結城聖夜は、星を見るのが好きだった。
祖父と一緒に毎晩見るのが小さな頃からの習慣だった。祖父が亡くなってからも、その習慣は変わることなく続いている。来る日も来る日も、季節が何度巡ろうとも、聖夜はずっと夜空を眺めていた。どんな状況であろうと、それを欠かしたことがなかった。
そして今年、いや正確には去年だ。去年の十二月三十一日から今年の一月一日に日付が変わるその数分前に、聖夜は遂に見ることが . . . 本文を読む
雪乃の手を引いて、聖夜は走り続ける。
浅摩家の敷地を突き進み、人影を見付けたら物影に逃げ込んだ。遠くから聞こえる爆竹とロケット花火の音は今だ健在で、太一はまだまだ捕まる気配はない。犬の遠吠えが何重にも重なって夜空に響き、それに合わせるかのように大勢の人の声が混じっている。
聖夜と雪乃が浅摩の門を潜ったその時、目の前に人が立ち塞がった。その場で急停止し、回れ右で逃げ出そうとした。が、それよ . . . 本文を読む