夜の虫たちは、目隠しをされて飛べない。
何とか頑張って飛ぼうとしたら、街燈に引き寄せられている。
光の糸に縛られて、光の虫かごに閉じ込められる。
背中に黒い闇を背負って、夜は自由に飛べない。
飛べるのは、灯りを自分で持っているホタルだけ。
オスは光りながら飛び、メスは光らずに草むらに潜んでいる。
鈴虫は、秋の夜長に澄んだ音を響かせ、愛され上手だ。
オスは羽を擦り合わせて、メスは音を出さないで喋っている。
嫌われ上手のアブラムシが、街燈に群がっている。
アブラムシの上を行く、嫌われ上手のゴキブリ。
暗闇の中が大好きで動き回る。食べ物を探したり、巣を作ったり。
夜は虫たちを無重力にする。姿勢が定まらず、街燈の周りでひっくり返る。
だから夜の虫たちは、木にしがみ付いている。