◇これはシンルクお試し版「翠玉の罠(その3)」の続きです。
しかも捏造度がかなり高めです。なので、閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
そしてこの話は困ったことに女性向です。苦手な方は自力での回避をお願い致します。
さらにこれは所謂裏の部分を削った、不完全版です…なので、話がブツ切りで、つながっていません。それでもいいという方だけ閲覧下さい。
とはいえ多少女性向の描写が入り込んでます。嫌いな方はご注意下さい。
長々とすみません、それではどうぞ。
(だって)
あの人は痛みしかくれなかった。
いつも飢えた獣に生きながら喰われているような、そんな苦痛だけが自分を支配して。
(やさしくされたことなんて、いちども)
けれど、今ならわかる。
泣いて縋る自分には見向きもせず帰っていったあの人の心を占めていたのは、きっと。
涙で霞む視界の端で揺れる、鮮やかなあか。
「しらな…も、やだぁ…っ」
「嘘つき」
知りたくなかった。
そして絶対に知られたくない。
なかった、のに。
「知らないわけないよね。嫌と言うほどヴァンに抱かれていたくせに」
ああ、真実を告げる声は、無情にも。
「な、んだ、と…?」
強固な意志を持った緑の瞳が、初めて、揺らいだ。
「馬鹿な!ヴァンは俺には…」
「最後までしなかった?」
「…っ」
その先があることはわかっていた。
けれど、ヴァンが言ったのだ、お前を、傷つけたくない、と。
だから。
「はっ、子供じゃあるまいし、いい大人が抱き合って眠るだけで満足するだなんて本気で思ってたの?おめでたい頭してるんだね」
シンクの嘲りの言葉も、今のアッシュには届かない。
自分を寝付かせた後で、どこかに出かけているのは知っていた。
一度だけ夢うつつで見た顔は、優しい彼の者とは別人と見紛うほど、怖くて。
だから、ヴァンしか縋るもののなかった自分はあれは夢だと必死で思い込んだ。
忘れようと、していたのに。
「ヴァン、が…レプリカを抱いていただと?」
「それも相当酷く、ね…例えば…」
助けられないなら、せめて。
はやくこの果てのない甘い、責め苦から。解放してやりたかった。
拘束を解かれたアッシュは、鉄格子を背に座り込んでいた。
その足元には、ずたぼろのルークが転がっている。
「…ん…」
ぼんやりと空を彷徨う、緑色の瞳。
「あ…ぁ、俺…?」
身を起こしたルークは、今までのことを思い出したのか、がたがたと震え始めた。
「や…!ぃ、やだ、やめて…ぃや…」
動かぬ体で必死に何かから逃げようともがくルークを、アッシュは痛ましげな目で見つめた。
「レプリカ!」
痛いぐらいに掴まれた肩に、そして何より悲痛な、その声に。
ルークの緑の瞳に、意思の光が戻った。
「…ぁ、しゅ…?」
「しっかりしろ」
今の状態でこんな言葉が酷なことはわかっていても。
わからないのだ。どんな言葉をかけてやればいいのか、自分には。
「だいじょうぶ、こんなのどうってことない、から、だい、じょうぶ…」
自分とアッシュに言い聞かせるように、その口はまるで壊れたオルゴールのように同じ言葉を繰り返す。
けれど、その体は、小刻みに震えていて。
浮かべられた笑顔は、無理をしているのが一目瞭然で、痛々しいほどだった。
「どうして、そこまでするのさ?お前だってレプリカだろうに」
「…!」
暗闇から現れたシンクからアッシュを庇うように、ルークはその前で両手をひろげた。
「…そんなの、関係ない。俺は…」
「アクゼリュスの償いのつもり?L-105、レプリカであるお前が、被験者の味方をするなんて…ははっ、これじゃあいつらも救われないね」
「あいつら?それに、L-105、って…」
「お前の前に作られた『ルーク』のレプリカたちだよ。そしてL-105…この数字が意味するのは、お前が105番目のレプリカルークってことだからね」
「どう、して…?」
「ヴァンはどうしても超振動が使える完全同位体のレプリカを作りたかったのさ。その結果少なくとも104人のレプリカが作られ、そして廃棄された…一瞬でね」
「地核に…放り、こまれたのか?」
