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デラシネ魂

ジャンルよろずな二次小説サイトです。
ネタバレ満載、ご注意を。

最初で最後の

2005-10-28 | ロックマンエグゼ小説
!陰陽小説を読みに来た方へ!

今回の話は陰陽にまったく関係ない話です。
何かというと、毎週土曜 8:30~9:00 テレビ東京系にて放映中!な「ロックマンエグゼBEAST」の話です。…多分。ゲーム版の設定も混じってる上、困ったことに死にネタなので、苦手な方は自力回避をお願い致します。

それではどうぞ。

『熱斗くん、朝だよ。起きて』

PETの中からそう声をかければ、少しだけ眠そうな顔でむくりと起き上がって。
ふぁ、とあくびをひとつして、カーテンをあけて。

『おはよう、ロックマン!今日もいい天気だな!』

光の中、眩しい笑顔で振り返る君に、楽しそうに笑って僕は頷くんだ。
今日はどんなことがあるんだろう?ってわくわくしながら。

毎日、毎日、繰り返されるこんなやり取りが。
いつまでも続くんだって、思ってた。
今度こそ君といつまでもいられるって、無邪気に。

永遠なんて、そんなもの、あるわけないのに。

「ごめんな」

すっかり細くなってしまったその腕。
透き通るように白い、その顔色。

それでも強い意志を映す茶色の瞳だけは、あの頃と少しも変わらずに。

「何を、謝るの?」

わずかに揺らぐ翡翠の瞳に、熱斗は病室の白いシーツの上で微笑んだ。
けれどその呼吸はひどく苦しそうで。

「熱斗くん、横になって。今お医者さんを…」
「いら、な、い」

呼ばなければいけないのに。
自分のオペレーターはそれをゆるしてくれなくて。

「おれ、な」

その笑顔も、指先も、彼の存在そのものが。
光に溶けてしまいそうな。

「お前の分まで生きようって…頑張ったんだけ、ど」
「な、に言ってるの?僕はナビなんだよ?」

そう、僕はずっとずっとこの世界に在り続ける。
デリートされない限り、おそらく永遠に。

「…ごめんな」
「熱斗くん?熱斗くんっ!」

ぱたりと倒れるその体に、触れられないと知りつつ、僕は手を伸ばした。
零れ落ちるその命を、少しでもすくってあげたくて。

「熱斗!」
「しあわせに、なって…ね?」

うっすらと瞳を開いた『弟』は。
ほんとうに、本当に嬉しそうに。

「…彩斗、兄さ…」

ほほえん、で。

「ねっ、と…」

君はいつから、知っていたの?
いつから、苦しんでいたの?

けれど、もう。
閉ざされた瞳は、閉じられた口は。
そのこたえをかえすことはない。

「ねぇ、もう朝だよ…学校に遅刻しちゃうよ…」

静まり返った、白い世界で。
オペレーターを喪ったナビの、声だけが響いていた。

「ねっとくん、ねっと…おきて…?」

くりかえし、くりかえし。
ただ、それだけを。


◇ネットセイバーは危険なお仕事なので色々あるかなあと。ウイルスもらってきたりとか。暗い話でごめんなさいです。でもこういう話大好きなので、また書くかもしれませんです。
ファーストエリアは面白いですね!ロックマンが黒いところがまた…(笑)ところでオペレーターとナビの関係が闘神士と式神に似ている、と言ったら逆だ、と突っ込まれました…。確かに普通の方と逆だなあ、ハマり方が(笑)

あおいろとみどりいろ

2005-10-25 | ロックマンエグゼ小説
!陰陽小説を読みに来た方へ!

今回の話は陰陽にまったく関係ない話です。
何かというと、毎週土曜 8:30~9:00 テレビ東京系にて放映中!な「ロックマンエグゼBEAST」の話です。…多分。

それではどうぞ。

いつもなら、おやすみ、と声をかけてからすぐに寝付くのに。
今日の熱斗は、らしくもなくベットの中でごそごそと動き回っていた。
「どうしたの、熱斗くん」
「いやーそのー…俺さ、昼寝しちゃって、その…」
「まだ眠たくないんだね?」
はぁ、と小さくため息をつけば、オペレーターは、う、と言葉につまった。
別に怒ってるわけじゃない。
ただ、このままずるずると眠れないでいると、寝起きの悪い熱斗を起こすのがますます大変になるなあ(今更だけど)と思ってるだけだ。
「どうするの?眠くなるまで、何か話そうか?」
「んー」
自分の申し出に、どうにも煮え切らない返事をしつつ、ごろんごろんと転がる。
しばらくその意味不明な行動を眺めていたロックマンだったが。
「熱斗くん!」
ついに痺れを切らして大声で呼びかける。
「ああ、うん」
熱斗は堪えた風もなく枕もとのPETを拾い上げると、じっとこちらを見つめてきた。
「…?」
茶色の瞳に映る自分が、不思議そうな顔で首を傾げる。
「僕の顔、何かついてる?」
相手は首を横に振ると、何かを思いついたように、瞳を輝かせた。
「今日大きな公園に行ったじゃん」
「うん」
熱斗との会話で話が飛ぶのはいつものことで。
だからこそこちらも普通に受け答えをしていたのだが。
後に続いた言葉に、翡翠の瞳が見開かれた。
「すっげー綺麗な青い空でさ…、で、木の緑がそこに並んで…やっぱ、綺麗で」
あおいろとみどりいろ。
ちょっと口うるさいけど、いつも自分を見守ってくれているナビの、いろ。
「すごく、安心したんだよな…」
「…」
「風が揺らす葉っぱの音がまたお前が俺を呼ぶ声に似ててさあ…、あ、そうだ!」
「な、なに?」
がばり、と身を起こし、PETに顔を近づけてくる熱斗にうろたえつつ。
律儀にも返事を返すロックマンの耳に聞こえてきたのは。
「名前、呼んで」
そのどこか甘えた声での『おねだり』に。
自他共に認めるオペレーターに甘いナビが、おちぬはずもなく。
「…いいけど、はやく眠ってよ?」
「へへっ、りょーかい!」
その夜、熱斗の部屋には優しくその名を呼ぶ声が響いていたそうだ。

まるで、こもりうたのように。


◇ロク熱…?DVDとか飛び飛びで観ているので、口調とかキャラとかまだ掴みきれてないんですけれども…とりあえず書いてみました。あと書きたいのは「おにいちゃん」発言に絡む兄弟話と、そばにいられるけど触れられないロックと触れられるけどそばにいられない炎山の話と、ふたりが幸せになってくれればいい、と言う熱斗をブルースが諫める話と、炎熱の別れ話と、その後のロックの暴走と…あ、結構あるなあ。