kazさんの日々彩々2

どうして花は咲くのだろう?どうして小鳥はさえずるの?
やさしい想いや言葉にふれて、どうして人は泣くのかな?

行け!イエズス君 !~第1話~

2014年07月04日 | 行け!イエズス君!

 

イエズス君は、お伴の子鳩のポポと一緒に、みんなの笑顔を見るために、

いろんな国々を旅して周る小さな吟遊詩人。

さて、今回のお話は・・・

 

ある日のことです。

まだ少し薄暗い朝の光の中を歩いていたイエズス君とポポは、

突然、どしゃ降りの雨にあいました。

ポポは慌ててイエズス君のふところの中に潜り込み、

困ったイエズス君はずぶ濡れになりながら、雨宿りできる場所を探しました。

すると、ちょうど道の角を曲がったところに、

小さな教会が建っているのを見つけたので、

「神様、おはようございます!ここで少しの間、雨宿りをさせてください。」と言いながら、

その中へと駆け込みました。

 

教会には、ちょうど朝のミサが終わったあとだったのか、まだ3人の人が残っていました。

けれども、びしょ濡れになって駆けこんで来たイエズス君にタオルを差し出してあげるどころか、

その姿に気付く者さえ誰もいません。それというのも、皆、自分達の話に夢中になっていたからです。

そして、その話はというと、そこにはいない同じ教会仲間の、あまり良くない噂話であったり、妬みや僻み

といった心無い話ばかりなのでした。

イエズス君は、そんな話を聞いているのはつらかったので、

教会の庭の大きな木の下で雨宿りをすることにしました。

 

 ポポが言います。「教会で、あんな話をして、きっと神様に叱られちゃうね?」

イエズス君は少し考えてから、首を振ってこう言いました。

「神様は、きっと叱ったりなんかしないよ。叱るどころか、いつも許して下さっているんだよ。

いつの間にか忘れてしまった大切なことに、またもう一度気付いてくれるようにと、そう願いながらね。」

「忘れてしまった大切なこと?それは何?」ポポが聞き返します。

「うん、それはね・・」そう言いながら、イエズス君はギターを抱え、

教会に向かって一つの歌を歌い始めました。

 

1.きれいなこころに ぼくもなりたい
  イエズスさまのこころに ならいましょう

2.やさしいこころに わたしもなりたい
  マリアさまのこころに ならいましょう

3.つよいこどもに みんなでなりましょう
  おめぐみください イエズス マリア

4.ひかりのこどもに みんなでなりましょぅ
  おみちびきください イエズス マリア

                            (カトリック聖歌より)

 

その歌は、話に夢中になっていた3人の耳にも届きました。そして歌を聞いているうちに、

「ああ、確かに自分もそうだった!幼い頃には、イエス様、マリア様のような

綺麗な心、優しい心になりたいと願っていた自分だった!その願いが有ったからこそ

今まで教会に来ていたはずだ。それなのに今、自分の心は・・」と、

忘れていた大切なことを3人は思い出し、さっきまで自分達が話していたことを、

心の底から恥ずかしく思い、神様に許しを請い始めました。

 

その様子を見てポポがイエズス君に言いました。

「おや、イエズス君、なんだか3人の顔が輝き始めたよ、目もキラキラ輝き出した!」

それを聞いてイエズス君は、

「あ~良かった、みんな大切なことを、きっと思い出してくれたんだね。

あれ?ちょうど雨も降り止んできたよ!」と、嬉しそうに言いました。

 

教会の3人は、それぞれ神様へのお祈りを終えたあと、ハッとした表情になり、

「あ!ところで、さっきのあの天使のような歌声は、いったい誰の歌声だったのだろう?

庭の方から聞こえて来たようだったけれども・・」と思い出し、

あわてて教会の外へと飛び出しました。

 

けれども、そこにはもうイエズス君の姿はなく、雨上がりの水色の透き通った空に、

一本の大きな虹だけが、優しく静かに立っていたのでした。

                                                

                                                 おしまい。

 

 ポチッとよろしく→ にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