「違うね。そんなに、知りたいの?」
ルークはこくり、と頷いた。
「レプリカ!やめろシンク、言うな!」
ごめんな。アッシュ。
だけど、さ。
耳を塞いでも、きっと、無駄なんだ。
「超振動の実験に使われたのさ…つまり、お前が、殺したんだ」
なにかがこわれるおと、を。
確かに聞いた気がした。
「俺…生まれる前から、殺してたんだ…。いっぱい、ころして、たんだ、な」
なんだ、この手はずっと血塗れだったんだ。
「レプリカ…」
気がつけばルークは笑いながら、透明な涙を流していた。
しずかに…静か、に。
「おれ…おれ、さ」
アクゼリュスの罪のない人々も、レプリカも。たくさん殺して。
そして、最後には。
「あっしゅ、も、ころしちゃうのかな?」
居場所を奪っただけでは飽き足らず、その存在まで喰らおうとするのだろうか。
すらり、と剣を抜く音に、アッシュの体が強張る。
ルークの首に当てられたのは、鋭利な刃。
白い肌に深紅の糸のような線が一筋出来たかと思うと、涙を思わせる赤い雫がぽたりと地に落ちた。
「だったら…」
まるでガラス玉のような、けれど深い哀しみを宿した緑色の瞳が。
煌い、て。
「だったら、そいつらの分まで、アッシュを護る!」
手にした剣をシンクに投げつけると、ルークは咆哮するように、叫んだ。
空にかざした両手に集まった黄金色の光は、まるで霧のように拡散していく。
自分の体を包み込むそれに、アッシュは戸惑った。
「超振動…?いや違う、これは…!」
「今からお前を『飛ばす』から」
成功するよう、祈っててくれよな、とルークはいたずらっぽく微笑む。
ティアと自分がタタル渓谷に飛ばされた原因は、不完全な超振動だった。
音素を掻き回され、力の落ちている今の自分なら、それが、起こせるはず。
(お願いだ…、アッシュだけはどうか安全なところに…っ!)
(馬鹿が…『だけ』じゃねぇ)
「え?」
痛いくらいの力で腕を引かれ、抱き寄せられたと思った瞬間。
眩い光に包まれたふたりは溶け込むように消えた。
「ち、逃げられたか…」
今、ローレライの鍵と宝珠はひとつところにある。
あのふたりを手に入れれば、あの忌々しいユリアの預言は消えるのに。
「まあ、いいではないか」
こんな地の底に不似合いな、明るく、どこか楽しげな声にシンクが振り向くと、そこには。
「ヴァン…本当にそれでいいの?」
「宝珠の在り処はわかったのだからな。それに…そう簡単に手に入ってしまっては面白くない」
ふたりが繋がれていた牢をぐるりと見渡すと、ヴァンは、ふ、と不敵に微笑んだ。
「お前と繋がっている限り、逃げ切ることなどできぬ。そうだろう?」
ローレライ。
挑発するように呼びかけられたそれは、一瞬だけざわり、とざわめいたが、こたえることはなかった。
空に投げ出される感覚に、ぎゅっと目を瞑る。
ぽすん、と。
ふたりの体はなにかやわらかいものに受け止められた。
「ここは…」
「良かった…成功、したんだ…」
月明かりが差し込む窓から見えるのは、ファブレ家の、中庭か。
ということはここはルークの部屋のベットの上、ということになる。
「傷の手当て、しなくちゃな…」
ふわり、と儚げに微笑むと。
ルークは思ったよりもしっかりした動きで床に降り立った。
目立たぬ引き出しから取り出され、ベットサイドのテーブルに置かれた救急箱に、アッシュの眉がぴくりと跳ねる。
「…」
敵の侵入をゆるさぬこの屋敷で、しかも最も護りが強固だったであろうこの部屋に何故こんなものが常備されているのか。
(ヴァン…)
導き出されるこたえなんて、ひとつだけで。
「着替えはタンスに入ってると、思うから…どれでも好きなの選べよ」
迷うことなく、ゆったりとした黒い厚手の生地のズボンを引っ張り出すルークに、アッシュの眉間の皺が深くなった。
そうやって、ヴァンが去った後で手当てをし、着替えをして。
過去のお前はこの冷たい部屋の中で、朝が来るまで震えていたというのか。
たった、ひとりで。
「…レプリカ」
ぼろぼろの白い上着から覗く乾いた血と精液のこびりついた下肢は、見るも無残で、思わずアッシュは視線を逸らした。
「お前は、いいのか」
