ウツケンのたまり場

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読書の秋 30日目 グミ・チョコレート・パイン

2005-10-31 20:01:24 | 
グミ・チョコレート・パイン



 作者:佐々木勝彦・清水沢亮
連載誌:マガジングレート連載
 巻数:5巻まで発売


今回はこれです。

これは大槻ケンヂ氏の同名小説のコミカライズになるのですが、小説も青春小説として非常に面白いです。
コミックとして連載していたときは「グミ」「チョコレート」「パイン」の三部作のチョコまでしか発売しておらず、(チョコからパインまで約8~9年かかってた)原作とはまた違う展開をしていきます。

主人公は大橋賢三。趣味は映画鑑賞。クラスになじめず休み時間を水飲み場で過ごす毎日。
他人となじまないことで「自分は他人にはない大きな何かをもっている」と思っている彼と同じ意思を持つ同志のカワボンとタクオが何かしようと動き出します。
その「何か」とはノイズバンドでした。

初のスタジオ練習はベースのシールドを忘れたりギターをタイルでひこうとして弦を切断。口ギターと口ベースで練習しようとした挙句しまいにはスタジオ内でプロレスやって帰宅。
新メンバーを募集して金持ちだけど弱気で泣き虫、典型的ないじめられっこの小田(でも演奏技術は一番上)を蹴り一発で加入。
レパートリー曲0で望んだ初ライブはギターバトルと称して小田のギター(超プレミアもの)をぶつけ合うばかっぷり。

そしてもう一人の主役、山口美甘子。
賢三のクラスメートで(表面上)クラスになじんでいる側の存在。
たまたま賢三と映画館で会い意気投合。同じ趣味を持つ「同志」としての付き合いがはじまる。
そして初デートでは映画を見た後ファミレスで「集団・社会の中の孤独」について討論。
このとき賢三は完膚なきまでに論破され、「いつかこの山口を追い越してやる」と心に決めるのでした。

その後、クラスのはぐれものの一人、山之上の作詞の才能を目の当たりにし賢三は激しく落ち込みますがたまたま見た映画「ゾンビ」で悩みを吹っ切ります。
『俺はゾンビだ
 俺は不死身なのだ!
 不死身のゾンビなのだ!
 俺を止めたかったらショットガンで俺の頭をぶち抜け!
 もうくだらんことでグジグジと悩むのはやめだ
 さっきまでの俺は映画館の中でゾンビに喰われたのだ
 そして俺はゾンビになったのだ!
 もう怖い物などない!
 好きなんだよ 本も映画も音楽も!
 役に立つ立たねぇなんて貧乏くさい事いわねぇよ
 ゾンビだから本能のおもむくまま好きなことだけやってやる
 何の才能もないだぁ!?
 ゾンビにそんな小難しいことわかるか!
 ダメ人間だぁ!? 
 俺ぁもう人間やめたんだよ!
 人生だぁ!?
 俺ぁもう死んでるってんだよ!
 やってやる!
 好きなことやってやる!』

と自転車で全力疾走するシーンは大好きです。


そして山之上を作詞担当として加入。
バンド活動も再開した時、また波が立ちます。
山口美甘子がグラビアデビュー、学校を退学し芸能界へ、賢三の先へ先へといってしまうのでした。 


その後は初のオリジナル「荒井注伝説」が完成。バンド「脳髄ダイヤ」は演奏よりパフォーマンスの面白いバンドとして上へ上へと進んでいくのでした。



山篭りしたり「セックス・ドラッグ・ロッケンロール」を実践しようとかバカなことやったり、落ち込んだり立ち直ったりとあきさせないテンポのよさが心地よく。
風原さん本当に鬱になったときにこれを読んでさらに鬱になったりとある種の教典的な一冊だったりします。

で、ここにでてくる「荒井注伝説」
もちろん「高木ブー伝説」のパロディなのですが、比べると非常に妙です。
「俺は何もできない人間だ。愛する人との別れにも何もいえない人間だ。笑うなら笑え」というある意味自虐的反応なのが高木ブー。
「なんだバカヤロー!俺は何も出来ない人間だ!愛する人との別れにも何もいえない人間だ!それで悪いかバカヤロー!」逆切れ。これが荒井注。
「高木ブー」と「荒井注」というドリフつながりというだけでなく、意味合いはまったく逆の思想。でも根底はまったく同じ。これは非常に妙だと思います。

連載は終了し11月に最終巻が発売されます。買え。



そしていよいよラスト。
今日はもうちょっとだけ続くのです。


追記
ちょっとやんごとなき事情により今日はここまで。
明日をお楽しみに。

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