日本最小のネズミ「カヤネズミ」は、生息地の減少により全国的に絶滅が危惧され、滋賀県でも希少種に選定されています。カヤネズミは、おもにイネ科植物の葉を編んだ巣で子育てをする習性があり、田んぼのイネにも巣を作るので、農家に害獣と見なされて捕殺されることがあります。これまでに、カヤネズミがイネを大きく食害したという報告はありませんが、詳しい調査は行われてきませんでした。
そこで、滋賀県彦根市開出今町の水田地帯において、2015年6月から11月まで調査を行い、カヤネズミの巣から採取された糞のDNA分析により餌生物の判別を行ったところ、水田雑草(イヌビエやスズメノヒエ)をよく食べており、イネはほとんど食害しないことを確認しました。
この研究成果を、地域のカヤネズミの保全や環境教育に活用していただきたいと考え、小冊子『知ってる?田んぼのカヤネズミのくらし』を作成しました。水田に生息するカヤネズミの生態や生息環境、イネ刈りや草刈で巣が見つかった時の対処法などについて、写真を使いわかりやすくま とめました。
滋賀県立大学のHPから、冊子のpdf版がダウンロードできます。
水田に生息するカヤネズミの食性研究の成果について
『知ってる?田んぼのカヤネズミのくらし』
執筆・発行責任者:畠佐代子(滋賀県立大学環境科学部非常勤講師・客員研究員)
協力:高倉耕一(滋賀県立大学環境科学部准教授)
2016年5月31日発行
*本書は、平成27年度タカラ・ハーモニストファンドの助成研究「水田地帯に生息するカヤネズミの食性に関する研究」の成果物として作成しました。
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