なんとかしてやりたくても、経験のない自分には手当ての仕方がわからない。
どうすることも出来ずにただ立ち尽くすアッシュに、ルークは困ったように笑い、ふるふると首を横に振った。
「…うん、俺、慣れてるから」
大丈夫、隠し通せる。
今までだって、気づかれなかったんだから。
気づいてくれたひと、なんて。いなかったんだから。
「…」
ふわふわと掴みどころのない笑み。
それ以上踏み込むことをゆるさないと言わんばかりに、浮かべられたそれ。
「いつまでもここにいたら母上たちに危害が及ぶ…はやく、ここを出よう」
どうして。
「…ああ」
どうしてお前はそんなにつよくいられる。
穢されても、貶められても、その緑の瞳から光が失われることはなかった。
ああ、お前こそ聖なる焔の光の名にふさわしい----。
「ルーク」
だから。
振り返ったルークの、困ったようなその笑顔が。
まるで一瞬でも目を離したら光に溶けてしまいそうだと思ったのは、錯覚だ。
「だいじょうぶ、だから」
その、言葉を。
どうして、あの時信じていられたのだろう。
世界に絶対なんてないことを。
自分は嫌というほど、知っていたのに。
◇当初の予定通りルークが可哀相なことになってまいりました…しかもヴァンアシュでヴァンルクな過去ってどういうことですか(汗)とりあえずシンルク編はこれで終わりです。ヴァレンタイン話を書いた後で余力があれば、アシュルク編「赤の苛立ち」でも書こうかと。そして最後はヴァンルク&アシュ編「黒の呪縛」…って嘘です、本気にしないで下さいー。
あ、こんなとこでなんですけど私信をば。
ARがさん、ヘソ攻め陛下はUP不可ですか…(しゅん)しかし、やんわり話に修正なのも素敵そうなので、楽しみに待たせて頂きますです。ウチの陛下はいい兄貴してますかね…そうなら良いのですが(笑)
削った部分に興味のある方は下の余白を反転してみると良いかもです。
完全版が見てみたいという奇特な18歳以上の方は、その旨を書いて、件名を「2週目以降のルークの秘奥義の名前は?(ヒント:「剣と鞘と」を読めば…?)」の答えにして「kazaru2004@mail.goo.ne.jp」までメールを送って下さい。拙いものですが添付ファイルでお送りします。が、文面などから18歳以下と判断した方にはお送り出来ない場合もございます、ご了承下さいませ。
…読んで下さってありがとうございました。
しかも捏造度がかなり高めです。なので、閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
そしてこの話は困ったことに女性向です。苦手な方は自力での回避をお願い致します。
さらにこれは所謂裏の部分を削った、不完全版です…なので、話がブツ切りで、つながっていません。それでもいいという方だけ閲覧下さい。
とはいえ多少女性向の描写が入り込んでます。嫌いな方はご注意下さい。
長々とすみません、それではどうぞ。
(だって)
あの人は痛みしかくれなかった。
いつも飢えた獣に生きながら喰われているような、そんな苦痛だけが自分を支配して。
(やさしくされたことなんて、いちども)
けれど、今ならわかる。
泣いて縋る自分には見向きもせず帰っていったあの人の心を占めていたのは、きっと。
涙で霞む視界の端で揺れる、鮮やかなあか。
「しらな…も、やだぁ…っ」
「嘘つき」
知りたくなかった。
そして絶対に知られたくない。
なかった、のに。
「知らないわけないよね。嫌と言うほどヴァンに抱かれていたくせに」
ああ、真実を告げる声は、無情にも。
「な、んだ、と…?」
強固な意志を持った緑の瞳が、初めて、揺らいだ。
「馬鹿な!ヴァンは俺には…」
「最後までしなかった?」
「…っ」
その先があることはわかっていた。
けれど、ヴァンが言ったのだ、お前を、傷つけたくない、と。
だから。
「はっ、子供じゃあるまいし、いい大人が抱き合って眠るだけで満足するだなんて本気で思ってたの?おめでたい頭してるんだね」
シンクの嘲りの言葉も、今のアッシュには届かない。
自分を寝付かせた後で、どこかに出かけているのは知っていた。
