2022年  にっぽん復興へのシナリオ

日本が復興を遂げていく道筋を描いた近未来小説と、今日の様々な政治や社会問題についての私なりの考えや提案を順次掲載します。

【雑感ー15】抑止力とは力に頼るしかないものなのか?

2015-06-02 16:40:30 | 日記

 国会では安保関連法案の審議が連日行われていますが、市民感覚からすると法律のテクニカル的な議論に終始しているようで、今一つピンときません。

 「武力行使の新3要件」が議論に焦点となっているようですが、

  • わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態
  • わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない場合
  • 必要最小限度の実力を行使する

これを聞いて、こうした事態を具体的に想像できる国民は何人いるのでしょうか? 国会論戦を聞く限りでは、当の政府も含めて国会議員の先生方も事態に対する明確な認識が持てていないように感じます。 当人たちが明確な事態認識ができないままで議論しても、聴いている国民に伝わるはずはないと思います。

 こうしたもやもやした思いの中で、スウェーデンの友人から以下のようなメッセージを頂きました。
 少々長文ですが、第2次大戦でスウェーデンが中立を貫いた顛末についてです。

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 スウェーデンは中立の立場を堅持しました。しかし非常に危うい中立といえます。
 1939年ポーランドをドイツが侵略して仏英がドイツに宣戦布告した時、スウェーデンは全くの無防備状態でした。ナチスドイツが軍拡していた時、スウェーデンは社会福祉に力をいれていたからです。軍部が拡充するのは1944年(ほとんどドイツ敗北が決定的だった頃)になってからです。その間は情報戦で対処しなければなりませんでした。
 今の(過去も)日本では考えられない程の諜報戦が展開されました。
 ヒトラーはスウェーデンを味方につけようと「ゲルマン民族の故郷はスウェーデンである」と言って持ち上げたのですが、スウェーデンはこれに乗りませんでした。
 初戦当時はドイツ軍が優勢で、スウェーデン軍部にもドイツシンパが大勢いて、ドイツ軍部の上層部にも食い込んでいました。ゾルゲ同様にソビエトのスパイがドイツ軍にも食い込んでいたのも事実です。
 ヒトラーはスウェーデン侵略も計画しており、スウェーデンシンパに侵略計画書がそれとなく諜報部に伝えられました。スウェーデンを占領すること無く、言いなりにさせたい独の参謀部の意向があったのです。スウェーデン軍をソビエト戦に参加させ、義勇兵を募り、40mmボフォーシュ砲の技術を使いたかったのです。
 ちなみに1万m上空の飛行機を撃墜できる有名な20mm機関砲はスイスの技術を購入したものです。初戦では、これで英空軍爆撃機がかなりの数撃ち落されました。
 そのときスウェーデン諜報部は、作為的にキルナ鉱山の爆破計画をゲシュタポにリークしたのです。当時スウェーデンから年間数百万トンの鉄鉱石がドイツに輸出されていたのですが、その支払いは金塊でした。ヒトラーは小国スウェーデンが邪魔でした。しかし爆破されると生産回復までは2年以上かかるとの試算をドイツが行い、結果的に占領は無謀であると判断したのです。なぜなら、タイガー戦車には50トンの鉄が必要になりますがその供給が途絶えるからです。
 またスウェーデンは戦争当初にドイツ軍のエニグマの解読に成功しており、それで外交戦を有利に展開することができました。
 こうした一連の高度な諜報戦の結果、スウェーデンは中立のまま生き延びることができました。
***

 また、その方は今日の日本に対して以下のような見方もされています。

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 現在の日本は残念ながら既に国際政治に巻き込まれています。日本人の若者の血を世界政治が要求しています。
 中国の台頭、米の後退が主な理由ですが、空間を中国が埋めようとしています。それが地政学的にみた冷たい国際政治の現実です。
日本で平和憲法があることを世界は全く無視しています。世界は軍事力と経済力、政治力総合で相手国を判断します。
 そこでアジア諸国の中国への対応が問題になります。軍事力と経済力で対抗出来るのは日本だけです。そこで中国は、日本が世界政治の劇場の立つことを嫌っています。
 中国は日本政府を閉じ込めようとあらゆる力を使っています。軍事的恫喝、政治的反対勢力の動員、マスメディアの動員がそれです。しかし、彼らのやり方は、強ければ引っ込むというやり方です。尖閣列島は現時点では自衛隊が強すぎるので、多少ちょっかいを出しているだけです。
***

 こうした見方がすべて正しいとは思いません。
 しかし、「敵を知り己を知る」ことが重要であることは言うまでもないことです。ナチスの侵攻とソ連との狭間に置かれたかつてのスウェーデンは、資源と技術といった経済力を武器に、政治力で危機を乗り切りました。仮に、ドイツ、ソ連(=連合国)いずれか一方と同盟を結んでおれば、今のスウェーデンは存在していないと思います。
 大いに考えさせられるメッセージでした。

 一方の国と同盟を結ぶということは、必然的に国際政治に巻き込まれるということです。スウェーデンは中立を貫いたことで生き延びましたが、一歩間違えば破壊の末に国すら失う危険があったことは事実です。

 一体今の日本国民にはそうしたリスクへの覚悟はあるのでしょうか?
 これは、
国会で論じておられる議員さんだけの問題ではありません。

 なぜなら、ひとたび破壊が起こってしまえば、もはや「誰が悪い」とは言っていられないからです。

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