これからはじまるライブは、いまだかつて誰も経験したことのない飛びっきり愉快なライブでした。
その頃、大阪の『スタンドアール』いうバンドの連中は、いつかビッグになってその名をとどろかせることを夢見ていました。今も昔も星の数ほどある売れないバンドたちは、生計を立てるために何がしかのアルバイトをしなければなりませんでした。それにもれずに、スタンドアールのメンバー達もステージのない日には、二人一組でラーメンの屋台をひいていました。リードギターのアールとベースのテッチャンが、キーボードのヨシとドラムのタイコが、それぞれコンビを組み二台のラーメンの屋台をひいていました。ボーカルのアンナだけは幼稚園の臨時職員でした。