:
サービスについて考える1冊目。
まずは、「サービスの教科書」というタイトル。
ある程度網羅的に話がされているのではないかと考えました。

著者は、重度の障害を持った方や高齢者向けの旅行代理店を経営しながら、
サービスに関する講演やセミナーを行っています。
そのような最前線にいるからこその具体的なエピソードも豊富かと考えました。

■どのような点が役に立ちそうか?:

(1)サービスは、120%相手発想。
○店に入ると、大声で「いらっしゃいませー」と言われるのは、よいサービスか?
○何かを買うと、おまけで何かをプレゼントされるのは、よいサービスか?

もちろん、体育会系の雰囲気が好きな人にとっては、好ましい対応かも知れません。
ただ、それは全員に当てはまることではありません。

よいサービスとは、
○相手(お客さん)が今何を考えているのか、どうして欲しいと思っているのか?
○何に困っているように見えるか?
○自分がどんなアクションを起こしたら、相手に喜んでもらえるか?
このような発想に基づき、相手のために行動することです。


(2)「誰のためのサービス」を決める
「よいサービス」は相手発想から生まれます。
つまり、まず最初に考えないといけないことは、「誰を相手にサービスするのか」
これを定義することです。

その上で、その相手に対して、「どんなサービスを提供できるのか」を決めます。
同時に「やらないこと」も決めておきます。
見込み客が「やらないこと」を求めてきた場合は、サービスの提供を断る。

また、自分たちが既に提供しているサービスの中で、
誰のためかがはっきりしないものはないでしょうか?
決めたお客さんに役立つように見直しましょう、もしくは提供をやめましょう。


(3)マインド×仕組み×現場対応力
どのようにして、お客さんに取って最高のサービスを提供するか。
それがマインド×仕組み×現場対応力です。

まずはマインド。つまり、「そのお客さんのために役立つことをしたい」という
気持ちを持つということです。
もちろん、研修で身につけることもできますが、そもそも自社に合った
サービスマインドを持った人を集めることも大切です。
そのために、どうすればいいのか。

自社にとって一番いいサービスの具体的なエピソードを、
伝説としてPRすることです。
ノードストロームや、サウスウェスト航空、リッツカールトンなどは
いずれもそのような伝説が存在します。
(例:ノードストロームでは、自社が売ってもいないタイヤの返品にも応じたなど)

このような話を聞けば、「自分もそこまでしたい!」となるか、
「自分にはとてもできない」となるかのどちらかでしょう。
もともと集まってくる人たちを選別することにもつながるのです。


(4)サービスの仕組みづくり
接客することだけが、サービスではありません。
手間や人力をかけないと提供できないものではないのです。
効率の良いサービスシステムを作り上げることで、同じだけの満足度を
安定的に提供し続けることができるのです。

例えば、新幹線の検札はお客さんに取って面倒なだけです。
検札があるまで、手に持っていたり、窓枠に置いていたり。
そのような不便を解消するために、座席に「切符ホルダー」を設置する。

または、ビジネスホテルのインターネット予約サイトなども、
忙しいビジネスマンが自分に都合の良い時間に予約できるようにする
仕組みであると言えます。


(5)サービスの現場対応力
仕組みでもカバーできないところを、人の力で対応します。
居酒屋で4人で飲んでいるときに、注文したシュウマイが3つで一皿だった。
そんなときに、「お一つ追加しましょうか」と言われれば、うれしいですよね。

そのような現場対応力をどうすれば磨けるか?
本書ではそのヒントとして、以下のようなポイントを挙げています。
○顔を覚えておく
○すべては自分のために
○特別な、自分だけの話が好き
○お客さんを忘れていないというサインを示す
○値引きではなく、プラスをつける
○なかなか体験できない
○サービス提供の最後に心に残る体験を
○人に自慢しやすい仕組みをつくる
 

(6)しびれるサービス、むかつくサービスを集める
自分のサービスを向上させるために、どうやってサービスセンスを磨くか。
日常生活の中で受けたサービスについて、
○どこがよかったのか
○どこが悪いのか
これを紙に書いて分析することで、自分のサービスに活かせる点を考えていくのです。