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STAP細胞と論文疑惑について

2014年03月12日 10時53分15秒 | 報道/ニュース
多くの科学者は誤解をしていないだろうか?「投稿された論文に本質的な誤りがあってはならない」と。

投稿論文に誤りがあるのは普通である。コミュニティーをリードする第一線級の学者もしばしば誤りを犯す。それも決定的で本質的な誤りを。もちろん当事者もコミュニティーもそれに気づいていない。長い年月の後に、他の研究者によって気付かれ、改訂され、磨き上げられて、正しい理論へと修正されて行くのである。

「論文に誤りが見つかったので取り下げる」というのでは殆どの論文は生き残れないだろう。論文の執筆者が「私はねつ造を行いました」と証言しない限り、論文は撤回されるべきではない。これは私が、長い研究人生の中で身をもって体験してきた、確信を持っていえる言葉である。誤りと確信していたものが、後に正しいと判明する例が(真逆のケースと同様に)しばしばあるからである。研究が浅く未熟な段階では、正しい答えは、本人自身を含めて誰にもわからないのである。

ここは、焦らず、時間に委ねるのが良いと思う。これほど注目された研究論文ならば真実は遠からずはっきりする。理研も、14日には結論を出すなどと拙速せず、少し頭を冷やした方が良いように思う。論文を取り下げるなどという事態になれば、本人も共同研究者も科学者としての信用を失い、アカデミーの世界から追放されるだろう。ことの重大さを十分にわきまえて対処すべきである。

ちなみに、論文に目を通したが、英文および論理構成はすばらしくなかなかの力作に思えた。若干30歳にしてこれだけの論文を書ける研究者はそれほど多くない。