空美風~私らしい言葉で~

二胡と歌の親子ユニット空美風のボーカル担当ひとみが綴るブログです。

精霊流し

2010-08-17 23:12:12 | ポエム

15日の朝 

慣れない早起き

白とグレーの雲々が

足早に流れてく

時折覗く朝陽に手を合わせ

”どうか 雨だけは降りませんように・・”


私はひとり外に出て

みんなで造り上げて来た

精霊船の仕上げに入る

お世話になった父への

最後の親孝行

船は「西方丸」

極楽浄土へ舵を取る


雲の流れは相変わらず早い

そのお陰で

青空まで見えて来た

ひとり またひとり

集う心はみなひとつ

お父さんの為に・・

おじいちゃんの為に・・


甥っ子姪っ子の張りきる姿に

生前の父への愛情を見つけた

みんな ありがとう・・

本当にありがとう・・


この日を迎えられたのも

すべて主人のお陰

ひとりもくもくと

アイデアを駆使しながら

一枚の板から造り上げられた船は

亡き父への感謝の気持ちであり

この世に たった一つの

心の籠った精霊船

ありがとう・・

そして

お疲れさまでした


”みんな 仲良く”

それが父の遺言

短い言葉の中に込められた想い


お父さん 見えてるかな

みんな笑顔だよ

元気にしてるよ

仲良くしてるよ

お母さんと輪になって

手を繋いでるよ

だから 心配しないでね

ゆっくり 休んでね

見守るのは

気の向いた時でいいから

ゆっくり休んでいてください


午後6時

幾重もの雲が 

黄金色に輝きだした


爆竹が鳴らされ

鉦(かね)を叩く

空いっぱいに

船頭の声が響き渡る


”どーい どーい!”


さぁ お父さん

出発するよ・・






↓みんなで造りました



私の弟です



灯りをともすと更に綺麗です



流し場にて




長崎では、宗教に関係なく精霊船を流します
父はクリスチャンでありながら、信仰心に乏しく、
天上界では、神様はご一体と考えていました。私も同じです。

私達にとって、精霊流しは、お世話になった方々への感謝の心であり、
親孝行であり、残されたものの涙を癒すもの・・なのかもしれません。

初盆を迎える皆さんの、それぞれの想いを形に変えて、
美しくもあり、儚くもある精霊流しが、
賑やかに、華やかに、長崎の街を包みこんで行きました・・



風香・・


















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