朝、学校へ行くために家を出て門を閉じて道路へと歩み出る。
冬休みが近いこの季節、朝は本当に冷え込む。いつもながらに制服のポケットに両手を突っ込み、肩に鞄を掛け、首元にはマフラーが巻かれているので温かい。空を見上げると少し雲があるだけで天体観測には支障はないと思う。風が吹く度に何も身に付けていない頬が痛かった。まだぼやけている意識にはそれが特効薬で、一発で目が冴えた。
通学路に沿って歩き出 . . . 本文を読む
「あー、こんな中途半端な時期ではあるが、この学校なら関係ないだろ。時間がないので簡単に説明しておくぞ。浅摩くんは家の事情で急きょこの中学校に転校して来ることになった。現在の住まいはお前らがよく知ってるあの住宅街だ。詳しく知りたい奴は本人に訊け。いろいろとわからないことも多いだろうけど、そこんとこはお前らが全力でカバーしてやれ。いいな? ……それでな、ここから一番大切なことなんだ。浅摩くんは、言 . . . 本文を読む