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電王事典「み」

2008-07-25 21:05:37 | 特撮雑感:電王事典
電王祭りパート2・電王事典、まだまだ続いてます(苦笑)。
というわけで、今回は「み」に参ります。
項目はきわめて少なめです。
例によって独断と偏見と記憶と趣味で書いておりますので、「間違ってるよ!」「忘れてるよ!」などのご意見ご感想などございましたら、ご遠慮なくコメント欄にお願いいたします。


みうらいっせー【三浦イッセー】ミルクディッパーの常連客。
おおよそ単独行動は少なく、尾崎正義とともにミルクディッパーに現れる。
電王世界では「日常」担当、彼らが登場すると日常世界が演出されるという特性を持ち、店主が浮世離れしているミルクディッパーを、やや強引ではあるが日常生活の中に位置づける役割を果たした。
軽佻浮薄な雑誌記者の尾崎さんに対して、こちらも本業はスピリチュアルカウンセラーとかいうあやしげな仕事らしい。
日頃から和服姿で歩き回り、数珠を身につける姿の胡散臭さと、愛理さんに対する純情ぶりのギャップも彼の魅力の一つだろう。
良太郎にイマジンが憑依するところを見て、悪霊が憑いたと思い込んでいる。
M良太郎に驚かされ、U良太郎に翻弄されるなど、憑依良太郎に出会う機会が意外に多い。
良太郎に憑いた悪霊を追い出そうとしてリュウタロス初登場につながったり、失われたはずの愛理さんの記憶が戻りかけるなど、意外にストーリーを動かしている。
桜井侑斗消失後の世界では、愛理さんに出会うことなく別の女性と出会い、子供にも恵まれるらしい。
その際も服装は変更がなかったので、生計はやはりあやしい祈祷か霊媒かでまかなっている模様。
彼にとっては、愛理さんとの出会いは果たして幸か不幸かはかなり微妙なところだと思われる。
毎日ふらふらしているようなのに、生活に困っていないらしい。
ひそかに彼の実収入がどのような仕事から得られるのかが気になっているが、その点に言及されたことはない。


みらい【未来】桜井侑斗(大)が愛理さんとともに守ろうとしたもの。
そして、二人がいつか会おうと約束した時間。
「いつか、未来で」という切ない約束が、必ず果たされることを祈る。
ハナちゃんの存在は、二人の切ない約束が果たされることの証しなので、おそらく果たされることと信じるが。
一口に「時の運行を守る」という言い方をしているが、実は良太郎=電王がイマジンと戦うことで守ってきたのは「過去」=「記憶」であり、モモタロスたちと過ごしてきた「現在」=「今この瞬間に過去の時間(記憶)となる時」であった。
ところが、桜井さん(大)は、過去と現在を守ることで最終的に「未来」を守ろうとしたということになる。
良太郎と4タロスが「現在」=「今」を生きて「過去」=「皆の記憶」を守ろうとしているときに、桜井さん(大)が「現在」=「愛理さんの世界」と「未来」=「ハナちゃんの世界」を守るために「過去」の世界を逃げ回っており、「過去」から現れた桜井侑斗(小)が自分にとっては「未来」にあたる「今」の世界にいるわけである。
「過去が希望をくれる」という桜井さんの言葉には、「現在」の良太郎に負担をかけたくないという思いがにじみ出ており、自らの存在を消し去ってでも「現在」と「未来」を守ろうとした強い思いがうかがえる。
そして、デネブに託した最後のカードには、桜井さん(大)が「過去」=侑斗(小)に文字通り「未来」を託すという意味合いがあったことがわかる。
電王の隠れた主役が桜井侑斗(大)である所以が、ここにある。


