振り向けば大宮の夜が明ける。 少し変わった角度から眺めるの!

大宮在住。
伸び行く大宮市、
その時々の目に留まったことなどを楽しくユーモアも交えて
書きたいと思います。

醜いよだかの星を賢治が童話に描いた!

2019-02-20 15:56:52 | ブログ

よだかの星 


よだかは実に醜い顔をしています。

顔はところどころ味噌をつけたようにまだらで、

クチバシは平たくて耳まで裂けています。

 

足はヨボヨボで一歩も歩けません。

他の鳥は、よだかを見ただけで嫌になっていました。

 

よだかよりずっと上だと思っていたひばりは、

よだかを見るとさもいやそうに目をつぶり

首をそっぽうへ向けました。

 

小さな鳥までもが、よだかの悪口をいつも言い

「あの様をごらん。まったく仲間の面汚しだよ。」

「あの大きい口をごらん。鳥ではなくてカエルの

親類だよ。」

 

よだかは鳴き声が鋭くて、羽がとても強くて、

風を切りかける時は

まるで鷹のように見えたので鷹と呼ばれました。

でもよだかには、するどい爪もするどいクチバシも

ありませんでした。

 

 

 

f:id:wonderlandchang:20180209222604p:plain

 鷹ならば、顔色を変えてぶるぶる震えて、

体を縮めて木の葉の影に隠れる小な弱い鳥たちも

よだかを怖がりませんでした。

 

 よだかの兄弟は美しいカワセミや

宝石のようなハチスズメでした。

 

 

 

f:id:wonderlandchang:20180209224913p:plain

宝石のようなハチスズメ

 

 

 

 

関連画像

美しいカワセミ

 

カワセミは魚を食べ、ハチスズメは花の蜜を吸い、

よだかは羽虫を取ってたべました。

 

 

 鷹はとても嫌がって、よだかを見るたびに、

肩をいからせて、

「早く名前を改めろ」と言いました。

 

 

 

f:id:wonderlandchang:20180209222953p:plain

 

ある夕方、鷹がよだかを脅しに家にやってきました。

 

「早く名前を改めろ。

 俺は青い空をどこまでも飛んで行けるんだよ。

 お前は薄暗い日か、夜でなくちゃ出てこない。

 お前と俺とは全く違う鳥なんだよ。

 俺のクチバシや爪をよくお前のと比べて見る

 がいい。お前は恥知らずだ。」

 

 

「鷹さん、それはあんまりです。

 私の名前は神様が下さったのです。」

 

「鷹の名は神様からもらったと言ってもいいが、

 お前の名は

 俺と夜とから借りてあるのだ。さあ返せ。」

 

 

「鷹さん、それは無理です。」

 

「あまえはこれから市蔵と名乗り、

 首へ市蔵と書いた札をぶら下げて一軒ずつみんな

 の家を改名の挨拶をしてまわるのだ。

 あさっての朝までにしろ。

 そうしないとお前の命はおしまいになるよ。」

 

 「俺はあさっての朝早く、

  一軒ずつ周りお前が来たかどうか確認をする。」

  

「そんな事をするなら私はこの世からいなくなった

方がいいです。」

 

 

 「まあ、よく考えなさい。」

 

鷹は、大きな羽をいっぱいに広げて、自分の家の方

へ飛んで帰って行きました。

よだかは、じっと目をつぶって考えました。

 

 

 

関連画像

 

「僕の顔は味噌を付けたようで、口は裂けてる

 からなあ。

 いったい僕は、何故こうみんなに嫌がられるん

 だろう。

 僕は今まで、何にも悪い事をした事がないのに。

 

 今度は市蔵だなんて、首へ札をかけるなんて

 辛い話だなあ。

 

 メジロの赤ちゃんが巣から落ちていた時に、

 巣へ連れて行ってやった。

 なのにお母さんは、

 まるで盗人からでも子供を取り返すように、

 僕を引き離した。

 

 

 

 

f:id:wonderlandchang:20180209231331p:plain

 メジロ

 

 

関連画像

 メジロの赤ちゃん

 僕は赤ちゃんの命を助けたのにね。

  

 宮沢賢治、夜鷹の星を短くアレンジしています。

写真は画像検索からいただきました。

 

よだかは可哀想な奴だな。

どこまでも行きつくことを知らない苛めに醜い

よだかはあっています。


宮沢賢治 よだかの星 一回目

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。