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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第323回定期に行ってきました

2019年03月17日 | コンサートレポート
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このコンサートは逃すまいとかなり前から注目していた公演。
何と言ってもやはり、コダーイが二曲も取り上げられるのは珍しいだろう。


話しはすこしずれるが、東京シティフィルさんの演奏を生で聴くのはたぶん初めて。
題名のない音楽会ではお馴染みであろうオケであるが、何故か足を運んだことがなかったのだ。
今回はそんなこともあり、楽しみであった。


高関氏のプレトークから、まずバルトークのピアコン2をやりたくてならばコダーイだろう。とこのプログラミングになったそう。
面白かったのは、ハンガリー公用語のマジャール(マジャル)語はアクセントが必ず1つ目に来るそう。
故に音楽も1音目にアクセントがほとんどだとか。


コダーイは僕が愛してやまない作曲家であり、尊敬してやまない教育家である。
僕がソルフェージュを師事していた先生はダンノーゼルメソッド、リシューメソッドに手を加えたものであったが、仮に自分がその立場になるならコダーイメソッドを推奨したいと考えているほど。
この話しは長くなりそうなので、また機会があれば。


さて、個人的ではあるが小山氏のピアノと言えば、気品あるショパン、エレガントかつ力強いチャイコフスキーなどが一番に出てくる。
故にバルトークはどんな音楽を聴かせてくれるのだろうか。と期待していたが、やはり整えられた、気品に溢れる中で、荒々しく、音楽の濁流を作る場面も見られた。
この曲もやはり弾きこなしてしまうのか!と感じながらもとかく性格であった。

それにしてもこの時代のバルトークの曲たちは精密、精巧さが滲み出ていてとても面白い。


コダーイはやはり舞曲が中心となる。
それはくじゃくも同じだが、ガランタ舞曲は時間が増せば増すほど躍りが激しくなる様子が感じ取れる。
ところどころにコダーイ節が見れるのが興味深い。

くじゃくは言わずと知れた名曲であり、コダーイを代表する曲と言っても過言ではないはず。
民謡の【くじゃくが飛んだ】を変奏曲にしたのだが、各仕掛けが面白く、目まぐるしく移り変わるテンポ、色がまったく飽きを感じさせない。
この民謡そもそもが(当時の)オスマン帝国への抵抗歌であり、自由を勝ち取ろう(=くじゃくが羽ばたく)としていた。

飛べよ、くじゃく 牢獄の上に 哀れな囚人たちを 解放するために 
くじゃくは飛んだ 牢獄の上に だが、囚人たちは 解放されなかった 
くじゃくは飛んだ 牢獄の上に 哀れな囚人たちを 解放するために

これが詩の内容(20世紀に入ってからの改編もあり)とされているのだが、何とも儚いものだろうか。
しかしこれがフィナーレでは高らかに、まるで明日への希望を抱くように歌われ終わる。
この瞬間こそ、この曲の素晴らしきところであり、ここへ行き着くまでの道のりもより楽しめるわけだ。

中々取り上げられることの少ないくじゃくであるが、ぜひ様々な人に生で聴いていただきたい作品である。

ハンガリーの音楽を堪能できた一日であったが、一番感じたことは言葉である。
特にバルトークにはそれが感じ取れた。

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