みらいのとくいてん【未来の特異点】ハナちゃんのこと。
未来の特異点は、現在の世界では真の分岐点の鍵でもある。
桜井侑斗(大)が愛理さんと共にイマジンから隠し、守り通そうとした存在こそが、未来の特異点であるハナちゃんであった。
イマジンによって破壊された時間は、その時代の特異点の記憶を起点として修復される。
現在の特異点は良太郎であり、仮にイマジンによって時間が破壊されたとしても、良太郎の記憶を起点として現在の時間は修復されることになる。
同じように、未来の時間は未来の特異点の記憶を起点として修復される。
つまり、未来の特異点を守ることが、未来の時間を守ることとなるわけである。
未来をイマジンに奪われることのないように、桜井侑斗(大)は自分の存在を賭けて、愛理さんは愛する人の記憶と生まれてくるはずの胎児の記憶を犠牲にすることで未来の特異点である赤ちゃん=ハナちゃんを守ろうとした。
イマジンが過去の世界を破壊しても、カイが大破壊を行っても、現在の時間はイマジンの未来には決してつながらなかった。
これは、ハナちゃんが存在し続けることでハナちゃんの存在した未来が守られた結果である。
最終的にイマジンとカイは時間を奪うという目的を達成できずに消滅し、桜井さん(大)と愛理さんは当初の目的を達成することが出来た。
もっとも、それは桜井さん(大)が消えてしまうという大きな代償を払ってのことであったが。
では、生まれなかった赤ちゃん=ハナちゃんはどうなるのか。
おそらくは桜井侑斗(小)が自分の時間に戻り、成長して愛理さんと出会いを果たし、ようやくハナちゃんが誕生するのであろうと想像される。
その際、桜井侑斗(大)とは別の生き方をするであろう桜井侑斗(小)と愛理さんの出会いに、何らかの違いが生じてハナちゃんの誕生が先延ばしになり、ハナちゃんが小さくなるという事態が生じたものと想像される。
ではハナちゃんの戻るべき未来の世界は、ハナちゃんの記憶と違っているのではないかという疑問が生まれるが、この点については劇中では一切語られていないのでわからない。


ミルクディッパー【the Milk Dipper】愛理さんが経営するカフェ。
星とコーヒーを楽しむライブラリーカフェがミルクディッパーである。
劇場版によると、良太郎の両親が経営していたが、両親の事故死によって一時閉鎖されたとのこと。
劇中では、愛理さんが他の店でコーヒー修行をした後に再開したことが言及されている。
店名ミルクディッパーについては、北斗七星(ビッグディッパー)に対して南斗六星をさすことのだということをsorcererさんよりご指摘いただいた。
また、店を手伝う良太郎のエプロンに南斗六星のアップリケが施されている由。
店名は南斗六星の英語名を意識してつけられたと考えるべきだろう。
ミルクディッパーが星にかかわる書籍や物品で飾られているのは、もともと両親に星を愛する趣味があったことと、愛理さんの婚約者・桜井侑斗(大)の星好きと、両方の影響ではないかと思われる。
店名については両親が名付けて愛理さんが引き継いだ可能性が高い。
この店に星好きの桜井侑斗(大)がやってきたことは、偶然ではないだろう。
星を愛する桜井侑斗(大)が、両親の店を受け継いだ愛理さんと恋に落ちたのもまた、必然と思われる。
中国の斗宿では北斗七星が死を司るとされるのに対して、南斗六星が生を司るとされていることをふまえたネーミングなのかどうかはわからないが、ここで出会った愛理さんと桜井侑斗(大)の間に未来の特異点であるハナちゃんが誕生することを考えると、店名はかなり暗示的である。
放送開始当初、デンライナー食堂車が「かりそめ」の居場所であるとすれば、ミルクディッパーは「本当の」居場所であるという対比の上手さにうなった。
ミルクディッパーは「日常空間」の具現であり、何があっても平和な場所として描かれている。
実際にミルクディッパーで籠城事件が発生したときも、結局「日常空間」としてのミルクディッパーは健在であった。
そして、ミルクディッパーを「日常空間」たらしめているのは愛理さんその人であり、愛理さんを取りまく常連客たちなのである。
最終的に電王のストーリーは分岐点の鍵である愛理さん、未来の特異点であるハナちゃんを守ることへと集約されていくのだが、その愛理さんと婚約者・桜井侑斗(大)が守ろうとしたのは、現在・過去・未来の「大切な人と過ごす大切な時間」、いうなれば「日常」の幸せなのである。
ミルクディッパーに託された意味はさまざまではあるが、何気ない日常を、「今」の幸せにつながるすべての時間を守りたいという思いの源はミルクディッパーにあると言ってよい。
本当に守りたいのは「今」ってやつだというモモタロスの言葉は、おそらく「今」につながるすべての時間を守りたいと考えた愛理さんや桜井侑斗(大)にも通じるのだろう。
電王世界では、日々の大切な記憶の積み重なりこそが時間である。
「日常」は、その記憶の毎日の積み重なりであり、ミルクディッパーでの「日常」は、もっとも大切にされるべきものとして描かれている。


7月25日記す。

風水

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