一度だけ夢うつつで見た顔は、優しい彼の者とは別人と見紛うほど、怖くて。
だから、ヴァンしか縋るもののなかった自分はあれは夢だと必死で思い込んだ。
忘れようと、していたのに。
「ヴァン、が…レプリカを抱いていただと?」
「それも相当酷く、ね…例えば…」
助けられないなら、せめて。
はやくこの果てのない甘い、責め苦から。解放してやりたかった。
拘束を解かれたアッシュは、鉄格子を背に座り込んでいた。
その足元には、ずたぼろのルークが転がっている。
「…ん…」
ぼんやりと空を彷徨う、緑色の瞳。
「あ…ぁ、俺…?」
身を起こしたルークは、今までのことを思い出したのか、がたがたと震え始めた。
「や…!ぃ、やだ、やめて…ぃや…」
動かぬ体で必死に何かから逃げようともがくルークを、アッシュは痛ましげな目で見つめた。
「レプリカ!」
痛いぐらいに掴まれた肩に、そして何より悲痛な、その声に。
ルークの緑の瞳に、意思の光が戻った。
「…ぁ、しゅ…?」
「しっかりしろ」
今の状態でこんな言葉が酷なことはわかっていても。
わからないのだ。どんな言葉をかけてやればいいのか、自分には。
「だいじょうぶ、こんなのどうってことない、から、だい、じょうぶ…」
自分とアッシュに言い聞かせるように、その口はまるで壊れたオルゴールのように同じ言葉を繰り返す。
けれど、その体は、小刻みに震えていて。
浮かべられた笑顔は、無理をしているのが一目瞭然で、痛々しいほどだった。
「どうして、そこまでするのさ?お前だってレプリカだろうに」
「…!」
暗闇から現れたシンクからアッシュを庇うように、ルークはその前で両手をひろげた。
「…そんなの、関係ない。俺は…」
「アクゼリュスの償いのつもり?L-105、レプリカであるお前が、被験者の味方をするなんて…ははっ、これじゃあいつらも救われないね」
「あいつら?それに、L-105、って…」
「お前の前に作られた『ルーク』のレプリカたちだよ。そしてL-105…この数字が意味するのは、お前が105番目のレプリカルークってことだからね」
「どう、して…?」
「ヴァンはどうしても超振動が使える完全同位体のレプリカを作りたかったのさ。その結果少なくとも104人のレプリカが作られ、そして廃棄された…一瞬でね」
「地核に…放り、こまれたのか?」
「違うね。そんなに、知りたいの?」
ルークはこくり、と頷いた。
「レプリカ!やめろシンク、言うな!」
ごめんな。アッシュ。
だけど、さ。
耳を塞いでも、きっと、無駄なんだ。
「超振動の実験に使われたのさ…つまり、お前が、殺したんだ」
なにかがこわれるおと、を。
確かに聞いた気がした。
「俺…生まれる前から、殺してたんだ…。いっぱい、ころして、たんだ、な」
なんだ、この手はずっと血塗れだったんだ。
「レプリカ…」
気がつけばルークは笑いながら、透明な涙を流していた。
しずかに…静か、に。
「おれ…おれ、さ」
アクゼリュスの罪のない人々も、レプリカも。たくさん殺して。
そして、最後には。
「あっしゅ、も、ころしちゃうのかな?」
居場所を奪っただけでは飽き足らず、その存在まで喰らおうとするのだろうか。
すらり、と剣を抜く音に、アッシュの体が強張る。
ルークの首に当てられたのは、鋭利な刃。
白い肌に深紅の糸のような線が一筋出来たかと思うと、涙を思わせる赤い雫がぽたりと地に落ちた。
「だったら…」
まるでガラス玉のような、けれど深い哀しみを宿した緑色の瞳が。
煌い、て。
「だったら、そいつらの分まで、アッシュを護る!」
手にした剣をシンクに投げつけると、ルークは咆哮するように、叫んだ。
空にかざした両手に集まった黄金色の光は、まるで霧のように拡散していく。
自分の体を包み込むそれに、アッシュは戸惑った。
「超振動…?いや違う、これは…!」
「今からお前を『飛ばす』から」
成功するよう、祈っててくれよな、とルークはいたずらっぽく微笑む。
ティアと自分がタタル渓谷に飛ばされた原因は、不完全な超振動だった。
音素を掻き回され、力の落ちている今の自分なら、それが、起こせるはず。
(お願いだ…、アッシュだけはどうか安全なところに…っ!)
