まずは、私の現状を教えて欲しいとAさんに言われ、私は恥ずかしかったが借金があることや物欲が抑えられないことなどを赤裸々に話した。<o:p></o:p>
「こんな最低の状況ですが、私でもAさんのような成功者になることができるのでしょうか」<o:p></o:p>
そんな私の質問にAさんは曇りのない目でこう言った。<o:p></o:p>
「成功者になることはそれほど難しいことじゃないですよ。Nさんでもきっとなれます。」<o:p></o:p>
「まず何から手をつけていいか」<o:p></o:p>
「成功と言っても、いろいろな形があると思います。お金持ちが成功者かと言われるとそうでもない。仕事で成果を収めれば成功者かと言われてもそうでもない。1つずつの要素で成功者になるのではなく、さまざまな要素で成功者かどうかが決まるのだと思います。もっと言えば、成功者かどうかを決めるのは他人ではなく自分自身です。Nさんはどうなりたいのですか?」<o:p></o:p>
そう聞かれて、自分自身にはどんな人になりたいのかというイメージもないことに気づいた。<o:p></o:p>
「それはまだ分かりません。ただ、借金を完済してお金のことで悩まない人生を送りたいと思います。もっと言えば、Aさんのようになりたい。今はそう思います。」<o:p></o:p>
「分かりました、まずは生活に困らないほどのお金を手に入れたいということですね。そこから先、Nさんがどのような人生を送るのかは後々考えていきましょう。では、指導にあたりいくつか約束して欲しいことがあります。Nさんにとっては、厳しいと思える内容かもしれません。それを受け入れられるのであれば、メンターとして成功に導きたいと思います。」<o:p></o:p>
厳しいという言葉に一瞬だけ躊躇したが、現状よりも最悪な状況など考えられなかった。私は頷いた。<o:p></o:p>
「約束の1つ目は、僕の指導を受けていることを誰にも言わないでください。多くの人は、成功していないにも関わらず、他人にアドバイスをしたいものです。だから、そんなのは間違っているとか、それは違うとか評価を下したがります。しかし、成功者になりたければ、成功者の言葉に耳を傾ける。それ以外には必要ありません。つまり外からのノイズをシャットアウトするようなイメージです。よろしいでしょうか?」<o:p></o:p>
確かにその通りだと納得できるものだった。私の親も、「こうしろ、ああしろ」と指示をしてくる。それは私のためだということは分かっている。しかし両親は成功者ではない、つまりその言葉に従っていてはダメのだ。私はこう返事をした。<o:p></o:p>
「分かりました。指導を受けていることは他言しません。他の言葉に耳を傾けることもしません。」<o:p></o:p>
「いいでしょう、次の約束は受け入れるのが難しいかもしれません。」<o:p></o:p>
Aさんの言葉通りに、次の約束は躊躇せざるを得ないものだった。<o:p></o:p>