凡人日記(旧)

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第9回松下洋サクソフォンリサイタル~Last~へ行ってきました

2019年04月01日 | コンサートレポート
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EC.は後述



三時間にわたるコンサートが終わった。
平成の風と共にサクソフォーンの世界に嵐を呼び、我々が常識と思っていたことを破壊し創造してきた奏者の最後のコンサートだ。

9というとやはりシンフォニーのジレンマが頭をよぎる。
偶然か故意か、今日演奏されたベートーヴェンのヴァイオリンソナタも九番。
そして松下氏は9回目のリサイタルでもって、クラシック界を去っていった。

僕も浪人時代からとてもお世話になっており、いつもいろんな話を聞かせてくれ、いろんなことを教えていただいた。
氏のコンサートも大なり小なり、行ける限りはすべてのコンサートに通った。

やはりどのコンサートでも氏は偉大であり、憧れであり、目標に思える。
無論、同じことをやりたいか?と言われればそうではない。が、向かう方向、やりたいことなどが非常に好きなのだ。


さて今日はソロから室内楽まで、古典派とロマン派の移り行く時期の作曲家が並んだ。

あのみなとみらい小ホールがほぼ満席になるほどの客数。
一曲が終わる度に割れんばかりの拍手。

アンコールが終わってからの退場時は会場全体から労いの拍手が。オケの演奏会でも聞かないほどに大きな声援が送られた。


どれも素晴らしく、内容の詰まった演奏であったが
個人的にはベートーヴェンとメンデルスゾーンがツボであった。
作品の構成がやはり素晴らしく、飽き飽きとしないばかりか作品のエネルギーに体が持っていかれるかと思うほどであった。
いやしかし今日の演目はどれも素敵であった。

コンサートについては中々まとまらないが、松下氏が我々に残したものは大きい。
クラシックという広い世界の小さなサクソフォーンという部屋で生きている我々に希望を見出だすような、何年経とうと未だに疎外感を受ける我々を、広い世界へ連れていこうとしてくれているのだから。

必ずしも技量が一番ではなく、音楽に大切なのは気持ちであることを音でもって教えてくれたのだ。


あるサクソフォーン奏者が昔、
サクソフォーン吹きは過去のものを取り上げるか、新しいものを創造するかに分かれる。
と言っていたことを思い出す。

が、松下氏は両方をやってのけるのだ。

それは誰もが羨むほどの努力の才能を持っているからだ。


アンコールでは松下氏の大親友である上野耕平氏が加わり、松下氏の家族のような存在の小倉大志氏の曲を演奏した。
最後の最後に明るく華やかで、松下氏のことがみんな大好きなんだと感じ思わず涙。
リサイタルシリーズであんなに楽しそうに演奏する松下氏を久しぶりに見た気がする。

さて、またクラシックに戻ってくるのを楽しみに、これからも追っかけしよう。


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