凡人日記(旧)

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テレマン/無伴奏フルートのための12のファンタジーについて考える

2019年03月04日 | 調べもの
ここではテレマンの無伴奏フルートのための12のファンタジーについて考察する。

私が所属する尚美ミュージックカレッジ専門学校の楽曲試験では、自身が取り上げる楽曲についての楽曲分析をレポート形式で提出することが必須となっている。
そのレポートをもとに、楽曲を調べる中で見えてきたもの、疑問に思ったもの、などをまとめる次第である。改めて見返しても細かい分析が足りていないが、そこは私の知識不足ということで、今後改定を加えていく。

ただし、先に何点か把握したうえで読んでいただきたいので以下に記載する。

一、本文中、他のブログや情報源から引用することもあるだろうがリンクの許可を逐一とっていてはきりがないので、紹介にとどめることとする。
一、上記を含め、多数の意見、演奏を考慮したうえでの私個人のまとめであるため、発言の責任は私にある。本文中の疑問などは他の紹介者ではなく、この記事をまとめる私に投げかけていただきたい。
一、私もまだまだ調べているさなかであるため、いくつか怪しい点もあるため疑って読んでいただきたい。

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1)G.Ph.テレマンの生い立ちについて

ゲオルク・フィリップ・テレマン(Georg Philipp Telemann)、 は 1681 年 3 月 14 日に生まれ 1767 年 6 月 25 日に亡くなった、ドイツの作曲家である。
テレマンは後期バロック音楽を代表するドイツの作曲家で、40 歳以降は北ドイツのハンブルクで活躍した。18 世紀前半のヨーロッパにおいては随一と言われる人気と名声を誇り、クラシック音楽史上もっとも多くの曲を作った作曲家として知られる。
自身もオルガン、ハープシコード、リコーダー、リュートなど多くの楽器を演奏することができ、特にリコーダーについては高い技術を有する名人であったと伝えられている。
同時代の作曲家であったゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルとはライプツィヒ大学時代からの友人で、頻繁に手紙のやり取りをしていたほか、ヨハン・ゼバスティアン・バッハとも親密な交友関係にあり、バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルの名付け親にもなった。また、1750 年にバッハが死去した時には、バッハの業績を最大限に称える追悼の言葉を送っている。
86 歳と長生きであったため、作品数は膨大であり、様々な様式・ジャンルまで幅広く存在している。


2)無伴奏フルートのための 12 のファンタジーについて

テレマンが残した「ファンタジー」と名の付く作品は、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバの各 12 曲。またチェンバロとオルガンのための作品を合われると少なくとも 73 に及ぶ。
タイトルにある「ファンタジー」という言葉に関して、国際的に有名なフルート奏者の有田正広氏は自身が校訂した表題の楽譜(※1)内にて次のように記載している。

―ファンタジーという用語は時代の流れの中で、その意味を少しずつ変化させていった。
「ファンタジー」の語は、今日の「形式にとらわれない自由な作曲」という意味とは異なり、この語が用いられはじめた 16 世紀中頃には、作曲家が神の啓示として与えられた霊感を基に、内在する音楽の閃きを自由に喚起させながらも、厳格な数比を用いた対位法による作品や即興演奏のことを指していた。( 略)日本では「ファンタジー」の語訳として「幻想曲」が用いられることが多いが、これは 19 世紀以降の、形式にとらわれない新しい「ファンタ
ジー」に向けられた意味で用いられている。
テレマンの「ファンタジー」は、こうした歴史の流れの中で、17 世紀以来の対位法的な要
素を組み入れ、様々な様式と形式、たとえば舞曲やソナタの形式を彷彿とさせる書法を用い、
作曲者の新しく自由な試みを加えた創意に富んだ音楽作品となっている。-

全 12 曲より成り立つこの曲は、なるほど上記の通り様々なアプローチがそれぞれの楽曲で見受けられる。以下、簡単ながらそれらを記載。

No.1 A-dur Vivace-(adagio/allegro)-Allegro:全体の流れはトッカータとフーガ風
No.2 a-moll Grave-Vivace-adagio-Allegro:教会ソナタ形式
No.3 h-moll Largo/Vivace-Allegro:暖急が繰り返される 1 部とイタリア風ジグの2部
No.4 H-dur Andante-Allegro-Presto:18 世紀後半のソナタ形式
No.5 C-dur Presto/Largo-Allegro-Allegro:自由な 3 部形式
No.6 d-moll Dolce-Allegro-Spirituoso:18 世紀後半のソナタ形式
No.7 D-dur Alla Francese-Presto:フランス風序曲とロンド
No.8 e-moll Largo-Spirituoso:舞曲風(組曲?)
No.9 E-dur Affettuoso-Allegro-Grave-Vivace:舞曲風
No.10 fis-moll A tempo giusto-Presto-Moderato:3 つの舞曲
No.11 G-dur Allegro-Adagio-Vivace-Allegro:ヴィルトゥオーゾへのアプローチ
No.12 g-moll Grave/Allegro-Presto:同上、後半はブーレ風

今回試験で取り上げる、No.2 は上記4つの部から成り立つ。
1 部は半終止で終わる序奏、2 部は半終止を受け勢いのある部。3 部は平行調の C-dur へ。
4 部はブーレ風で組み立てられている。
なお、試験では楽譜は移調せずに演奏する。




※1:音楽之友社出版/テレマン 無伴奏フルートのための 12 のファンタジー〔原典版〕より引用

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