(馬鹿が…『だけ』じゃねぇ)
「え?」
痛いくらいの力で腕を引かれ、抱き寄せられたと思った瞬間。
眩い光に包まれたふたりは溶け込むように消えた。
「ち、逃げられたか…」
今、ローレライの鍵と宝珠はひとつところにある。
あのふたりを手に入れれば、あの忌々しいユリアの預言は消えるのに。
「まあ、いいではないか」
こんな地の底に不似合いな、明るく、どこか楽しげな声にシンクが振り向くと、そこには。
「ヴァン…本当にそれでいいの?」
「宝珠の在り処はわかったのだからな。それに…そう簡単に手に入ってしまっては面白くない」
ふたりが繋がれていた牢をぐるりと見渡すと、ヴァンは、ふ、と不敵に微笑んだ。
「お前と繋がっている限り、逃げ切ることなどできぬ。そうだろう?」
ローレライ。
挑発するように呼びかけられたそれは、一瞬だけざわり、とざわめいたが、こたえることはなかった。
空に投げ出される感覚に、ぎゅっと目を瞑る。
ぽすん、と。
ふたりの体はなにかやわらかいものに受け止められた。
「ここは…」
「良かった…成功、したんだ…」
月明かりが差し込む窓から見えるのは、ファブレ家の、中庭か。
ということはここはルークの部屋のベットの上、ということになる。
「傷の手当て、しなくちゃな…」
ふわり、と儚げに微笑むと。
ルークは思ったよりもしっかりした動きで床に降り立った。
目立たぬ引き出しから取り出され、ベットサイドのテーブルに置かれた救急箱に、アッシュの眉がぴくりと跳ねる。
「…」
敵の侵入をゆるさぬこの屋敷で、しかも最も護りが強固だったであろうこの部屋に何故こんなものが常備されているのか。
(ヴァン…)
導き出されるこたえなんて、ひとつだけで。
「着替えはタンスに入ってると、思うから…どれでも好きなの選べよ」
迷うことなく、ゆったりとした黒い厚手の生地のズボンを引っ張り出すルークに、アッシュの眉間の皺が深くなった。
そうやって、ヴァンが去った後で手当てをし、着替えをして。
過去のお前はこの冷たい部屋の中で、朝が来るまで震えていたというのか。
たった、ひとりで。
「…レプリカ」
ぼろぼろの白い上着から覗く乾いた血と精液のこびりついた下肢は、見るも無残で、思わずアッシュは視線を逸らした。
「お前は、いいのか」
なんとかしてやりたくても、経験のない自分には手当ての仕方がわからない。
どうすることも出来ずにただ立ち尽くすアッシュに、ルークは困ったように笑い、ふるふると首を横に振った。
「…うん、俺、慣れてるから」
大丈夫、隠し通せる。
今までだって、気づかれなかったんだから。
気づいてくれたひと、なんて。いなかったんだから。
「…」
ふわふわと掴みどころのない笑み。
それ以上踏み込むことをゆるさないと言わんばかりに、浮かべられたそれ。
「いつまでもここにいたら母上たちに危害が及ぶ…はやく、ここを出よう」
どうして。
「…ああ」
どうしてお前はそんなにつよくいられる。
穢されても、貶められても、その緑の瞳から光が失われることはなかった。
ああ、お前こそ聖なる焔の光の名にふさわしい----。
「ルーク」
だから。
振り返ったルークの、困ったようなその笑顔が。
まるで一瞬でも目を離したら光に溶けてしまいそうだと思ったのは、錯覚だ。
「だいじょうぶ、だから」
その、言葉を。
どうして、あの時信じていられたのだろう。
世界に絶対なんてないことを。
自分は嫌というほど、知っていたのに。
◇当初の予定通りルークが可哀相なことになってまいりました…しかもヴァンアシュでヴァンルクな過去ってどういうことですか(汗)とりあえずシンルク編はこれで終わりです。ヴァレンタイン話を書いた後で余力があれば、アシュルク編「赤の苛立ち」でも書こうかと。そして最後はヴァンルク&アシュ編「黒の呪縛」…って嘘です、本気にしないで下さいー。
あ、こんなとこでなんですけど私信をば。
ARがさん、ヘソ攻め陛下はUP不可ですか…(しゅん)しかし、やんわり話に修正なのも素敵そうなので、楽しみに待たせて頂きますです。ウチの陛下はいい兄貴してますかね…そうなら良いのですが(笑)
削った部分に興味のある方は下の余白を反転してみると良いかもです。
完全版が見てみたいという奇特な18歳以上の方は、その旨を書いて、件名を「2週目以降のルークの秘奥義の名前は?(ヒント:「剣と鞘と」を読めば…?)」の答えにして「kazaru2004@mail.goo.ne.jp」までメールを送って下さい。拙いものですが添付ファイルでお送りします。が、文面などから18歳以下と判断した方にはお送り出来ない場合もございます、ご了承下さいませ。
…読んで下さってありがとうございました。
はじめまして、紗々と申します。
シンルク連載お疲れ様でした!
健気なルークと素敵なアッシュが可愛いくて堪りません!!
かざる様の小説をいつも楽しみにしていますのでこれからも頑張ってください!
この度はねぎらいのお言葉をありがとうございました。
ルークとアッシュ、気に入って頂けた様で嬉しいです。
これからものんびりと頑張りますので、またお暇な時にでも覗いてやって下さい。
それでは!