アップルパイの主役はどっちだろう?アップルかパイか。そんな愚問に構っていられない。このショーソン・オ・ポンムは、わが人生で唯一無二の最高の味である。(Chausson aux pommesのショーソンはスリッパで、pommes=リンゴのスリッパという意味)
帰省した折に戴いたのだが、どこで買ったのか尋ねると、南区のどこそことかいうがよそ者にはさっぱり解らない。トワ・グリュという名前が箱に書いてあったので、フランス菓子なんだろう。
話を戻すと、リンゴ生地がなんとも贅沢な味わいで、それをえもいわれぬパイ生地が包み込んでいる。パイの形にこそ秘密があるような気がするが、この二つの奏でる味わいは、七十年の人生で初めての体験であった。あまりの美味しさに表現が付いていかないとしか言い表せないのが正直な感想である。